江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年10月7日祈祷会(ヨハネ黙示録18章、大バビロンが倒れた)

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1.大淫婦ローマ(黙示録17章)

・黙示録17章では、鉢を持った七人の天使が、ローマの真実の姿をヨハネに見せる。彼女は獣=サタンにまたがる大淫婦であった。ローマは、皇帝を神と呼んで礼拝することを求め(神への姦淫)、諸国の王はこれに従っていた。女は高価な布で身をまとい、宝石で飾り、汚れに満ちた金の杯を持ち、聖徒たちの血に酔いしれていた。
-黙示録17:3-6「私は、赤い獣にまたがっている一人の女を見た。この獣は、全身至るところ神を冒涜する数々の名で覆われており、七つの頭と十本の角があった。女は紫と赤の衣を着て、金と宝石と真珠で身を飾り、忌まわしいものや、自分のみだらな行いの汚れで満ちた金の杯を手に持っていた。その額には、秘められた意味の名が記されていたが、それは『大バビロン、みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの母』という名である。私は、この女が聖なる者たちの血と、イエスの証人たちの血に酔いしれているのを見た」。
・当時のローマは繁栄の絶頂にあり、地上の人々はローマ皇帝を拝した。しかし、そのローマも神の目から見れば、サタンに身を売り渡した淫婦に過ぎない。ローマの歴代皇帝は暗殺されるか、自殺している。神の審きは始まっている。ネロが復活して再び帝位につくとのうわさもあるが、彼もやがて滅びる。大淫婦ローマは地上の王たちを支配しているが、やがて滅ぼされると預言される。
-黙示録17:15-16「天使はまた、私に言った『あなたが見た水、あの淫婦が座っている所は、さまざまの民族、群衆、国民、言葉の違う民である。また、あなたが見た十本の角とあの獣は、この淫婦を憎み、身に着けた物をはぎ取って裸にし、その肉を食い、火で焼き尽くすであろう』」。
・不正が正され、最後の裁きが行われるまで、地上の支配権は獣=サタンに与えられている。しかし、それは“しばらくの間=3年半”であり、その間にも天上の準備は進んでいる。だから、待てと命じられる。神の審判の御手は歴史の中に働き続け、進展し続けている。キリスト者の血を流した者は、その報復を受ける。だから審きは神に委ねよと私たちは命じられる。

2.バビロンの滅亡(黙示録18章)

・ヨハネは別の天使が天から降り、「大バビロンが倒れた」と叫ぶ声を聞いた。神に逆らう者に神の怒りの杯が投げられた。驕り高ぶる者は倒された。
-黙示録18:1-3「私は、大きな権威を持っている別の天使が、天から降って来るのを見た。地上はその栄光によって輝いた。天使は力強い声で叫んだ『倒れた。大バビロンが倒れた。そして、そこは悪霊どもの住みか、あらゆる汚れた霊の巣窟、あらゆる汚れた鳥の巣窟、あらゆる汚れた忌まわしい獣の巣窟となった。すべての国の民は、怒りを招く彼女のみだらな行いのぶどう酒を飲み、地上の王たちは、彼女とみだらなことをし、地上の商人たちは、彼女の豪勢なぜいたくによって富を築いたからである。」
・バビロン滅亡の主な理由は「みだらな行い(皇帝礼拝)」、「キリスト教徒に対する迫害」、「富の搾取」である。地上にいる神の民にはローマから離れるように勧められる。ローマは火で焼かれる、あなた方はその災禍から逃れよと言われる。共に滅びないためである。
-黙示録18:4-8「私はまた、天から別の声がこう言うのを聞いた『私の民よ、彼女から離れ去れ。その罪に加わったり、その災いに巻き込まれたりしないようにせよ。彼女の罪は積み重なって天にまで届き、神はその不義を覚えておられるからである・・・一日のうちに、さまざまの災いが、死と悲しみと飢えとが彼女を襲う。また、彼女は火で焼かれる。彼女を裁く神は、力ある主だからである』」。
・ヨハネ黙示録ではバビロン滅亡の様は直接的には啓示されず、バビロンとの交易で利益を得ていた王や商人や船乗りたちの嘆きの声として表現される。
-黙示録18:9-10「彼女とみだらなことをし、ぜいたくに暮らした地上の王たちは、彼女が焼かれる煙を見て、そのために泣き悲しみ、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立ってこう言う『不幸だ、不幸だ、大いなる都、強大な都バビロン、お前は、ひとときの間に裁かれた』」。

・彼らはぜいたく品を扱い、大きな利益をあげ、ローマと取引を行うことによって、莫大な富を築いた。しかしローマの滅亡により、それも終わり、商人たちは嘆く。
-黙示録18:11-18「地上の商人たちは、彼女のために泣き悲しむ。もはやだれも彼らの商品を買う者がないからである・・・このような商品を扱って、彼女から富を得ていた商人たちは、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立って、泣き悲しんで、こう言う『不幸だ、不幸だ、大いなる都、麻の布、また、紫の布や赤い布をまとい、金と宝石と真珠の飾りを着けた都。あれほどの富が、ひとときの間に、みな荒れ果ててしまうとは』。すべての船長、沿岸を航海するすべての者、船乗りたち、海で働いているすべての者たちは、遠くに立ち、彼女が焼かれる煙を見て『これほど大きい都がほかにあっただろうか』と叫んだ」。

