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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2009年4月8日祈祷会(マルコ13:1-23、神殿崩壊〜終末はいつ来るのか)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.神殿崩壊の預言

・マルコ13章は小黙示録と呼ばれ、イエスが神殿崩壊とそれに続く終末を預言される内容になっている。マルコ福音書は紀元70年のエルサレム崩壊時の混乱の中で書かれている。物語はイエスの神殿崩壊の預言から始まる。
-マルコ13:1-2「イエスが神殿の境内を出て行かれるとき、弟子の一人が言った『先生、御覧ください。なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物でしょう』。イエスは言われた『これらの大きな建物を見ているのか。一つの石もここで崩されずに他の石の上に残ることはない』」。
・イエスは前に宮清めをされている。神殿は既に内部から崩壊しており、もはや神を礼拝する家ではなかった。神殿崩壊の預言はこの宮清めに続く言葉であろう。この預言がイエス告発の直接の契機になっている。
-マルコ15:29-30「そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって言った『おやおや、神殿を打ち倒し、三日で建てる者、十字架から降りて自分を救ってみろ』」。
・神殿が信仰の中心であった弟子たちにとって神殿崩壊は世の終わりだ。そんな大変なことがいつ起こるのか、弟子たちは尋ねる。それに対するイエスの答えが終末預言だ。ローマに対する反乱が頻発し、世情は騒然としていた。
-マルコ13:5-8「イエスは話し始められた『人に惑わされないように気をつけなさい。私の名を名乗る者が大勢現れ、私がそれだと言って、多くの人を惑わすだろう。戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞いても、慌ててはいけない。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に地震があり、飢饉が起こる。これらは産みの苦しみの始まりである』」。
・ローマに対する反乱は、紀元66年には「メシアが来られる、解放の時が来た」という熱狂主義の高まりにより戦争になっていった。しかし、70年ごろにはエルサレムはローマ軍に包囲され、ユダヤの敗色が濃くなってくる。
-マルコ13:14「憎むべき破壊者が立ってはならない所に立つのを見たら・・・ユダヤにいる人々は山に逃げなさい」。
・「憎むべき破壊者」、ダニエル書9:27からの引用である。紀元前167年シリア王エピファーネスはエルサレム神殿にゼウス像を持ち込み、これが契機となってマカベア戦争(シリアからの解放戦争)が起きた。今、同じようにローマ軍がエルサレムを包囲し、神殿に入ろうとしている。マルコは教会の信徒にエルサレムから逃げよと叫ぶ。
-マルコ13:15-16「屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を何か取り出そうとして中に入ってはならない。畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない」。
・並行箇所のルカはもっと直接的に紀元70年の出来事を語る。彼は神殿崩壊を神の裁きと見ている。
-ルカ21:20-21「エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。都の中にいる人々は、そこから立ち退きなさい」。

2.歴史の中でイエスの言葉を聞く

・21節以下の言葉は「エルサレムに留まって共に戦えというユダヤ人同胞の誘いに乗るな、今は終末の時ではない、逃げよ、死ぬな」とのマルコの訴えであろう。マルコはイエスの口を借りて信徒に呼びかけている。
-マルコ13:21-23「そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『見よ、あそこだ』と言う者がいても、信じてはならない。偽メシアや偽預言者が現れて、しるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちを惑わそうとするからである。だから、あなたがたは気をつけていなさい。一切の事を前もって言っておく」。
・紀元64年にはローマの信徒たちがネロ帝により迫害され、マルコの師であるペテロやパウロも殺された。いままたエルサレムも崩壊しようとしている。マルコは迫害の強まりを予想している。
-マルコ13:9「あなたがたは自分のことに気をつけていなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で打ちたたかれる。また、私のために総督や王の前に立たされて、証しをすることになる」。
・マルコは迫害の中にある信徒に「恐れずに主を証しせよ」と教える。イエスが迫害されたように、後に続く者が迫害されるのは当然ではないかと。「証しする=マルチュリア」と言う言葉が「殉教する」に同意語化する。
-マルコ13:11-13「引き渡され、連れて行かれるとき、何を言おうかと取り越し苦労をしてはならない。そのときには、教えられることを話せばよい。実は、話すのはあなたがたではなく、聖霊なのだ。・・・私の名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる」。
・マルコは国家存亡の危機にある信徒たちに、イエスの言葉を伝える。福音書はイエスの伝記ではない。それは福音書記者がイエスの言葉を、「今、どのように聞くか」を示した信仰告白の書なのだ。
-マルコ13:30-31「はっきり言っておく。これらのことがみな起こるまでは、この時代は決して滅びない。天地は滅びるが、私の言葉は決して滅びない」。

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