江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2005年4月27日祈祷会(申命記の概要)

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1.申命記はイスラエルに対するモーセの告別説教の形を採る。イスラエルはホレブ(シナイ)で十戒を受け取ったが、主にそれ以上聞くことが出来ず、モーセが代表して全ての律法を聞いた。それをモーセは死を前にして民に告げる。
「5:1 モーセは、全イスラエルを呼び集めて言った。イスラエルよ、聞け。今日、わたしは掟と法を語り聞かせる。あなたたちはこれを学び、忠実に守りなさい。5:2 我々の神、主は、ホレブで我々と契約を結ばれた。5:3 主はこの契約を我々の先祖と結ばれたのではなく、今ここに生きている我々すべてと結ばれた。」
「6:1 これは、あなたたちの神、主があなたたちに教えよと命じられた戒めと掟と法であり、あなたたちが渡って行って得る土地で行うべきもの。」

2.勧告

?申命記の説教はモアブの地、ヨルダン川のかなたでイスラエルに与えられたとして述べられている。イスラエルを主の民として選んだことと神の救済約束の成就の間に現在はあるが、イスラエルは今、主の呼びかけを見失ってしまう大きな危機の中にあるとの認識がある。

?基本構想
・天地は主に属するが、主はイスラエルの族長たちに耳を傾け、彼らを愛し、彼らとその子孫に誓いによってカナンの地を約束した。
「6:10 あなたの神、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに対して、あなたに与えると誓われた土地にあなたを導き入れ、・・・6:12 あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出された主を決して忘れないよう注意しなさい。」
・主は全ての民の中でイスラエルだけを選んだ。この選びは神の愛による。
「7:7 主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。7:8 ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが支配する奴隷の家から救い出されたのである。」
・主から与えられたのは土地であり平安であった。
「8:7 あなたの神、主はあなたを良い土地に導き入れようとしておられる。それは、平野にも山にも川が流れ、泉が湧き、地下水が溢れる土地、8:8 小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土地、オリーブの木と蜜のある土地である。8:9 不自由なくパンを食べることができ、何一つ欠けることのない土地であり、石は鉄を含み、山からは銅が採れる土地である。」

?神がこのように恵まれた、故におまえ達は神を愛し、従わなければならないと説教は示す。
・アピールの鋭さは信仰の伝承に危険な断絶があることを示す。
「11:1 あなたは、あなたの神、主を愛し、その命令、掟、法および戒めを常に守りなさい。11:2 あなたたちは、あなたたちの神、主の訓練を知ることも見ることもない子孫とは違うことを、今日知らねばならない。」
・この時代、主とその慈しみを人々は忘れていた。故に説教が必要であった。
「6:12 あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出された主を決して忘れないよう注意しなさい。6:13 あなたの神、主を畏れ、主にのみ仕え、その御名によって誓いなさい。6:14 他の神々、周辺諸国民の神々の後に従ってはならない。6:15 あなたのただ中におられるあなたの神、主は熱情の神である。あなたの神、主の怒りがあなたに向かって燃え上がり、地の面から滅ぼされないようにしなさい。」
?第一の戒めは主を愛すること、そこから全ての戒めは出てくる。この戒めは繰り返し語られる。
「6:4 聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。6:5 あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。」

3.律法

?この戒めを具体化するのが律法で12章から始まる。
・それは説教される戒めとして語られる。中心は主の選ばれたただ一つの場所で礼拝を献げよとの教えである。多くの聖所に分割され、カナンの宗教と混合して荒廃した主礼拝の改革である。
「12:11 あなたたちの神、主がその名を置くために選ばれる場所に、わたしの命じるすべてのもの、すなわち焼き尽くす献げ物、いけにえ、十分の一の献げ物、収穫物の献納物、および主に対して誓いを立てたすべての最良の満願の献げ物を携えて行き、12:12 あなたたちの神、主の御前で、息子、娘、男女の奴隷、町の中に住むレビ人と共に、喜び祝いなさい。」

?律法は12〜23章に細かく規定されている。12〜16章は祭儀に関する規定、16〜17章は職位に関する規定、19―21章は刑事法、21―23章は民事法である。

?イスラエルに与えられる秩序は主に属する民としての秩序である。
「28:8 主は、あなたのために、あなたの穀倉に対しても、あなたの手の働きすべてに対しても祝福を定められ、あなたの神、主が与えられる土地であなたを祝福される。・・・あなたを聖なる民とされる。28:10 地上のすべての民は、あなたに主の御名が付けられるのを見て、あなたに畏れを抱く。28:11 主は、あなたに与えると先祖に誓われた土地で、あなたの身から生まれる子、家畜の産むもの、土地の実りを豊かに増し加え、28:12 恵みの倉である天を開いて、季節ごとにあなたの土地に雨を降らせ、あなたの手の業すべてを祝福される。」

