江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2017年5月11日祈祷会(民数記12章、ミリアムとアロンの反抗)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.ミリアムとアロンの反抗

・モーセは異邦人を妻にしていた。ミリアムとアロンはそのことを口実に、モーセを非難し始めた。
―民数記12:1「ミリアムとアロンは、モーセがクシュの女性を妻にしていることで彼を非難し『モーセはクシュの女を妻にしている』と言った」。
・クシュは今日のエチオピアであるが、北アラビアの意味でも用いられる。モーセの妻チッポラはミディアンの祭司レウエルの娘であり、異邦人であった。またモーセは異邦人レウエルを祭司として重んじ、レウエルの子ホハブを民の案内人とした(民数記10:31)。異邦人を重用することにモーセの姉と兄は反発したのだろうか。詳細は分からない。
−民数記12:2「彼らは更に言った『主はモーセを通してのみ語られるというのか。我々を通しても語られるのではないか』。主はこれを聞かれた。」
・姉のミリアムは預言者であり、兄のアロンは大祭司であった。しかし、アロンに神が直接に語られるということはなかった。ミリアムはエジプトを脱出した後、「女預言者」としてタンバリンを手に取り、賛美を導き、「主に向かって歌え。主は輝かしくも勝利を収められ、馬と乗り手とを海の中に投げ込まれた」と歌った。ミリアムには「女預言者」としての指導的カリスマが与えられていたようだ。しかし彼らは弟のモーセだけが指導者として尊ばれるのに我慢が出来なかった。民は食物の不足のためにモーセに反抗した。ミリアムとアロンの反抗は権力に対する欲望から生じた。その根本動機はいずれも貪欲=貪りである。この貪りこそ、原罪と呼ばれるものだ。
−ヤコブ4:1-2「何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いが起こるのですか。あなたがた自身の内部で争い合う欲望が、その原因ではありませんか。あなたがたは、欲しても得られず、人を殺します。また、熱望しても手に入れることができず、争ったり戦ったりします」。
・二人の不満に対して、モーセは反論しなかった。主のために働く者にとって、批判に対する応答は、「主に裁きを任せ、反対する者たちを祝福する」ことだけである。
−民数記12:3「モーセという人はこの地上のだれにもまさって謙遜であった。」
・モーセは誰が指導者になるかは、人の決めることではなく、神の任命によると理解していた。彼は長老たちがモーセを差し置いて預言をした時も、それをとがめなかった。
−民数記11:27-29「一人の若者がモーセのもとに走って行き、エルダドとメダドが宿営で預言状態になっていると告げた。若いころからモーセの従者であったヌンの子ヨシュアは『わが主モーセよ、やめさせてください』と言った。モーセは彼に言った『あなたは私のためを思ってねたむ心を起こしているのか。私は、主が霊を授けて、主の民すべてが預言者になればよいと切望しているのだ』」。
・私たちも主のために働く。仮に私たちが労した人たちが、他の教会に行っても喜ぶ存在でありたい。
−ピリピ1:15-18「キリストを宣べ伝えるのに、ねたみと争いの念にかられてする者もいれば、善意でする者もいます・・・だが、それがなんであろう。口実であれ、真実であれ、とにかく、キリストが告げ知らされているのですから、私はそれを喜んでいます。これからも喜びます」。
・主はこの出来事に介入された。それぞれの言い分を裁定するためだ。
−民数記12:4-5「『あなたたちは三人とも、臨在の幕屋の前に出よ』。彼ら三人はそこに出た。主は雲の柱のうちにあって降り、幕屋の入り口に立ち『アロン、ミリアム』と呼ばれた」。

