江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年4月8日祈祷会(第二ペテロ2章、異端=福音を汚すものになるな)

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1.偽教師の言葉に誘われるな

 

・初代教会の信徒たちは、「イエスが再臨されて、イエスと共に神の国に入る」ことを待望していた。ところが、その再臨がいつまで待っても来ない。教会の中に、「本当に神の国は来るのか」、「来るのであればいつ来るのか」、「神の国が来るまで何をすればよいのか」という問いが生まれた。教会の中のある人たちは「終末など来ない」と言い始めていた。

-第二ペテロ3:4「主が来るという約束は、いったいどうなったのだ。父たちが死んでこのかた、世の中のことは、天地創造の初めから何一つ変わらないではないか」。

・再臨、終わりの日の救いを信じない時、人は現世を楽しむしかない。死の先に何もないからだ。当時書かれた文書である旧約外典「知恵の書」では、救いを信じることのできない人々の言葉を記している。

-知恵の書2:1-7「我々の一生は短く、労苦に満ちていて、人生の終わりには死に打ち勝つすべがない。我々の知るかぎり、陰府から戻って来た人はいない。我々は偶然に生まれ、死ねば、まるで存在しなかったかのようになる・・・だからこそ目の前にある良いものを楽しみ、青春の情熱を燃やしこの世のものをむさぼろう。高価な酒を味わい、香料を身につけよう。春の花を心行くまで楽しむのだ」。

・ギリシャ哲学は「肉体は精神の牢獄である」(プラトン)とし、霊こそが人間の本質として、肉を軽視した。その影響で一部の人たちは、キリストの受肉や十字架、復活さえも否定するようになった。グノーシス(認知主義)と呼ばれる異端の人々が教会の中に出てきた。

-第二ペテロ2:1-2「かつて、民の中に偽預言者がいました。同じように、あなたがたの中にも偽教師が現れるにちがいありません。彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを贖って下さった主を拒否しました。自分の身に速やかな滅びを招いており、しかも、多くの人が彼らのみだらな楽しみを見倣っています。彼らのために真理の道はそしられるのです」。

・肉は人間の本質でないとする時、何をしても人は汚れないとする「快楽主義」と、肉欲を禁じていく「禁欲主義」の双方が生まれる。教会内の偽教師たちは、快楽主義の放縦に流れていたらしい。彼らは信仰の美名の下に、自分の欲望を正当化する者であり、そのような者たちを神の審きにより滅ぼされる。

-第二ペテロ2:3-5「彼らは欲が深く、うそ偽りであなたがたを食い物にします。このような者たちに対する裁きは、昔から怠りなくなされていて、彼らの滅びも滞ることはありません。神は、罪を犯した天使たちを容赦せず、暗闇という縄で縛って地獄に引き渡し、裁きのために閉じ込められました。また、神は昔の人々を容赦しないで、不信心な者たちの世界に洪水を引き起こし、義を説いていたノアたち八人を保護なさったのです」。

・この悪のはびこる世界の中で、あなたが行うべきは、「世の悪を嘆く」ことではなく、その中にあって「正しく生きる」ことだとペテロは語りかける。

-第二ペテロ2:6-9「神はソドムとゴモラの町を灰にし、滅ぼし尽くして罰し、それから後の不信心な者たちへの見せしめとなさいました。しかし神は、不道徳な者たちのみだらな言動によって悩まされていた正しい人ロトを、助け出されました。なぜなら、この正しい人は、彼らの中で生活していた時、毎日よこしまな行為を見聞きして正しい心を痛めていたからです。主は、信仰のあつい人を試練から救い出す一方、正しくない者たちを罰し、裁きの日まで閉じ込めておくべきだと考えておられます」。

・「我々は偶然に生まれ、死ねばまるで存在しなかったかのようになる。だから目の前にある良いものを楽しみ、この世をむさぼろう」と考える者たちの生活は享楽的になる。ペテロの弟子である著者は彼らの非道徳性を激しく糾弾する。

-第二ペテロ2:13-14「彼らは、昼間から享楽にふけるのを楽しみにしています。彼らは汚れやきずのようなもので、あなたがたと宴席に連なる時、はめを外して騒ぎます。その目は絶えず姦通の相手を求め、飽くことなく罪を重ねています。彼らは心の定まらない人々を誘惑し、その心は強欲におぼれ、呪いの子になっています」。

 

2.キリスト者の自由

 

・キリスト者の自由とは、「何をしても良い」という自由ではない。偽教師たちは、信仰の名の下に、情欲の赴くままに肉に従うという自分の罪を覆い隠そうとし、またあなた方をそのような罪に誘っている。

