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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2012年1月26日祈祷会(ダニエル書11章、歴史と未来)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.過去の歴史を語るダニエル

・ダニエル書11章はペルシア時代からシリア時代までの歴史の回顧が成され、その中で現在直面する苦難への解決が模索される。最初にペルシア王ダレイオス3世(第四の王)のギリシア侵攻、アレキサンダー(勇壮な王)によるペルシアの滅亡、アレキサンダー死後の将軍たちによるギリシア帝国の分割が語られる。
−ダニエル11:2-4「見よ、ペルシアになお三人の王が立つ。次に、第四の王はだれにもまさって富み栄え、富の力をもってすべての者を動員し、ギリシア王国に挑戦する。そこに、勇壮な王が起こり、大いに支配し、ほしいままに行動する。その支配が確立するやいなや、この王国は砕かれて、天の四方向に分割される。彼の子孫はこれを継がず、だれも彼のような支配力を持つ者はない。この王国は根こそぎにされ、子孫以外の支配者たちに帰する」。
・エジプトを支配したプトレマイオス家(南の王)とシリアを征服したセレウコス家(北の王)がパレスチナの覇権をめぐって100年以上も和睦と争いを続ける(1次〜6次のシリア戦争)。エルサレム(麗しの地)はやがてシリア(北の王)の支配下に入る。
−ダニエル11:6-16「南の王の娘は北の王に嫁ぎ、両国の友好を図る。だが、彼女は十分な支持を得ず、その子孫も力を持たない。やがて、彼女も、供の者も、彼女の子らも、その支持者らも裏切られる・・・北の王は南の王国に向かって行くが、自分の国に引き揚げる。その子らは・・・敵の城塞に攻め寄せる。南の王は激怒して出陣し、北の王と戦う。北の王は大軍を集めて立ち向かうが、彼らは敵の手に陥る・・・北の王は再び前回にまさる大軍を集め数年の後に強力な軍隊の軍備を整えて進軍する・・・北の王は進軍し、堡塁を築き、砦に守られた町を占領する・・・敵は意のままに行動し、対抗する者はない。あの『麗しの地』に彼は支配を確立し、一切をその手に収める」。
・シリア王アンティオコス3世はエジプトを支配した後、ギリシアに侵攻するが、ローマに破れ、暗殺される。その子セレウコス4世も殺され、弟アンティオコス4世が王権を不当に奪取する。彼(アンティオコス・エピファネス)はユダヤ支配を目論見、大祭司オニアスを殺す。
−ダニエル11:18-23「彼(アンティオコス3世)は島々(ギリシア)に目を向け、その多くを占領するが、ある軍人が彼の悪行にとどめを刺し、その悪行に報いる・・・彼に代わって立つ者(セレウコス4世)は、王国の栄光のためにと税を取る者を巡回させる。しかし、幾日もたたないうちに、怒りにも戦いにも遭わずに滅び去る。代わって立つ者(アンティオコス4世)は卑しむべき者で、王としての名誉は与えられず、平穏な時期に現れ、甘言を用いて王権を取る。洪水のような勢力も彼によって押し流され、打ち破られ、契約の君(大祭司オニアス)も破られる。この王は、僅かの腹心と共に悪計を用いて多くの者と同盟を結び、勢力を増し、強大になって行く」。
・アンティオコス・エピファネスは繰り返しエジプトに侵攻するが、ローマ軍に妨げられて目的を達することができない。エジプト遠征の帰路、シリア王はエルサレムを略奪し、3日間で4万人を殺し、神殿の祭儀を禁止し、ゼウス像(憎むべき荒廃をもたらすもの)を立て、これを拝むように強制し、従わない者は殺していった。
−ダニエル11:31-33「彼は軍隊を派遣して、砦すなわち聖所を汚し、日ごとの供え物を廃止し、憎むべき荒廃をもたらすものを立てる。契約に逆らう者を甘言によって棄教させるが、自分の神を知る民は確固として行動する。民の目覚めた人々は多くの者を導くが、ある期間、剣にかかり、火刑に処され、捕らわれ、略奪されて倒される」。

2.未来を語るダニエル

・アンティオコス4世がエルサレムを略奪し、神殿にゼウス像を置いたのは紀元前167年であり、ダニエル書の著者はこれを記述し、他方、アンティオコスの死も、その後の神殿奪回・神殿の再奉献(共に前164年)も知らない。ダニエル書は前165年〜164年に書かれたと思われる。彼はいつこの迫害が止むかは知らないが、神の定められた時が来れば苦難は終わるとの強い信仰に支えられている。
−ダニエル11:35-36「これらの指導者の何人かが倒されるのは、終わりの時に備えて練り清められ、純白にされるためである。まだ時は来ていない。あの王はほしいままにふるまい、いよいよ驕り高ぶって、どのような神よりも自分を高い者と考える。すべての神にまさる神に向かって恐るべきことを口にし、怒りの時が終わるまで栄え続ける。定められたことは実現されねばならないからである」。
・これまで過去から現在が語られてきたが、40節から初めて未来が語られる。最初に語られるのは迫害者の死である。
−ダニエル11:40-45「終わりの時に至って、南の王は彼に戦いを挑む。それに対して北の王は、戦車、騎兵、大船隊をもって、嵐のように押し寄せ、各国に攻め入り、洪水のように通過して行く。あの『麗しの地』もこうして侵略され、多くの者が倒れる・・・彼は国から国へと手を伸ばし、エジプトもその手を免れえない・・・次いで、東と北からの知らせに危険を感じ、多くの者を滅ぼし絶やそうと、大いに激昂して進軍する。海とあの『麗しの地』の聖なる山との間に天幕を張って、王の宿営とする。しかし、ついに彼の終わりの時が来るが、助ける者はない」。
・そしてダニエル書で最も有名な箇所、死者の復活が預言される。これは旧約に初めて現れた復活の記述である。信仰のために殉教した者たちが死の眠りから目覚め、永遠の生命が与えられると著者は語る。
−ダニエル12:1-3「その時、大天使長ミカエルが立つ。彼はお前の民の子らを守護する。その時まで、苦難が続く。国が始まって以来、かつてなかったほどの苦難が。しかし、その時には救われるであろう、お前の民、あの書に記された人々は。多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。ある者は永遠の生命に入り、ある者は永久に続く恥と憎悪の的となる。目覚めた人々は大空の光のように輝き、多くの者の救いとなった人々はとこしえに星と輝く」。
・ダニエル書は狂信者の書いた妄想の書ではなく、冷静に歴史を回顧し、現在を見つめる書である。彼の時代、マカベア家を中心とした武力抗争に人々が巻き込まれていったが、彼はそれを評価しない。悪は現実にあるが、いつまでも永続しない。この世は神の支配する世であり、悪が一時的に栄えてもやがて神により裁かれる。だから彼は武器を取らないのである。それはイエスに継承された信仰である。
−マタイ26:52-54「そこで、イエスは言われた『剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。私が父にお願いできないとでも思うのか。お願いすれば、父は十二軍団以上の天使を今すぐ送ってくださるであろう。しかしそれでは、必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう」

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