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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

聖書教育の学び

2023年1月22日聖書教育の学び(2022年4月27日祈祷会、ルカ6:1-26、幸いと不幸)

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1.安息日に麦の穂を摘む

 

・ファリサイ人たちは、イエスの宣教を苦々しく思い、行動すべてに粗探しを始めた。彼らはイエスの弟子たちが、安息日に麦の穂を摘んで食べる行為を見つけ、「安息日には許されない労働」と批判した。

-ルカ6:1-2「ある安息日に、イエスが麦畑を通って行かれると、弟子たちは麦の穂を摘み、手でもんで食べた。ファリサイ派のある人々が『なぜ、安息日にしてはならないことを、あなたたちはするのか』と言った」。

・当時の安息日禁止規定は複雑多岐であった。「禁じられた仕事の条項」によれば、刈り入れ、食事の支度、荷物の運搬など39の基本項目があり、さらに細かい規定も加えられ、安息日の行動はがんじがらめに縛られていた。穂を摘む行為は刈り入れになり、手で穂をもんでもみ殻を取り除く行為は脱穀になった。いずれも安息日に禁じられた「仕事」にあたる。しかしイエスは反論される。

-ルカ6:3-4「イエスはお答えになった。『ダビデが自分も供の者たちも空腹だった時に何をしたか、読んだことがないのか。神の家に入り、ただ祭司のほかにはだれも食べてはならない供えのパンを取って食べ、供の者たちにも与えたではないか。』」

・ダビデと従者は、敵に追われて空腹になった時、幕屋に入り、祭司だけしか食べられないパンを食べた(サムエル上21:1-6)。聖なるパンをダビデと従者が食べたが、咎められなかった。「人間を飢えから救い、生かすことは、安息日の規則より優先するのではないか」とイエスは問いかけられる。

-ルカ6:5「そして、彼らに言われた。『人の子は安息日の主である』」。

・安息日規定には神学的根拠(「神は七日目に休まれた」出エジプト記20:11)と実際的根拠(「人には休みが必要である」出エジプト記23:12)がある。ファリサイ人は神学的根拠を追求し、規定を細目化していった。他方、イエスは実際的根拠に基づいて判断された「神は安息日よりも人を大事にされるのではないか」。カール・バルトは教会教義学の中で、キリスト者の倫理を「神の御前での自由」という表題のもとに記し、安息日を巡る問題を扱う章を「祝いと自由と喜びの日」として書く。彼は語る

-バルトの言葉「日曜日を『礼拝を守らなければいけない日』と考えた時、それは私たちを縛る日になる。日曜日を『礼拝に参加することが出来る日』に変えることが出来れば、私たちの人生はどんなにか豊かになるのではないか」。

 

2.安息日に手の萎えた人をいやす

 

・イエスは安息日に人を癒された。イエスが癒された病はいずれも慢性病であり、翌日に延ばしても良かったのに、あえて安息日に癒された。

-ルカ6:6-10「安息日に、イエスは会堂に入って教えておられた。そこに一人の人がいて、その右手が萎えていた。律法学者たちやファリサイ派の人々は、訴える口実を見つけようとして、イエスが安息日に病気を癒されるかどうか、注目していた・・・イエスは彼らの考えを見抜いて、手の萎えた人に『立って、真ん中に出なさい』と言われた。その人は身を起こして立った。そして、彼ら一同を見回して、その人に『手を伸ばしなさい』と言われた。言われたようにすると、手は元通りになった」。

・安息日は、神の創造の業を覚えるためであり、神による救済を感謝する日であった。しかし、いつの間にか安息日に仕事を行う者は呪われると変えられた。イエスは禁止規定に堕していた安息日を、本来の「祝福」に戻そうとされた。

-ルカ6:9「イエスは言われた『あなたたちに尋ねたい。安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、滅ぼすことか』」。

・ファリサイ派の人々は、片手の萎えた男の癒しよりイエスの安息日破りを問題にした。だからあえて安息日に癒されるイエスに、彼らは怒り狂った。

-ルカ6:10-11「そして、彼ら一同を見回して、その人に、『手を伸ばしなさい』と言われた。言われたようにすると、手は元どおりになった。ところが、彼らは怒り狂って、イエスを何とかしようと話し合った」。

 

3.十二人を選ぶ

 

