2019年4月4日祈祷会(サムエル記下8-9章、ダビデへの祝福とヨナタンの子への憐れみ)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

2019年4月4日祈祷会(サムエル記下8-9章、ダビデへの祝福とヨナタンの子への憐れみ)

1.行く先々での勝利

・イスラエル統一王国を築いたダビデは周辺部族を次々と征服する。西方の宿敵ペリシテを敗退させ、ガドや周辺村落を奪い、また東方のモアブ軍を撃って彼らの三分の二を殺し、残りを捕虜として年貢を払わせた。
−サムエル記下8:1-2「ダビデはペリシテ人を討って屈服させ、ペリシテ人の手からメテグ・アンマを奪った。また、モアブを討ち、彼らを地面に伏させて測り縄ではかり、縄二本分の者たちを殺し、一本分の者は生かしておいた。モアブ人はダビデに隷属し、貢を納めるものとなった」。
・北のツオバやダマスコもまた、ダビデの支配下に入り、アラム人たちはダビデに朝貢するようになった。
−サムエル記下8:3-6「ダビデは次に、ツォバの王、レホブの子ハダドエゼルがユーフラテスに勢力を回復しようと行動を起こしたとき、彼を討ち、騎兵千七百、歩兵二万を捕虜とし・・・ダマスコのアラム人がツォバの王ハダドエゼルの援軍として参戦したが、ダビデはこのアラム軍二万二千をも討ち、ダマスコのアラム人に対して守備隊を置いた。こうしてアラム人もダビデに隷属し、貢を納めるものとなった。主はダビデに、その行く先々で勝利を与えられた」。
・また南のエドムもダビデの支配下に入った。
−サムエル記下8:13-14「ダビデはアラムを討って帰る途中、塩の谷でエドム人一万八千を討ち殺し、名声を得た。彼はエドムに守備隊を置くことにした。守備隊はエドム全土に置かれ、全エドムはダビデに隷属した。主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた」。
・ダビデの勝利は「主はダビデにその行く先々で勝利を与えられた」という言葉で表現されている(8:6,14)。地名を見ていくと、それは約束の地を完全に制覇していくものである。ペリシテ人は地中海沿岸の西側(1節)、モアブ人は死海の東側(2節)、アラムは北方の民族(6節)、エドム人は死海の南と東側に住む民族(14節)である。こうして、ダビデの時代に、アブラハムに約束された地が全て与えられた。
−創世記15:18-21「その日、主はアブラムと契約を結んで言われた『あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、カイン人、ケナズ人、カドモニ人、ヘト人、ペリジ人、レファイム人、アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える』」。
・度重なる勝利の中で、ダビデは獲得した戦利品を主のために聖別したとサムエル記は書く。
−サムエル記下8:11「ダビデ王はこれらの品々を、征服した全ての異邦の民から得た銀や金と共に主のために聖別した」。
・勝利は神が与えて下さったから、戦利品は主のために聖別する。並行する歴代誌では、これらの金属を使って、このソロモンが神殿の調度品を作ったと記す。
−歴代誌上18:8「ダビデは、ハダドエゼルの町ティブハトとクンから大量の青銅を奪い取った。ソロモンはこれを用いて青銅の「海」、柱、青銅の祭具を造った」。

