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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2024年11月13日祈祷会(ガラテヤ1章、福音から離れ始めたガラテヤの諸教会へ)

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1.福音から離れ始めたガラテヤ諸教会へ

 

・パウロは小アジアのアンティオキアやルステラ、イコニウム等の諸都市を何度か訪れて伝道し、ガラテヤ地方にいくつかの教会が生まれた。彼はその後エペソに移るが、そのパウロの所に、「ガラテヤの人々がパウロの伝えた福音から離れ、割礼を受けようとしている」との知らせが届いた。パウロは、ガラテヤの人々がこんなにも簡単に福音から離れて行ったことに驚き、失望して、手紙を書く。

-ガラテヤ1:1-7「人々からでもなく、人を通してでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロ、ならびに、私と一緒にいる兄弟一同から、ガラテヤ地方の諸教会へ・・・キリストの恵みへ招いてくださった方から、あなたがたがこんなにも早く離れて、ほかの福音に乗り換えようとしていることに、私はあきれ果てています。ほかの福音といっても、もう一つ別の福音があるわけではなく、ある人々があなたがたを惑わし、キリストの福音を覆そうとしているにすぎないのです」。

・エルサレム教会からの宣教師たちはユダヤ教の支配下にあり、「割礼を受けなければ救われない」と主張し、人々に割礼を受けさせようとしていた。パウロは「割礼なしに救われないなら、キリストは何のために死なれたのか」と人々に迫る。

-ガラテヤ2:21「私は、神の恵みを無にはしません。もし、人が律法のお陰で義とされるとすれば、それこそ、キリストの死は無意味になってしまいます」。

・イエスの直弟子である十二使徒を中心に形成されたエルサレム教会は、保守的な教会であり、「パウロの信仰は正統から逸脱した異端だ」と攻撃した。あくまでも正当な教会はエルサレムであると主張した。そのため、パウロは手紙の冒頭で、「自分の使徒性は人によらず、キリストと神からの直接の召しによる」ものであるあることを強調する。

-ガラテヤ1:1-2「人々からでもなく、人を通してでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロ・・・から、ガラテヤ地方の諸教会へ」。

・パウロは語る「私は復活の主に出会い、直接召された。そのキリストは私たちの罪の赦しのために死んで下さった。福音とはキリストに示された十字架と復活以外にはないのだ」と。

-ガラテヤ1:4「キリストは、私たちの神であり父である方の御心に従い、この悪の世から私たちを救い出そうとして、御自身を私たちの罪のために献げてくださったのです」。

・異なる福音などない。キリストを信じるか、サタンを信じるかのどちらかだとパウロは迫る。パウロは母教会のエルサレム教会からの宣教師たちを「サタン」と呼ぶ激しさで攻撃する。

-ガラテヤ1:8-9「たとえ私たち自身であれ、天使であれ、私たちがあなたがたに告げ知らせたものに反する福音を告げ知らせようとするならば、呪われるがよい。私たちが前にも言っておいたように、今また、私は繰り返して言います。あなたがたが受けたものに反する福音を告げ知らせる者がいれば、呪われるがよい」。

 

2.神から直接受けた福音を私は伝えた

 

・反対者たちは、パウロの教えはエルサレム教会の教えと異なると批判した。エルサレム教会の主力はヘブライ主義者(ヘブライ語を話す地元ユダヤ人)であり、律法を重視する。だから彼らはユダヤ教当局からの迫害は受けていない。他方、パウロの属するヘレニズム主義者(海外居住のユダヤ人)はユダヤ教から異端として迫害された。パウロは復活のキリストとの直接の出会いによって回心した。だから彼は反論する「自分は人から教えられたのではなく、直接キリストから啓示された福音を伝えている」。

-ガラテヤ1:11-12「あなたがたにはっきり言います。私が告げ知らせた福音は、人によるものではありません。私はこの福音を人から受けたのでも教えられたのでもなく、イエス・キリストの啓示によって知らされたのです」。

・パウロはかつて熱心な律法主義者であったが、キリストとの出会いにより変えられた。パウロは語る「今あなたがたは福音から律法に後戻りしようとしているが、律法はキリストの福音と対立する」と。

-ガラテヤ1:13-14「あなたがたは、私がかつてユダヤ教徒としてどのようにふるまっていたかを聞いています。私は、徹底的に神の教会を迫害し、滅ぼそうとしていました。また、先祖からの伝承を守るのに人一倍熱心で、同胞の間では同じ年ごろの多くの者よりもユダヤ教に徹しようとしていました」。

・キリストに出会って全てが変えられた。福音の迫害者であったパウロが福音の宣教者として召され、アラビアの荒野でその確信を持たされ、直ちにダマスコでの宣教に赴いている。