・地上ではバビロンの滅びを嘆く声が響き渡るが、天では正しい裁きが為されたことを喜ぶ声がこだまする。バビロンは滅び、ローマも滅びた。主は驕り高ぶるものを滅ぼされる。
-黙示録18:20-21「天よ、この都のゆえに喜べ。聖なる者たち、使徒たち、預言者たちよ、喜べ。神はあなたがたのために、この都を裁かれたからである・・・天使が、大きいひき臼のような石を取り上げ、それを海に投げ込んで、こう言った『大いなる都、バビロンは、このように荒々しく投げ出され、もはや決して見られない』」。

 

3.なぜバビロンなのか(村上伸説教集から)

 

・紀元前7世紀、メソポタミヤではアッシリヤに代わってバビロニヤが覇権を握り、当時の世界(中近東)を支配するようになった。ネブカドレツアル(前605-562)は大軍を率いてユダヤを侵略し、紀元前587年には首都エルサレムを占領する。こうして南王国ユダは滅亡、主だった人々はバビロンに強制連行された。「バビロン捕囚」である。ところが、紀元前539年には新興ペルシャ帝国キュロス王がバビロンを征服し、50年間捕囚であったユダヤ人を解放する。この「捕囚からの解放」は、「出エジプト」と並んで、深く民族の記憶に刻まれた。ヨハネ黙示録が「大バビロンが倒れた」と書いたのは、「バビロン捕囚からの解放」という民族の記憶を呼び起こしながら、「今のローマ帝国による支配・迫害も決して長くは続かない、やがてバビロンと同じようにローマも倒れて、我々は解放される」ということを言うためであろう。

・「倒れた。大バビロンが倒れた」(18:2)。大ローマも倒れる。その理由が3節に挙げられる。「地上の王たちは彼女とみだらなことをした」、これは歴代の皇帝たちの退廃を指しているのであろう。「みだらなこと」、必ずしも性的な退廃に限らず、人間的な退廃である。紀元37年から41年まで皇帝の位にあったカリグラは、自分は神であるといってエルサレム神殿に自分の像を建てさせようとし、またありとあらゆる悪行で知られ、最後は暗殺された。次に帝位に就いたクラウディウス(41-54年)は、四番目の后に毒を盛られて殺される。次のネロ(54-68年)は、ローマに火をつけて燃やし、キリスト教徒に罪を転嫁して迫害した後に自殺する。ネロ後はしばらく収拾のつかないほどの混乱が続き、陰謀・暗殺・反乱・戦争が渦巻く。黙示録が書かれた頃の皇帝はドミティアヌス(81-96年)だが、彼は皇帝礼拝を推進するなど、多くの悪政を行い、自分の妻に殺される。「そこは悪霊どもの住みか、あらゆる汚れた霊の巣窟、あらゆる汚れた鳥の巣窟、あらゆる汚れた忌まわしい獣の巣窟となった」(18:2)といわれているのも誇張とは思われない。

・ヨハネがこれを書いている時点では、ローマはまだ倒れていない。それどころか大いに繁栄し、いわば絶頂期にあった。「ローマの平和」(パックス・ロマーナ)と称えられ、大帝国は絶大な武力と経済力によって不平不満を押え込み、その意味で「平和」を実現していた。「すべての道はローマに通じ」ていたし、皇帝は帝国内の至る所で「神」として礼拝されていた。かげりが現れるまでには、なお300年の年月を経過しなければならない。帝国が東西に分裂したのは、皇帝テオドシウスの死後、紀元395年である。ゲルマン民族の侵入によって西ローマ帝国が滅びたのは、それからさらに100年ほど経った475年のことであり、東ローマ帝国がトルコに滅ぼされたのはずっと後の1453年である。

・ヨハネが黙示録を書いた頃、誰にも見えるような形でローマ滅亡が迫っていたわけではない。にもかかわらず、ヨハネはローマの滅びを預言する。ヨハネは、ローマの繁栄の陰に大きな問題が潜むことを見抜いていた。そして、18章後半で三つ目の要素を挙げている。「地上の王たち(皇帝)」(18:9)と、「地上の商人たち」(18:11)と、「海で働いているすべての者たち(海運業者)」(18:17)の三者、つまり政治と商業と流通が緊密に結び合って、いわば「癒着の構造」を形成していた。それは空前の経済的繁栄をローマにもたらしたが、その富と贅沢は今挙げた少数の人々、つまり権力者と、それに群がる利権集団に独占されていた。だが、そのような生き方がいつまでも許される筈はない。やがて必ず神の裁きを受ける。ヨハネは目の前の繁栄に目を奪われてはいない。歴史を「永遠の相」の下で見て、ローマも高ぶりによって滅亡する、と語るのである。

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