江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2011年12月10日説教(ルカ1:26-38、Let it be)

投稿日:2011年12月10日 更新日:

・新会堂の完成とクリスマスを祝ってコンサートを開くことになりました。今日、歌っていただく曲の一つはビートルズのポール・マッカートニーが創った「Let it be」です。「Let it be」の最初の歌詞は次のようになっています「When I find myself in times of trouble Mother Mary comes to me Speaking words of wisdom Let it be. And in my hour of darkness She is standing right it front of me Speaking words of wisdom Let it be.」日本語に訳すと次のようになります「悩み苦しんでいる時、母マリアが現れて、智慧の言葉を話してくれた『御心のままに』と、暗闇でさまよっている時、彼女が私の前に現れて、智慧の言葉を話してくれた『御心のままに』」。
・母マリアとはもちろんイエスの母マリアです。同時にポール・マッカートニーの母親の名前はマリア(メアリー)であり、熱心なカトリック教徒で、ポール自身もカトリックの洗礼を受けています。彼の母メアリー・マッカトニーはポールが14歳の時に亡くなっています。ポールがこの曲を書いた時、ビートルズは解散の危機にありました。現にこの曲はビートルズの最後のシングル盤になりました。書かれたのは1970年、ポールとジョン・レノンの考え方の違いから、もう一緒にはやっていけないのではないかと双方が思い始めていた時です。その時に、夢枕に母メアリーが現れた。そして「全てを神様に委ねなさい」と彼に言った。その母からの言葉が、「Let it be」です。「Let it be」を「なるがままに」と訳すれば希望を失った人の言葉です。「御心のままに」と訳した時、この歌の本当の姿が見えてきます。
・「御心のままに」という言葉は、聖書のルカ福音書の中にある言葉です。天使ガブリエルがナザレという村のマリアのもとを訪れて「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」(ルカ1:28)と言う挨拶をします。マリアは驚きます「何がおめでたいのか」わからないからです。その彼女にガブリエルは伝えます「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい」。イエス、へブル語ではヨシュア=神は救いと言う意味です。マリアはヨセフと婚約していますが、まだ結婚はしていません。その未婚のマリアに「あなたは身ごもって男の子を産む」と告げられます。
・マリアはこの知らせを聞いて困ったと思います。受胎告知と言いますと、私たちはレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「受胎告知」を思い浮かべます。神の子を宿す聖なる器として選ばれたことを告げる天使ガブリエルと、それを静かに受けるマリアの穏やかな表情が印象的な絵画です。しかし実際の受胎告知はそのようなロマンチックなものではありません。それはマリアの言葉に表れています「どうして、そのようなことがありえましょうか。私は男の人を知りませんのに」(1:34)。別の訳では「私にはまだ夫がありませんのに」。女性にとって子を産むことは祝福ですが、それは夫があり家族がある時の話です。夫なしに子を生むことは社会的困難を招きます。
・婚約中の女性が婚約相手以外の子を産む、それは人の眼からみれば不倫を犯したことになります。現に婚約者ヨセフもそう思い、マリアを密かに離別しようとします(マタイ1:18-19)。彼女は戸惑い、抗議します「私にはまだ夫がありませんのに」。ユダヤの法律では不倫は姦通罪となり、死刑の対象でした(申命記22:23-24)。
・天使は答えます「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる・・・神に出来ないことは何一つない」(1:35-37)。そういわれても困ります。マリアも困った。しかし彼女はためらいながらも答えます「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」(1:38)。英語訳聖書(NKJ)は次のように訳します「Behold the maidservant of the Lord! Let it be to me according to your word」。 Let it be=御心のままに、「何故私にこのようなことが起こるのか私にはわかりません。わかりませんが、あなたがそう言われるのであれば受入れます」とマリアは答えます。
・マリアに与えられた道は困難な道でした。しかし、戸惑いながらも彼女は答えます「御心のままに」。婚約者ヨセフは当初マリアを離別しようと思いますが、マリアの罪ではないことを知り、やがて彼女を妻として受け入れ、子イエスを自分の息子として認知します。ルカ1章後半に「マリアの賛歌」がありますが、その47-48節で彼女は歌います「私の魂は主をあがめ、私の霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも、目を留めてくださったからです」。「主のはしためにも、目を留めてくださった」、婚約者ヨセフが受入れてくれた喜びをマリアはここに歌っています。
・私たちの人生には不条理があります。理解できない苦しみや災いがあります。希望の道が閉ざされて考えもしなかった道に導かれることもあります。しかしその導きを神の御心と受け止めていった時に、苦しみや悲しみが祝福に変わる経験を私たちはします。「御心のままに」とは、幸福も不幸も神の摂理(計画)の中にあることを信じて、その現実を受入れることです。救いはそこから始まります。ヨブ記は記します「神は苦悩の中で、苦悩を通して、私たちの耳を開いてくださる」(ヨブ36:15)。「御心のままに」、「Let it be」、ここに聖書の信仰があります。ビートルズの「Let it be」は現代の賛美歌なのです。

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