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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2011年12月8日祈祷会(ダニエル書5章、ペルシャザルの見た幻)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.ペルシャザルの見た幻

・ダニエル書5章はバビロン帝国の最後の王ペルシャザル(正式にはナボニドス王の皇太子で摂政、王ではなかったが事実上王として活動していた)の見た幻を描く。ペルシャザルが酒宴を催している時に、神の指が現れ、帝国の滅亡が預言される。歴史的にはバビロン帝国は前539年、メディア・ペルシャ連合軍の侵略により滅んだ。物語はペルシャザル王が酒宴の戯れに、先王ネブカドネザルがエルサレム神殿から略奪してきた聖具で酒を飲むところから始まる。
-ダニエル5:1 -4「ベルシャツァル王は、千人の貴人たちのために大宴会を催し、その千人の前でぶどう酒を飲んでいた。ベルシャツァルは、ぶどう酒を飲みながら、父ネブカデネザルがエルサレムの宮から取って来た金、銀の器を持って来るように命じた。王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちがその器で飲むためであった。そこで、エルサレムの神の宮の本堂から取って来た金の器が運ばれて来たので、王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちはその器で飲んだ。彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美した」。
・「神殿の聖具」で酒を飲むことはユダヤ人には許しがたい冒涜だった。しかしバビロン王にとっては単なる戯れであった。かつて織田信長は自分が攻め滅ぼした武将の頭蓋骨を杯にして配下の将たちに酒を飲ませたが、それも自分こそ全土の支配者であり、恐れるものはないとの傲慢の故であろう。傲慢は神が糾されるとダニエル書の著者は信じる。
-ダニエル5:5-9「その時、人の手の指が現れて、ともし火に照らされている王宮の白い壁に文字を書き始めた。王は書き進むその手先を見た。王は恐怖にかられて顔色が変わり、腰が抜け、膝が震えた。王は大声をあげ、祈祷師、賢者、星占い師などを連れて来させ・・・言った『この字を読み、解釈をしてくれる者には、紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうちの第三の位を与えよう』。宮廷の知者たちは皆、集まって来たが、だれもその字を読むことができず、解釈もできなかった。ベルシャツァル王はいよいよ恐怖にかられて顔色が変わり、貴族も皆途方に暮れた」。
・その時、王妃(あるいは皇太后)が来て、ダニエルという智者がいるので彼を召すように進言し、ダニエルが召される。先王ネブカドネザルに仕えていたダニエルはこの時、80歳を超える高齢になっていたであろう。
-ダニエル5:13-16「ダニエルが王の前に召し出された。王は彼に言った『父王がユダから捕らえ帰ったユダヤ人の捕囚の一人、ダニエルというのはお前か。聞くところによると、お前は神々の霊を宿していて、すばらしい才能と特別な知恵を持っているそうだ。賢者や祈祷師を連れて来させてこの文字を読ませ、解釈させようとしたのだが、彼らにはそれができなかった。お前はいろいろと解釈をしたり難問を解いたりする力を持つと聞いた。もしこの文字を読み、その意味を説明してくれたなら、お前に紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうち第三の位を与えよう』」。
・ダニエルは父王ネブカドネザルさえ神の前にへりくだったのに、あなたはへりくだることをせず、許しがたい冒涜行為をした。だから神があなたを裁かれる」と大胆に預言する。
-ダニエル5:18-24「王様、いと高き神は、あなたの父ネブカドネツァル王に王国と権勢と威光をお与えになりました。その権勢を見て、諸国、諸族、諸言語の人々はすべて、恐れおののいたのです。父王様は思うままに殺し、思うままに生かし、思うままに栄誉を与え、思うままに没落させました。しかし、父王様は傲慢になり、頑に尊大にふるまったので、王位を追われ、栄光は奪われました・・・ベルシャツァル王よ、あなたはその王子で、これらのことをよくご存じでありながら、なお、へりくだろうとはなさらなかった。天の主に逆らって、その神殿の祭具を持ち出させ、あなた御自身も、貴族も、後宮の女たちも皆、それで飲みながら、金や銀、青銅、鉄、木や石で造った神々・・・をほめたたえておられます。だが、あなたの命と行動の一切を手中に握っておられる神を畏れ敬おうとはなさらない。そのために神は、あの手を遣わして文字を書かせたのです」。

2.バビロン帝国の滅亡

・文字の謎解きが始まる。書かれた文字は「メネ、メネ、テケル、パルシン」であった。メネは数える、テケルは計る、パルシンは分ける、「神はあなたの治世を数えられ、あなたの力量は王として劣ると計られ、あなたの王国はメディアとペルシアという二つの国に分けられる」という意味であった。
-ダニエル5:25-28「書かれた文字はこうです。メネ、メネ、テケル、そして、パルシン。意味はこうです。メネは数えるということで、すなわち、神はあなたの治世を数えて、それを終わらせられたのです。テケルは量を計ることで、すなわち、あなたは秤にかけられ、不足と見られました。パルシンは分けるということで、すなわち、あなたの王国は二分されて、メディアとペルシアに与えられるのです」。
・預言通りペルシア軍の将軍がその夜バビロンに侵攻し、ペルシャザル王は殺され、バビロン帝国は滅んだ。伝承ではバビロン帝国は一夜の内に滅んだと言われている。
-ダニエル5:29-30「これを聞いたベルシャツァルは、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖をその首にかけるように命じ、王国を治める者のうち第三の位を彼に与えるという布告を出した。その同じ夜、カルデア人の王ベルシャツァルは殺された」。
・この物語が実際はシリア王アンティオコスに向けて語られているのは明らかであろう。アンティオコスはエルサレムの聖所を襲い、神殿の金銀を奪うという(第一マカベヤ書1:21-24)神に対する冒涜行為を犯した。「アンティオコスの時は数えられ、王として相応しくないと計られ、彼の王国は他の者に分配される」というメッセージを著者は発している。神は人間の生命と運命をその手に握っておられ、神を無視する人々の上に天の報いは下るというのが著者の信仰であり、聖書の信仰である。人は命の支配者ではないことを知れと聖書はメッセージする。
-ルカ12:18-21「(愚かな金持ち)は言った『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と』。しかし神は『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこのとおりだ」。
・「キリスト教と歴史」を書いたハーバート・バターフィールズは言う「歴史における裁きは自らを神と考えるようになった者の上に最も激しく降りかかる」。ギボン著「ローマ帝国衰亡史」によれば、歴代のローマ皇帝の65%は自然死以外の死因で死んでおり、死因のトップは暗殺、次が自殺という。この時、イエスの言われた「人の上に立ちたい者は支配するのではなく、仕えなさい」という言葉の意味が見えてくる。聖書は私たちに、世の支配者になるということは、「暗殺や自殺で終わるような人生を歩むことだ」と示す。
-マルコ10:42-45「あなたがたも知っているように、異邦人の間では、支配者と見なされている人々が民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。しかし、あなたがたの間では、そうではない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである」。

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