?申命記の中心は教えである。
・しかし、申命記の要求する服従は決して選びの前提ではなく、帰結である。
「27:9 モーセは、レビ人である祭司と共に全イスラエルに向かって告げた。イスラエルよ、静かにして聞きなさい。あなたは今日、あなたの神、主の民とされた。27:10 あなたの神、主の御声に聞き従い、今日わたしが命じる戒めと掟を行わねばならない。」
・それは主を愛し、主のみを信奉せよとの戒めの大きな解釈である。イスラエルを愛された神への応答として戒めがあり、戒めは救いの結果与えられる。
「7:6 あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。あなたの神、主は地の面にいるすべての民の中からあなたを選び、御自分の宝の民とされた。・・・7:11 あなたは、今日わたしが、「行え」と命じた戒めと掟と法を守らねばならない。」
・救済財の受領を条件的な意味でイスラエルの服従と関連付けている文も少なからずある。その場合も主の選びと愛が前提になっている。贈られた現実を今,イスラエルの側からも受入れ、服従と感謝をもってその現実に入って行くようにとの励ましが主題になっている。命令文の前に直説法がある。
「14:2 あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。主は地の面のすべての民の中からあなたを選んで、御自分の宝の民とされた。・・・14:22 あなたは、毎年、畑に種を蒔いて得る収穫物の中から、必ず十分の一を取り分けねばならない。・・・15:1 七年目ごとに負債を免除しなさい。」

4.申命記の最後のメッセージ

?申命記は不服従のうちに浪費してしまった700年間を棒引きにして、イスラエルを今一度荒野に連れ戻し、モーセに語らせる。
・今、この民は荒野の民とはことなり、文化的・政治的・経済的に全く別の状況の中で暮らしている。そして、かたくなな民である。
「9:6 あなたが正しいので、あなたの神、主がこの良い土地を与え、それを得させてくださるのではないことをわきまえなさい。あなたはかたくなな民である。9:7 あなたは荒れ野で、あなたの神、主を怒らせたことを思い起こし、忘れてはならない。あなたたちは、エジプトの国を出た日からここに来るまで主に背き続けてきた。」
・それにも関わらず、かってと同じように救いが約束される。彼は繰り返し「今日」と言う言葉を用いる。今日と言う言葉はシナイの戒めをこの時代に現実化する情熱の言葉である。
「5:3 主はこの契約を我々の先祖と結ばれたのではなく、今ここに生きている我々すべてと結ばれた」
・しかし、同時にこのイスラエルがまだ救済の途上にあることも示される。
「12:9 あなたの神、主が与えられる安住の地、嗣業の土地に、あなたたちはまだ入っていない」

?しかし、イスラエルはヤハウェに戻らなかった。それ故、民に審きが望む。28:25―29:28は前587年のバビロン捕囚後の状況を反映している。民は捕囚の地で申命記を読み直し、神の前に置かれた祝福と呪いの後者を選んだと理解した。
「29:23 国々の民はこぞって言うであろう。「なぜ主は、この国にこのようなことをなさったのか。どうしてこのように激しく怒りを燃やされたのか。」29:24 それに対して、人々は言うであろう。「彼らの先祖の神、主がエジプトの国から彼らを導き出されたとき結ばれた契約を、彼らが捨て、29:25 他の神々のもとに行って仕え、彼らの知らなかった、分け与えられたこともない神々にひれ伏したからである。29:26 主の怒りはそれゆえ、この国に向かって燃え、この書に記されている呪いがことごとく臨んだのである。29:27 主は激しい怒りと大いなる憤りをもって彼らを大地から抜き取り、他国に投げ捨てられ今日のようにされた。」

?モーセの最後の遺言も空しくなった。
「32:45 モーセは全イスラエルにこれらの言葉をすべて語り終えてから、32:46 こう言った。「あなたたちは、今日わたしがあなたたちに対して証言するすべての言葉を心に留め、子供たちに命じて、この律法の言葉をすべて忠実に守らせなさい。32:47 それは、あなたたちにとって決してむなしい言葉ではなく、あなたたちの命である。この言葉によって、あなたたちはヨルダン川を渡って得る土地で長く生きることができる。」

?申命記著者の信仰を受け継ぐ捕囚の史家(申命記史家と呼ばれる)はこの審きの中に救いを見る。民は不服従の結果として今呪いを受けた。しかし、神は残りの者を祝福される。その希望を反映しているのが列王記25:27と言われる。
「?列王記 25:27 ユダの王ヨヤキンが捕囚となって三十七年目の第十二の月の二十七日に、バビロンの王エビル・メロダクは、その即位の年にユダの王ヨヤキンに情けをかけ、彼を出獄させた。」

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