・イエスは宣教の業を広め継承させるため、弟子の中から12人を選んだ。彼らは後に十二使徒と呼ばれる。

―ルカ6:12-16「そのころ、イエスは祈るために山に行き、神に祈って夜を明かされた。朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選び使徒と名付けられた。それは、イエスがペトロと名付けられたシモン、その兄弟アンデレ、そして、ヤコブ、ヨハネ、フイリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルファイの子ヤコブ、熱心党と呼ばれたシモン、ヤコブの子ユダ、それに後に裏切り者となったイスカリオテのユダである。」

・イエスに選ばれた12人はごく普通の人たちであった。富裕でもなく、有名でもなく、社会に大きな影響力を持つような人物でもなく、教育程度の高い人々でもなかった。それまでの弟子たちは、イエスに付き従い、イエスの教えを聞き、イエスの業を目の前にしていたものの、傍観者に近い者たちだった。その彼らをイエスは宣教の協力者、働き人に任命された。私たちも傍観者から働き人に変えられる必要がある。

 

4.幸いと不幸(平地の説教)

 

・マタイのイエスは「山上」での説教されたが、ルカにおいては「平地の説教」と呼ばれる。

-ルカ6:17-18「イエスは彼らと一緒に山から下りて、平らな所にお立ちになった。大勢の弟子とおびただしい民衆が、ユダヤ全土とエルサレムから、また、テイルスやシドンの海岸地方から、イエスの教えを聞くため、また、病気を癒していただくために来ていた・・・群衆は皆、何とかしてイエスに触れようとしていた。イエスから力が出て、全ての人の病気を癒していたからである。」

・平地の説教は前半の幸い部分はマタイと同一であるが、後半には不幸の部分があり、対比されることで印象が強くなっている。

-ルカ6:20-23「さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。『貧しい人々は幸いである。神の国はあなたがたのものである。今飢えている人々は幸いである。あなたがたは満たされる。今泣いている人々は幸いである。あなたがたは笑うようになる。人々に憎まれる時、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられる時、あなたがたは幸いである。その日には、喜び踊りなさい。天には大きな報いがある。この人々の先祖も、預言者たちに同じことをしたのである。』」

・イエスの説教はルカとマタイでは微妙に異なる。

-マタイ5:3-10「心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。柔和な人々は、幸いである、その人たちは地を受け継ぐ。義に飢え渇く人々は、幸いである、その人たちは満たされる・・・平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。義のために迫害される人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである」。

・何よりも、ルカにはマタイにはない「災いの言葉」が後半部にある。

-ルカ6:24-26「『しかし、富んでいるあなたがたは不幸である。あなたがたはもう慰めを受けている。今満腹している人々、あなたがたは不幸である。あなたがたは飢えるようになる。今笑っている人々は、不幸である。あなたがたは悲しみ泣くようになる。すべての人にほめられる時、あなたがたは不幸である。この人々の先祖も、偽預言者に同じことをしたのである。』」

・マタイもルカも共通の語録資料をテキストにしており、原型は次のような伝承だったとされている

-語録資料原型「何と幸運な者だ、貧しい者は、彼らには神の王国がある。何と幸運な者だ、飢えている者は、彼らは腹いっぱいに満たされるだろう。何と幸運な者だ、泣いている者は、彼らは笑うだろう」。

・イエスは文字通り、「貧しい者、飢えている者は幸いである」と祝福された。福音書によれば、イエスの宣教に積極的に応答したのは、取税人や遊女、異邦人等の社会的に疎外されていた人々であり、反発したのはファリサイ人やサドカイ人等の支配階級だった(マタイ21:31)。まさに「貧しい者」、「泣いている者」、「飢えている者」がイエスを受け入れ、「富んでいる者」、「満腹している者」、「笑っている者」はイエスを拒否した。今、満足している者は神を求めず、満たされていない者は求める。そして求める者には命が与えられ、求めない者には与えられないとしたら、「今、満たされていない者が祝福されるのは当然ではないか」とイエスは言われた。

・そのイエスの言葉を、50年後の紀元80年代にルカとマタイが聞いている。イエスの時代とは環境が変わった。ユダヤは国としてはローマに滅ぼされ、エルサレム神殿は破壊され、祭司たちはいなくなった。ユダヤ教はファリサイ派を中心とする律法宗教になっている。教会の人々も、第一世代の弟子たちのように、全てを捨ててイエスに従うのではなく、定住して生活している。経済的にも安定し、明日のパンがない状況ではなく、逆に安定と富が彼らの信仰を揺るがし始めている。このような中で、ルカは貧しさを強調するために四つの祝福に四つの災いを付加し、マタイは時代の変化に応じた修正をした。福音書は単なるイエスの伝記ではなく、その時代の人々がイエスの言葉をどのように聞いていったかの記録なのである。

-聖書教育の学び

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