2.主の裁定

・主は言われた「あなた方は預言者であるが、モーセは預言者以上の者だ。何故、非難するのか」。
−民数記12:6-8「あなたたちの間に預言者がいれば、主なる私は幻によって自らを示し、夢によって彼に語る。私の僕モーセはそうではない。彼は私の家の者すべてに信頼されている。 口から口へ、私は彼と語り合う。あらわに、謎によらずに。主の姿を彼は仰ぎ見る。あなたたちは何故、畏れもせず、私の僕モーセを非難するのか。」
・神が選ばれたモーセを非難することは、神を非難することであった。相応の罰がミリアムに与えられた。
−民数記12:9-10「主は、彼らに対して憤り、去って行かれ、雲は幕屋を離れた。その時、見よ、ミリアムは重い皮膚病にかかり、雪のように白くなっていた。アロンはミリアムの方を振り向いた。見よ、彼女は重い皮膚病にかかっていた」。
・ミリアムはらい病になった。モーセはアロンの懇願を受け、ミリアムのための執り成しを神に願う。
−民数記12:11-13「アロンはモーセに言った『わが主よ。どうか、私たちが愚かにも犯した罪の罰を私たちに負わせないでください。どうか、彼女を、肉が半ば腐って母の胎から出て来た死者のようにしないでください』。モーセは主に助けを求めて叫んだ『神よ、どうか彼女をいやしてください』」。
・ここではミリアムだけが罰せられ、アロンには罰が与えられない。12:1ではミリアムの名がアロンの前に来る。ミリアムが主導し、アロンはそれに従っただけなのであろう。

3.この物語をどう読むか

・古代の人々はらい病を「天刑病」と呼んだ。ヘブル語ツァラアトは「汚れ」、「しみ」を意味するが、同時に宗教的な「穢れ」をも意味した。それは罪を犯したために神に呪われた病として嫌われ、病者は隔離され、日常生活から排除された。民数記12章でも「罪に対する罰」としてらい病が位置づけられている。
-レビ記13:45-46「重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、『私は汚れた者です。汚れた者です』と呼ばわらねばならない・・・その人は独りで宿営の外に住まねばならない」。
・しかしイエスはこの戒律を愛の故に乗り越えられる。イエスは私たちの苦しみを知っておられるゆえに、私たちを救われる。彼はらい病を患う人を憐れみ、彼に触れ、そして癒された。「らい病者にふれてはいけない」という戒めを、愛のゆえに破られる。
-マルコ1:40-42「重い皮膚病を患っている人が、イエスのところに来てひざまずいて願い『御心ならば、私を清くすることがおできになります』と言った。イエスが深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ、『よろしい。清くなれ』と言われると、たちまち重い皮膚病は去り、その人は清くなった」。
・モーセは自分を呪ったミリアムのための執り成しを祈る。神を信じる者は、自分を呪う者のために祈る。
−マタイ5:44-46「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。・・・ 自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか」。
・主は「7日の間ミリアムを隔離して、それから宿営に戻しなさい」と言われた。ミリアムは神に反逆したにもかかわらず、軽い罰で赦された。モーセの執り成しの祈りのためである。執り成しの祈りは力を持つ。
−ヤコブ5:13-15「あなたがたの中で苦しんでいる人は、祈りなさい。喜んでいる人は、賛美の歌をうたいなさい。あなたがたの中で病気の人は、教会の長老を招いて、主の名によってオリーブ油を塗り、祈ってもらいなさい。信仰に基づく祈りは、病人を救い、主がその人を起き上がらせてくださいます。その人が
罪を犯したのであれば、主が赦してくださいます」。
・その後にも同じような反逆が次々に起こる。人は誰でも自分がリーダーになりたいのだ。
−民数記16:1-3「レビの子ケハトの孫でイツハルの子であるコラは、ルベンの孫でエリアブの子であるダタンとアビラム、およびペレトの子であるオンと組み、集会の召集者である共同体の指導者、二百五十名の名のあるイスラエルの人々を仲間に引き入れ、モーセに反逆した。彼らは徒党を組み、モーセとアロンに逆らって言った。『あなたたちは分を越えている。共同体全体、彼ら全員が聖なる者であって、主がその中におられるのに、なぜ、あなたたちは主の会衆の上に立とうとするのか。』」
・イエスは言われた「本当のリーダーは人の上に立つのではなく、人に仕えていく」と。ある人は語る「教会のリーダーシップとはサーバント・リーダーシップ、召使のリーダーシップである」。だから教会の執事は「仕える者」(ディアコノス)と呼ばれる。教会はイエスが言われたように「食事の席に着く者」ではなく、「食卓に給仕する者」を目指していく。その時、教会が神の国になっていく。
−マルコ10:42-45「あなたがたも知っているように、異邦人の間では、支配者と見なされている人々が民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。しかし、あなたがたの間ではそうではない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい」。

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