江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年10月14日祈祷会(ヨハネ黙示録19章、キリストの勝利)

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1.キリストの即位~誰が真実の主であるか

 

・バビロン(ローマ帝国)の滅亡を見て、天では讃美の声が上がる。神の僕たちの流した血に対する報復が為されたからだ。ヨハネはここでの裁きを「血の復讐」と呼ぶ。歴史の流れを見る時、彼が迫害者ローマの滅亡を「血の復讐」と語る心情は理解できる。
-黙示録19:1-2「ハレルヤ。救いと栄光と力とは、私たちの神のもの。その裁きは真実で正しいからである。みだらな行いで地上を堕落させたあの大淫婦を裁き、御自分の僕たちの流した血の復讐を、彼女になさったからである」。

・バビロン滅亡の日は、権力者にとっては世の終わりの時、バビロンと結びついていた王や商人や海運業者は嘆く。しかし、迫害された者にとっては解放の時、讃美の声が響く。8月15日は日本では「敗戦記念日」、悔い改めの時であるが、韓国では「光復節」、解放記念日である。天上ではローマを焼く煙が漂う中で、礼拝が行われる。

-黙示録19:3-4「ハレルヤ、大淫婦が焼かれる煙は、世々限りなく立ち上る。そこで、二十四人の長老と四つの生き物とはひれ伏して、玉座に座っておられる神を礼拝して言った。『アーメン、ハレルヤ』」。
・ローマは「みだらな行いで地上を堕落させたあの大淫婦」と呼ばれる。ここで言う「みだらな行い」とは性的不品行ではなく、自分より強い者、利益を与えてくれる者を拝む偶像礼拝を指す。神よりも皇帝にすがり、キリストではなく、皇帝を主=キュリオスと呼ぶ偶像礼拝である。天上では小羊に婚礼の祝宴が開かれる。それはキリストが王になられたことを祝う声であった。
-黙示録19:5-8「また、玉座から声がして、こう言った。『すべて神の僕たちよ、神を畏れる者たちよ、小さな者も大きな者も、私たちの神をたたえよ』。ハレルヤ、全能者であり、私たちの神である主が王となられた。私たちは喜び、大いに喜び、神の栄光をたたえよう。小羊の婚礼の日が来て、花嫁は用意を整えた。花嫁は、輝く清い麻の衣を着せられた。この麻の衣とは、聖なる者たちの正しい行いである。」

・ヨハネ黙示録が書かれたのが紀元95年ごろ、ローマ帝国の滅亡は紀元410年である。ヨハネにとって目に見える現実は、キリスト者が殺され、沈黙させられていく歴史であった。歴史の現実ではローマの支配はそれから300年も続く。その中でヨハネは見えないキリストの支配を見ていく。

-黙示録19:9-10「それから天使は私に、『書き記せ。小羊の婚宴に招かれている者たちは幸いだ』と言い、また、『これは、神の真実の言葉である』とも言った。私は天使を拝もうとしてその足もとにひれ伏した。すると、天使は私にこう言った。『やめよ。私は、あなたやイエスの証しを守っているあなたの兄弟たちと共に、仕える者である。神を礼拝せよ。イエスの証しは預言の霊なのだ』」。

2.裁きをどのように理解するか

・19章後半では白馬にまたがる栄光のキリストが叙述される。彼は敵対者を裁くために剣を持って現れる。
-黙示録19:11-14「私は天が開かれているのを見た。すると、見よ、白い馬が現れた。それに乗っている方は、「誠実」および「真実」と呼ばれて、正義をもって裁き、また戦われる。その目は燃え盛る炎のようで、頭には多くの王冠があった・・・また、血に染まった衣を身にまとっており、その名は「神の言葉」と呼ばれた。そして、天の軍勢が白い馬に乗り、白く清い麻の布をまとってこの方に従っていた」。
・彼は剣で諸国の民を打ち治める。神の怒りの代行者、裁き主キリストである。
-黙示録19:15-16「この方の口からは、鋭い剣が出ている。諸国の民をそれで打ち倒すのである。また、自ら鉄の杖で彼らを治める。この方はぶどう酒の搾り桶を踏むが、これには全能者である神の激しい怒りが込められている。この方の衣と腿のあたりには、「王の王、主の主」という名が記されていた」。
・キリストの軍勢と邪悪な者たちとの戦いが始まった。キリストの勝利は明らかである。

