江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2023年4月20日祈祷会、詩編147編「神殿再建とエルサレムの復興を祝う」

投稿日:

 

 

1.神殿再建とエルサレムの復興を祝う詩篇

 

・詩篇147編は捕囚からの解放と神殿再建の喜びから始まる。捕囚の苦しみから解放され、神殿再建を成し遂げたからこそ、その喜びは大きい。70人訳ではこの詩篇を「ハガイとゼカリヤのハレルヤ」と表題を与える。「エルサレム再建を導いた預言者の賛歌」との認識を示す。

-詩篇147:1-3「ハレルヤ。私たちの神をほめ歌うのはいかに喜ばしく、神への賛美はいかに美しく快いことか。主はエルサレムを再建し、イスラエルの追いやられた人々を集めてくださる。打ち砕かれた心の人々を癒し、その傷を包んでくださる。」

・詩篇147編はエズラ記とネヘミヤ記が背景になっている。エズラ記は捕囚から帰還したユダヤの民が預言者ハガイとゼカリヤたちを中心に反対勢力の妨害に耐え抜き、神殿再建に成功したことを記す。

-エズラ6:15-16「この神殿はダレイオス王の治世第六年のアダルの月の二十三日に完成した。イスラエルの人々、祭司、レビ人、残りの捕囚の子らは、喜び祝いつつその神殿の奉献を行った。」

・民はエルサレムを再建に導いた主の偉大さを称える賛美を行う。

-詩篇147:4-7「主は星に数を定め、それぞれに呼び名をお与えになる。私たちの主は大なる方、御力は強く、英知の御業は数知れない。主は貧しい人々を励まし、逆らう者を地に倒される。感謝の献げ物をささげて主に歌え。竪琴に合わせて私たちの神にほめ歌を歌え。」

・イスラエルは地中海式気候で、北部は雨が多く湿潤で緑が多いが、南部では雨量は地を潤すには足りず、穀物は育ち難い。だからこそ恵みの雨を降らせ、草木を芽生えさせ、烏まで養う神の恩寵に感謝し、賛美する。

-詩篇147:8-9「主は天を雲で覆い、大地のために雨を備え、山々の草を芽生えさせられる。獣や、烏のたぐいが求めて鳴けば、食べ物をお与えになる。」

・10-11節では、神が喜ばれるのは軍事力ではなく、目に見えない神を畏れ、神の慈愛に望みを託す人々であると語られる。

-詩篇147:10-11「主は馬の勇ましさを喜ばれるのでもなく、人の足の速さを望まれるのでもない。主が望まれるのは主を畏れる人、主の慈しみを待ち望む人。」

・この個所は詩篇33編から採られたとされる。

-詩篇30:16-18「王の勝利は兵の数によらず、勇士を救うのも力の強さではない。馬は勝利をもたらすものとはならず、兵の数によって救われるのでもない。見よ、主は御目を注がれる、主を畏れる人、主の慈しみを待ち望む人に」。

 

2.武器ではなく鋤や鍬を

 

・預言者たちも繰り返し、軍備や大国に頼るなと語る。

-ホセア1:7「だが、ユダの家に憐れみをかけ、かれらの神なる主として、私は彼らを救う。弓、剣、戦い、騎兵によって救うのではない。」

・救いは軍備によらないとの主張は旧約聖書全体を貫く。それを具体化された方がイエスである(マタイ26:52「イエスは言われた。『剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる』」)。アメリカの軍事費は年間104兆円、中国は37兆円、以下インド10兆円、英国9兆円、ロシア8兆円・・・日本は6兆円である。日本がアメリカや中国並みの軍備をすることは不可能である。軍備競争をしても負けるのであれば、軍事以外の対話の道を模索するべきであろう。政治学者の加藤陽子氏は語る「米国と中国の対立が深まり、台湾有事に備えるべきだという声が日本でも上がっています。米国と中国は、自国の領土内で戦争をしようとは思っていません。両国が衝突したら、火の海になるのは日本列島でしょう」(4/17、朝日新聞)。日本は中国やロシアを仮想敵国とする軍事費増大を進め、南西諸島の宮古島、石垣島等を要塞化しようとしている。これは危険な道であろう

