1.自らを誇るコリント教会の人々
・コリントはギリシャ最大の港町で、60万人の人口を持つ大都市であった。パウロは紀元50年ごろ、開拓伝道を始め、教会設立後はアポロに後を委ねて、エペソに行った。その地でコリント教会の内紛の話を聞いた。
−?コリ1:11-12「あなたがたの間に争いがあると、クロエの家の人たちから知らされました。あなたがたはめいめい、『私はパウロにつく』『私はアポロに』『私はケファに』『私はキリストに』などと言い合っているとのことです」。
・パウロの導きで教会に来た人もいれば、アポロの説教に感動する人もいた。エレサレム教会の影響下にあるユダヤ人もいた。お互いが争って、キリストの福音を忘れていた。パウロは教会の主は誰かと問う。
−?コリ1:13「キリストは幾つにも分けられてしまったのですか。パウロがあなたがたのために十字架につけられたのですか。あなたがたはパウロの名によって洗礼を受けたのですか」。
・あなた方が党派を作って争うために教会が立てられたのですか。教会は何のために立てられたのかを思いこしなさいとパウロは訴える。
−?コリ1:17「キリストが私を遣わされたのは、洗礼を授けるためではなく、福音を告げ知らせるためであり、しかも、キリストの十字架がむなしいものになってしまわぬように、言葉の知恵によらないで告げ知らせるためだからです」。
・コリント教会では身分の低い貧しい人たちが多かったが、一部裕福な人たちもいた。教会の中では、裕福なもの、知恵のある者たちが、そうでない人たちを蔑視する傾向があり、それが争いを招いていた。
―?コリント1:26「兄弟たち、あなたがたが召されたときのことを、思い起こしてみなさい。人間的に見て知恵のある者が多かったわけではなく、能力のある者や、家柄のよい者が多かったわけでもありません。」
・パウロは自らを誇る人たちに警告する。誰があなたを裕福にし、知恵を与えてくださったのか。
―?コリント4:7-8「あなたを他の者たちよりも優れた者としたのは誰です。一体あなたの持っているもので、いただかなかったものがあるでしょうか。もしいただいたのなら、なぜいただかなかったような顔をして高ぶるのですか。あなたがたは既に満足し、既に大金持ちになっており、私たちを抜きにして勝手に王様になっています。」
2.低きにおられる主
・キリストは何故十字架につかれたのか。キリストはギリシャ人には愚かなもの、ユダヤ人にはつまずきの石となって十字架につかれた。それはあなたを救うために、身分の低いあなたよりも更に低くなられるためであった。
―?コリント1:23-24「私たちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。すなわち、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものですが、ユダヤ人であろうがギリシャ人であろうが、召された者には、神の力、神の知恵であるキリストを宣べ伝えているのです。」
・私はあなた方の間で、この十字架につかれたキリストのみを伝えた。
―?コリント2:1-2「兄弟たち、私もそちらに行ったとき、神の秘められた計画を宣べ伝えるのに優れた言葉や知恵を用いませんでした。なぜなら、私はあなたがたの間で、イエス・キリスト、それも十字架につけられたキリスト以外、何も知るまいと心に決めていたからです。」
・私は自分の思いを語るのではなく、ただ神によって立てられたキリストのことだけを語った。だから、私の言葉が神の言葉となり、あなた方を動かしたのだ。
―?テサロニケ2:13「わたしたちは絶えず神に感謝しています。なぜなら、私たちから神の言葉を聞いたとき、あなたがたは、それを人の言葉としてではなく、神の言葉として受け入れたからです。事実、それは神の言葉であり、また、信じているあなたがたの中に現に働いているものです。」
・このように神の言葉を聴いて信仰するに至ったのだから、もう人間の知恵に頼るのはやめなさい。
―?コリント1:21「世は自分の知恵で神を知ることができませんでした。それは神の知恵にかなっています。そこで神は、宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになったのです。」
・宣教者も人間だから多くの破れを抱えている。その宣教者を見るから、「私はパウロへ」「私はアポロへ」とあなた方は争うのだ。あなたのために死なれたキリストだけを見よ。この方こそ救い主なのだ。
―?コリント1:30-31「神によってあなたがたはキリスト・イエスに結ばれ、このキリストは、わたしたちにとって神の知恵となり、義と聖と贖いとなられたのです。「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりになるためです。」