-黙示録19:17-18「私はまた、一人の天使が太陽の中に立っているのを見た。この天使は、大声で叫び、空高く飛んでいるすべての鳥にこう言った。『さあ、神の大宴会に集まれ。王の肉、千人隊長の肉、権力者の肉を食べよ。また、馬とそれに乗る者の肉、あらゆる自由な身分の者、奴隷、小さな者や大きな者たちの肉を食べよ』」。

・獣と配下の者たちは倒された。
-黙示録19:19-21「私はまた、あの獣と、地上の王たちとその軍勢とが、馬に乗っている方とその軍勢に対して戦うために、集まっているのを見た。しかし、獣は捕らえられ、また、獣の前でしるしを行った偽預言者も、一緒に捕らえられた。このしるしによって、獣の刻印を受けた者や、獣の像を拝んでいた者どもは、惑わされていたのであった。獣と偽預言者の両者は、生きたまま硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた。残りの者どもは、馬に乗っている方の口から出ている剣で殺され、すべての鳥は、彼らの肉を飽きるほど食べた」。

 

3.贖いのキリストを信じていく

 

・黙示録19章には、「血に染まった衣を身にまとっている」(19:13)とあるが、これは「戦いで敵を蹂躙した時に受けた返り血で衣服が汚れた」様子を示すものとされる。また、「全能者である神の激しい怒り」(19:15)とか、すべての鳥に「王の肉、千人隊長の肉、権力者の肉」を食べさせる(19:18)とか、「戦い」、「剣」、「殺す」といった戦争用語が出てくる。紀元1世紀末のヨハネ黙示録が軍事的な用語の世界から抜け出せないでいたのは歴史の制約として受け止めるべきであろう。ヨハネ黙示録の信仰は「勝利者キリストへの忠誠と信従」である。迫害の中ではそれ以外の信仰形態はなかったのかもしれない。しかしこれらの言葉を、著者の置かれた歴史的状況を無視して理解しようとすれば、熱狂主義者やセクト主義者と同じ過ちに陥る可能性がある。あくまでも黙示なのである。

・著者ヨハネは「神の言葉」を通してローマと戦っている。彼が迫害に苦しむ諸教会に送ったものは、武器ではなく、神の啓示を記した書簡だった。その書簡に書かれた幻を通して、「ローマと戦え、体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい」(マタイ 10:28)と諸教会に呼びかける。ヨハネ黙示録の本質は「ローマに屈せず、いざという時は信仰を持って殺されよ」とのメッセージである。死後の復活に希望せよ、神の言葉に信頼し続けよと述べられている。

-ヘブル4:12「神の言葉は生きており、力を発揮し、どんな両刃の剣よりも鋭く、精神と霊、関節と骨髄とを切り離すほどに刺し通して、心の思いや考えを見分けることができる」。

・この世には悪が満ちているとしか思えない現実がある。人間の歴史は殺し合いの歴史であり、力の強い者が弱い者を殺して栄華を競ってきた。黙示録の書かれた時代にはローマ皇帝を礼拝しないという理由で、キリスト教徒が殺され、ヨハネ自身も流刑にされた。そのヨハネに神は天上の幻を見せ、神がいつまでも悪の存在を許される方ではないことを示された。ヨハネは、与えられた啓示を文字にして諸教会に送った。それから200年後、ローマはキリストの前に跪く。キリストを殺し、キリストに従う者たちを殺し続けたローマ帝国が紀元313年にはキリスト教を公認し、380年には国教とした。そして今、ローマの繁栄の跡は、遺跡に残るだけであり、他方キリストの教会は世界中に立つ。正に黙示録の預言が成就し、「神の言葉は生きている」ことを示したのではないか。

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