江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2015年9月30日祈祷会(使徒言行録6:1-15、ステファノたち七人の選出)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.ステファノたち七人の選出

・共同体が成長するにつれて、内部対立が表面化してきた。もめごとの原因は「弟子の数の増加」、つまり教会の成長にあったとルカは記す。教会は最初は数十人の集まりだったが、ペンテコステを機に改心者が多く与えられ、おそらくは数百人規模にまで成長してきた。数十人でうまくいっていたシステムが数百になれば機能しなくなる、だからもめごとが起こったとルカは記す。
−使徒6:1「そのころ、弟子の数が増えてきて、ギリシア語を話すユダヤ人から、ヘブライ語を話すユダヤ人に対して苦情が出た。それは、日々の分配のことで、仲間のやもめたちが軽んじられていたからである」。
・対立はギリシア語を話すユダヤ人(ヘレニスト)とヘブル語を話すユダヤ人(ヘブライオン)の間で起こった。ヘレニストたちはユダヤ教の伝統から自由であった故に、地元のユダヤ人とは異なる信仰を持っていた。食物の配給の問題を契機に、その対立が表面化した。使徒たちはこの対立を賢明に解決した。解決策は祈りとみ言葉の奉士は使徒たちに委ね、執事が食事の係りと分担することだった。
―使徒6:2-5「そこで、十二人は弟子をすべて呼び集めた『私たちが、神の言葉をないがしろにして、食事の世話をするのは好ましくない。それで、兄弟たち、あなたがたの中から、”霊“と智恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らにその仕事を任せよう。私たちは、祈りと御言葉の奉仕に専念することにします。』」
・現代の教会も職務が牧師と執事に分離分担されている。組織の拡大とともに、教会の組織もまた変化していく。
―使徒6:6-7「一同はこの提案に賛成し、信仰と聖霊に満ちている人ステファノと、ほかにフィリポ、プロコロ、ニカノル、ティモン、パルメナ、アンティオキア出身の改宗者ニコラオを選んで、使徒たちの前に立たせた。使徒たちは、祈って彼らの上に手を置いた。こうして、神の言葉はますます広まり、弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢この信仰に入った。」
・七人の執事が選ばれた時、使徒たちは「祈って彼らの上に手を置いた」。祈って手を置く、「按手」である。教会では人をある務めに任命するときに按手を行う。それは聖霊が働いて、その人が与えられた奉仕の務めを果たすことが出来る力が与えられるようにとの祈りだ。この執事の選任と按手を通して、教会内の指導者はどのようにして任職されるべきかが私たちに示されている。「指導者は下から生まれる」、執事の選任は信徒総会の総意でなされる。教会に仕えるために、教会が適任と思われる人々を選出した。同時に「指導者は上から任職される」、按手を通して主からの賜物をいただき、任職される。教会の指導者は「下から選ばれ、上から任職される」。

2.ステファノの逮捕

・執事に選ばれた一人ステファノは語る賜物を与えられ、戒律や神殿の伝統から自由な信仰を持っていた故に、ユダヤ教徒からの憎しみの中心になった。相手は知恵と聖霊によって語るステファノに対抗できず、ステファノに論破されてしまった。
―使徒6:8-10「さて、ステファノは恵みと力に満ち、すばらしい不思議な業としるしを民衆の間で行っていた。ところが、キレネとアレクサンドリアの出身者で、いわゆる『解放された奴隷の会堂』に属する人々、またキリキア州とアジア州出身の人々などのある者たちが立ち上がり、ステファノと議論した。しかし、彼が知恵と“霊”とによって語るので、歯が立たなかった。」
・議論で負けた彼らは、裏から手を回し、人々を煽り立て、ステファノを捕えさせ、最高法院へ連行した。
―使徒6:11-12「そこで、彼らは人々を唆して、『私たちは、あの男がモ−セと神を冒涜する言葉を吐くのを聞いた』と言わせた。また、民衆、長老たち、律法学者たちを扇動して、ステファノを襲って捕らえ、最高法院へ引いて行った。」
・虚偽の証言が取り上げられる背景には、ヘレニスト・キリスト者に対する反感があった。
―使徒6:13-15「そして、偽証人を立てて、次のように訴えさせた。『この男は、この聖なる場所と律法をけなして、一向にやめようとしません。私たちは、彼がこう言っているのを聞いています。「あのナザレの人イエスは、この場所を破壊し、モ−セが我々に伝えた慣習を変えるだろう。」』最高法院の席に着いていた者は皆、ステファノに注目したが、その顔はさながら天使のように見えた。」
・選ばれた執事たちがいずれもギリシア名を持つ者たちであったことに注目する必要がある。使徒言行録6章後半は執事に選ばれたステパノの逮捕と殉教を伝える。使徒たちはイエスの教えをまだユダヤ教の枠内でしかとらえることが出来なかった。彼らは相変わらず神殿に行って祈り、割礼を守り、律法を大事にしていた。だからユダヤ教側からの迫害は少なかった。しかし、外国で生まれたヘレニストたちは神殿やユダヤ教祭儀から自由であり、そのためユダヤ主義者から憎しみを受け、迫害された。ステファノは「神殿は崩れ去るものであり、律法はイエスが来られてその意味を変えた」と述べる。これは神殿と律法を大事にするユダヤ教原理主義者には耐えられない言葉だった。イエスの福音を正しく継承したのは実は使徒たちではなく、「ギリシア語を話すユダヤ人」たちだった。

3.対立を超えて成長する

・捕らえられたステファノは最高法院で証言する。彼の証言はイエスをメシアと認めないユダヤ教に対する激しい批判であり、ユダヤ教徒にとっては放置出来ない攻撃であった。
−使徒7:51-53「かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています・・・あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした」。
・ステファノは殺され、やがて教会に対する大迫害が始まる。しかし、迫害でエルサレムを追われたのはヘレニストたちだけであり、ペテロたち伝統主義者はエルサレムに留まっている。
−使徒8:1「その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起こり、使徒たちのほかは皆、ユダヤとサマリアの地方に散って行った」。
・散らされたヘレニストたちはその先々で福音を述べ伝える。世界宣教を担ったのは、十二使徒たちではなく、迫害を受けたヘレニストたちであった。神は迫害さえも善きものに変えてくださる方だ。
−使徒8:4-5「さて、散って行った人々は、福音を告げ知らせながら巡り歩いた。フィリポはサマリアの町に下って、人々にキリストを宣べ伝えた」。
・教会内で、ギリシア系とユダヤ系の人々の間に対立が起こり、牧会の必要性から執事が選ばれた。執事たちは教会の役割を担うことを通してその信仰が強められ、そのことによってユダヤ教原理主義の人々からの迫害を招き、エルサレムを追われた。しかし迫害を通して福音がエルサレムから異邦の地に述べ伝えられるようになった。ここに神の摂理がある。神は教会内の争いを福音伝道の力に変えられた。このことは私たちに「教会内の争いや対立を恐れるな」と教える。教会には必ず争いや対立が起きる、起きた時にはそれを隠さないで表に出す。具体的には執事会や総会での討議を求める。そのことによって、主は必要な道を示してくださる、愚かな私たちの争いをも良きものに変えてくださる。この方を信じて、私たちは教会を形成していく。

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