2.ヨナタンの子メフェポシエトへの憐れみ

・ダビデはかってサウル王に命を狙われた時、サウルの子ヨナタンの保護で命を救われ、ヨナタンとの間にお互いの家を守るとの契約を結んだ。
−サムエル記上20:12-15「ヨナタンはダビデに言った『イスラエルの神、主にかけて誓う・・・父が、あなたに危害を加えようと思っているのに、もし私がそれを知らせず、あなたを無事に送り出さないなら、主がこのヨナタンを幾重にも罰してくださるように・・・主がダビデの敵をことごとく地の面から断たれる時にも、あなたの慈しみを私の家からとこしえに断たないでほしい』。ヨナタンはダビデの家と契約を結んだ」。
・ダビデは王となり、彼はヨナタンとの約束を思い起し、ヨナタンの血筋を尋ねた。
−サムエル記下9:1「ダビデは言った『サウル家の者がまだ生き残っているならば、ヨナタンのために、その者に忠実を尽くしたい』」。
・サウル家の従者ツィバが呼ばれ、ヨナタンの息子メフィボシェトが生き残っていることがわかり、ダビデはメフィボシェトを王宮に呼び寄せる。メフィボシェトは足が悪いゆえに殺されずに生き残っていた。
−サムエル記下9:2-4「サウル家に仕えていたツィバという名の者がダビデのもとに呼び出された・・・王は言った『サウル家には、もうだれも残っていないのか。いるなら、その者に神に誓った忠実を尽くしたいが』。『ヨナタンさまの御子息が一人おられます。両足の萎えた方でございます』とツィバは王に答えた」。
・メフィボシェトは殺されるのではないかと恐れて、ダビデの下に出る。戦いに負けた者の子孫は全て殺されるのが当時の風習だった。しかし、ダビデはメフボシェトに「恐れるな」といって、厚遇した。
−サムエル記下9:6-8「サウルの子ヨナタンの子メフィボシェトは、ダビデの前に来るとひれ伏して礼をした・・・『恐れることはない。あなたの父ヨナタンのために、私はあなたに忠実を尽くそう。祖父サウルの地所はすべて返す。あなたはいつも私の食卓で食事をするように』とダビデが言うと、メフィボシェトは礼をして言った『僕など何者でありましょうか。死んだ犬も同然の私を顧みてくださるとは』」。
・ダビデはメフィボシェトの地所を全て返し、彼を王宮に引き取って世話をした。
−サムエル記下9:12-13「メフィボシェトにはミカという幼い息子がいた。ツィバの家に住む者は皆、メフィボシェトの召し使いとなった。メフィボシェトは王の食卓に連なるのが常のことであり、両足とも不自由なので、エルサレムに住んだ」。
・この物語は単純な友情物語ではない。サウルの孫、ヨナタンの子は王位継承権を主張する権利を持っていた。当時、ダビデに対して「サウル家から王位を簒奪した」との批判があった。
−サムエル記下16:5-8「ダビデ王がバフリムにさしかかると、そこからサウル家の一族の出で、ゲラの子、名をシムイという男が呪いながら出て来て・・・ダビデ自身とダビデ王の家臣たち皆に石を投げつけた。シムイは呪って言った『出て行け、出て行け。流血の罪を犯した男、ならず者。サウル家のすべての血を流して王位を奪ったお前に、主は報復なさる・・・お前は災難を受ける。お前が流血の罪を犯した男だからだ』」。
・実際に、ダビデはサウル家の復活を恐れて、サウル家の子孫たちをギブオン市民の要求にかこつけて処刑している。王として生きることは奇麗事ではないのである。ダビデの手はやはり血で汚れている。
−サムエル記下21:8-9「王はアヤの娘リツパとサウルの間に生まれた二人の息子、アルモニとメフィボシェトと、サウルの娘ミカルとメホラ人バルジライの子アドリエルとの間に生まれた五人の息子を捕らえ、ギブオン人の手に渡した。ギブオンの人々は彼らを山で主の御前にさらした。七人は一度に処刑された」。
・王であれば政治的な行為も必要である。ダビデの子どもたちの行く末を見れば、王であることは苦難の道である(ダビデ自身がこのアブサロムの反逆により、一時は王位を追われたし、子のうち三人が王位継承の争いの中で殺されている)。それでも主の約束を信じていく。ダビデは罪を犯しながらもその約束にすがった。それゆえに主は彼を祝福された。

3.サムエル記下8−9章の黙想

・約束の地を文字通り手に入れたダビデはイスラエルの理想の王になり、ダビデ王朝滅亡後も「ダビデの末からメシアが生まれる」と待望されるようになる。
−イザヤ9:5-6「一人のみどりごが私たちのために生まれた。一人の男の子が私たちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君』と唱えられる。ダビデの王座とその王国に権威は増し、平和は絶えることがない。王国は正義と恵みの業によって、今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」。
・この預言がイエスの誕生によって実現したと初代教会の人々は信じた。
−ルカ1:31-33「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない」。
・しかしダビデの手は血に汚れている。イエスは自分が「ダビデの子」と呼ばれることを否定された。
−マルコ12:35-37「イエスは神殿の境内で教えていたとき、こう言われた。『どうして律法学者たちは、メシアはダビデの子だと言うのか。ダビデ自身が聖霊を受けて言っている。“主は、私の主にお告げになった。私の右の座に着きなさい。私があなたの敵を、あなたの足もとに屈服させるときまで”と。このようにダビデ自身がメシアを主と呼んでいるのに、どうしてメシアがダビデの子なのか』。大勢の群衆は、イエスの教えに喜んで耳を傾けた」。
・イエスのメシア性は、イエスの誕生の秘蹟にも、イエスの系図にもよらない。イエスのメシア性は、神がイエスを死からよみがえらせたこと、イエスの到来により、神の国が始まったことにある。
−マルテイン・ブーバーの問いかけ「イエスにおいてメシアは来ているとの主張は真実でありえない。さもなくば、世界はこのように全く贖われていないように見えるはずはない。それゆえ、なお来るべきメシアというユダヤ教の期待はより信頼に値する」。

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