-ガラテヤ1:15-17「私を母の胎内にある時から選び分け、恵みによって召し出してくださった神が、御心のままに、御子を私に示して、その福音を異邦人に告げ知らせるようにされたとき、私は、すぐ血肉に相談するようなことはせず、また、エルサレムに上って、私より先に使徒として召された人たちのもとに行くこともせず、アラビアに退いて、そこから再びダマスコに戻ったのでした」。

・3年後にパウロはエルサレムに行き、使徒たちと会い、その後アンティオキア教会で伝道を行った。その期間は14年にも及ぶが、詳細を聖書は述べない。恐らくは特記すべき業績を上げなかったのだろう。パウロのような劇的な召命を受けた伝道者でも、評価されるまでには長い訓練と忍耐の時を必要とした。

-ガラテヤ1:21-23「その後、私はシリアおよびキリキアの地方へ行きました。キリストに結ばれているユダヤの諸教会の人々とは、顔見知りではありませんでした。ただ彼らは『かつて我々を迫害した者が、あの当時滅ぼそうとしていた信仰を、今は福音として告げ知らせている』と聞いて、私のことで神をほめたたえておりました」。

 

3.ガラテヤ書は何故書かれたのか

 

・パウロはバルナバによりアンティオキア教会に招かれ、宣教の働きを始めた。アンティオキアにはユダヤ人もギリシア人もいたが、民族の差異に関らず、信徒の交わりが行われ、ここで始めて教会の信徒たちが、「キリスト者」と呼ばれた。他方、エルサレム教会はユダヤ教キリスト派に留まっていた。

-使徒11:25-26「バルナバはサウロを捜しにタルソスへ行き、見つけ出してアンティオキアに連れ帰った。二人は、丸一年の間そこの教会に一緒にいて多くの人を教えた。このアンティオキアで、弟子たちが初めてキリスト者と呼ばれるようになったのである」。

・エルサレム教会の主流派は、「異邦人も割礼を受けて律法を守らなければいけない」と主張し、教会に混乱が起き始めた。バルナバとパウロは問題を話し合うためにエルサレムに行った。

-使徒15:1-2「ある人々がユダヤから下って来て『モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない』と兄弟たちに教えていた。それで、パウロやバルナバとその人たちとの間に、激しい意見の対立と論争が生じた。この件について使徒や長老たちと協議するために、パウロとバルナバ、そのほか数名の者がエルサレムへ上ることに決まった」。

・これがガラテヤ書にある問題の背景だ。キリスト教がユダヤ教から脱皮するための混乱だった。

-ガラテヤ2:11-13「ケファがアンティオキアに来た時・・・ケファは、ヤコブのもとからある人々が来るまでは、異邦人と一緒に食事をしていたのに、彼らがやって来ると、割礼を受けている者たちを恐れてしり込みし、身を引こうとしだしたからです。そして、ほかのユダヤ人も、ケファと一緒にこのような心にもないことを行い、バルナバさえも彼らの見せかけの行いに引きずり込まれてしまいました」。

・割礼とは何か。最初に割礼を受けるように求められたのはアブラハムだった。選ばれて神の民となったのだから、「恵みのしるしとして一族すべてが割礼を受けなさい」と命じられた(創世記17:9)。祝福のしるしとしての割礼がそのうちに、「割礼を受けない者は救われない」、「割礼を受けない者は呪われる」と変わっていく。エルサレム教会から派遣された伝道者たちも、ユダヤ人(アブラハムの子孫)として割礼を受けていた。だから他者にも割礼を強要するようになり、いつの間にか、「割礼を受けることが救いの要件」になっていった。恵みとしての律法が、人を縛り、不自由にさせるものに変化していく。

・現代の割礼は洗礼である。私たちの中にも、「洗礼を受けなければ救われない」との考え方がある。洗礼は救われた感謝として受けるが、いつの間にか「洗礼を受けたのだから私は天国に行ける、あの人は洗礼を受けていないから救われない」と言い始める。洗礼という感謝の行為が、救いの条件になってしまい、受けない人を排除する行為になり、時には、それが教会を二分する争いになる。

-上村静・「イエス、人と神へ」から「イエスの伝える神の支配のメッセージは“人は良いものではないが、そのままで生かされてある”というものであった。イエスの復活顕現を体験した弟子たちは、“キリストの出来事によって人の罪は赦される”と信じた。両者とも『人は罪を背負った存在であるが、その人間を神は一方的に受容する』と語る。これが福音である。イエスも弟子たちもパウロも、それを宣べ伝えようとした。しかし、やがて教会は、福音を告げ知らせるだけでなく、その受容(信仰)を救済の条件にしてしまう。それはもはや“良い知らせ”ではない」。

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