・捕囚帰還後、ペルシャに残留していたユダヤ人ネヘミヤはペルシャ王の側近だった。彼はエルサレムの荒廃を聞き、エルサレムを再興させることを王に願い出て、期限つきで帰還を許される。彼はまずエルサレムの城壁の再建を計画し、敵に妨げられながらも完成させる。その後、敵の侵入を防ぐため城門の管理を厳しくする。それは城門のかんぬきを堅固にすることであった。

-詩篇147:12-14「エルサレムよ、主をほめたたえよ、シオンよ、あなたの神を賛美せよ。主はあなたの城門のかんぬきを堅固にし、あなたの中に住む子らを祝福してくださる。あなたの国境に平和を置き、あなたを最良の麦の飽かせてくださる」

・エズラ帰還の13年後にイスラエルに帰ったネヘミヤは様々の改革を行う。城壁で外敵の侵入を防ぐだけでなく。宗教改革も実行する。神の会衆から異邦人を除き(ネヘミヤ13:1-3)、安息日の就労と商取引を中止させ(ネヘミヤ13:5-22)、復興後の神殿での奉仕を維持し(10章)モ-セの律法の朗読の慣習を確立させた。(8章)神はそのような努力を祝し、豊かに穀物を与えられると詩編は賛美する。

-詩篇147:15-18「主は仰せを地に遣わされる。御言葉は速やかに走る。羊の毛のような雪を降らせ、灰のような霜をまき散らし、氷塊をパン屑のように投げられる。誰がその冷たさに耐ええよう。御言葉を遣わされれば、それは溶け、息を吹きかけられれば、流れる水となる。」

・主はイスラエルに法と掟を(律法)与えられた。そのことに感謝し、詩編147編は終わる。

-詩篇147:19-20「主はヤコブに御言葉を、イスラエルに掟と裁きを告げられる。どの国に対しても、このように計らわれたことはない。彼らは主の裁きを知りえない。ハレルヤ。」

 

3.シオン=エルサレムのその後

 

・捕囚から帰還した民はシオン(エルサレム)を再建した。詩人は主を「エルサレムを建てる方」と呼び、エルサレムが再び「主の花嫁」になったことを喜ぶ。それは預言者の伝統を踏まえている。

-イザヤ49:14-18「シオンは言う。主は私を見捨てられた、私の主は私を忘れられた、と。女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか。母親が自分の産んだ子を憐れまないであろうか。たとえ、女たちが忘れようとも、私があなたを忘れることは決してない。見よ、私はあなたを、私の手のひらに刻みつける。あなたの城壁は常に私の前にある。あなたを破壊した者は速やかに来たが、あなたを建てる者は更に速やかに来る。あなたを廃虚とした者はあなたを去る。目を上げて、見渡すがよい。彼らはすべて集められ、あなたのもとに来る。私は生きている、と主は言われる。あなたは彼らのすべてを飾りのように身にまとい、花嫁の帯のように結ぶであろう」。

・エルサレムは神の都であった。しかしイエスはこの都は滅ぼされると預言された。

-ルカ13:34-35「エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、私はお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。見よ、お前たちの家は見捨てられる。言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言う時が来るまで、決して私を見ることがない。」

・紀元70年エルサレム神殿は滅び、エルサレムも廃墟となった。

-ルカ21:20-24「エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。都の中にいる人々は、そこから立ち退きなさい。田舎にいる人々は都に入ってはならない。書かれていることがことごとく実現する報復の日だからである・・・人々は剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれる。異邦人の時代が完了するまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされる。」

・その後エルサレムは再建され、1947年にはエルサレムを首都とするユダヤ人国家が造られ、数次の中東戦争を経て、国家は維持されている。しかし旧住民であったパレスチナ人との紛争は絶えない。イスラエルには今も平和はない。その中で日本はどうすべきか。武力による国土防衛だけでなく、難民支援や、中東・アフリカにおける紛争解決のための尽力、旱魃を克服するための農業支援、紛争国での地雷除去、感染症対策の推進等により、平和構築の主体的な役割を果たすことこそが、日本の安全を保つ最善策であろう。「平和学」の探求と実践を通して日本を防衛するという視点が預言者の語る平和への道であろう(東大作「和平調停の限界と可能性」他)。その中で教会は聖書の学びを通しての提言ができる存在になりたい。

-

Copyright© 日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.