-第二ペテロ2:18-19「彼らは、無意味な大言壮語をします。また、迷いの生活からやっと抜け出て来た人たちを、肉の欲やみだらな楽しみで誘惑するのです。その人たちに自由を与えると約束しながら、自分自身は滅亡の奴隷です。人は、自分を打ち負かした者に服従するものです」。

・偽教師に従って彼らの生活を見習えば、あなた方も滅びる。信仰後の堕落は以前よりも厳しく罰せられることを知りなさい。「知らないで犯した罪は赦される」が、「知りながら犯した罪は赦されない」のだ。

-第二ペテロ2:20-21「救い主イエス・キリストを深く知って世の汚れから逃れても、それに再び巻き込まれて打ち負かされるなら、そのような者たちの後の状態は、前よりずっと悪くなります。義の道を知っていながら、自分たちに伝えられた聖なる掟から離れ去るよりは、義の道を知らなかった方が、彼らのためによかったであろうに」。

・「キリスト者の自由とは何か」を私たちは改めて学ぶ必要がある。それは「何をしても赦される」という自由ではなく、「隣人に仕える自由」なのだ。

-第一コリント10:23-24「すべてのことが許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことが許されている。しかし、すべてのことが私たちを造り上げるわけではない。だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい」。

 

3.ペテロ二章の黙想~ニヒリズムという異端

 

・「死の先に命があることを信じられない時、人は虚無的にならざるを得ない」というペテロ書は主張する。古代のグノーシスという異端の本質は、今日でいう「ニヒリズム」ではないかと思える。彼らは語る「我々は偶然に生まれ、死ねば、まるで存在しなかったかのようになる」。どうせ死ぬ、将来に希望を持てない、だから今を刹那的に生きる。これがニヒリズムの本質で、キルケゴールはこのニヒリズムを「死に至る病」と語った。死に至る病とは絶望であり、ニヒリズムは絶望を生む。ペテロ書における異端は、人々から希望を失わせるニヒリズムだ。

・この「ニヒリズム」は現代社会においても大きな害毒を及ぼしている。近藤剛は論文集「神の探求」の中で、神を喪失した現代人の不安を次のように描く。

-近藤剛「神の探求」から「私たちはどこから来たのか、どこへ行くのか、私たちが生きていることに何の意味があるのか、死ねばどうなるのか、かつて、このような人間存在の問いに、神が答えを与えてくれた。神から答えを得て、それを信じて、人々は安堵することができた。しかし、そのような神はどこにもいない」 。

・ニーチェは「現代人はもはや神を信じることが出来ない」、「神への信仰は死んだ」と語る。もしニーチェが語るように、「人が生まれてきたことに何ら目的はなく、生きていることに何の意味はなく、存在には何の価値も与えられず、私たちの生存には必然性はない」 というのであれば、私たちはどう生きればよいのか。ニヒリズムは人に、人生の意味を喪失させ、未来に対する希望を閉ざす。ニーチェ自身も「人生の無意味さ」に耐えられず発狂し、自殺している。現代世界も生きがいの喪失に悩んでいるから、これほど多くの人が自ら死を選ぶ。ニヒリズムの排斥は、まさに現代の問題ではないかと思える。

・ニヒリズムから解放される道は、死後の命を信じる「復活信仰」だ。しかしそれは本当に起こったのかを客観的に証明することはできず、私たちがそれを信じるかどうかにかかっている。そして、復活を信じることが出来ない時、人は現在を楽しむことに関心は集中し、「食べたり飲んだりしようではないか。どうせ明日は死ぬ身だから」(第一コリント15:32)という生き方になる。しかし、その楽しみもやがて終わる。人はすべて死ぬからだ。しかし、キリストの復活を信じる時、人生の意味は変わってくる。淀川キリスト教病院のホスピス長として多くの死者を看取ってきた柏木哲夫氏は、その経験から語る「死を新しい世界への出発だと思えた人は良い死を死ぬことが出来た」(柏木哲夫「死にざまこそ人生」)。

・柏木氏の言葉は経験的真実だ。そして「キリストは復活された」という聖書の証言は目撃証言的真実だ。キリスト者はこの経験的真実と目撃証言的真実を基礎に、復活の希望を持つ。岸本羊一氏は復活信仰に立つとき人は変わりうると語る。

-岸本羊一「葬りを超えて」から「マザー・テレサがカルカッタの町の中で、たくさんの死にかけている人々を拾うように連れてきて、その人たちの最後を看取る時に、多くの人たちは笑みを浮かべながら『ありがとう』と言って死んでいくそうです。これは一体どういうことなのか、と考えさせられます。孤独の死ではなく、死まで一緒にいてくれる人がいることを通して、死にゆく人たちは死を克服するという体験をしているのです。私たちにとって神というのは、理屈で考えられるような彼方の存在ではありません。私たちは神の御業を通して愛に出会うのです」。

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