江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2015年12月9日祈祷会(使徒言行録16:1−40、福音がヨーロッパに伝えられる)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.テモテ、ルカ、伝道旅行に加わる

・パウロは二度目の伝道旅行で、テモテに出会い、彼を弟子とする。テモテはギリシア人とユダヤ人の血が混じった半ユダヤ人であった。彼は後にパウロの最愛の弟子となる。
−使徒16:1−5「パウロはデルベにもリストラにも行った。そこに、信者のユダヤ人の子で、ギリシア人を父親に持つ、テモテという弟子がいた。彼はリストラとイコニオンの兄弟の間で評判の良い人であった。パウロはこのテモテを一緒に連れて行きたかったので、その地方に住むユダヤ人の手前、彼に割礼を授けた。父親がギリシア人であることを皆が知っていたからである。彼らは方々の町を巡回して、エルサレムの使徒と長老たちが決めた規定を守るようにと、人々に伝えた。こうして、教会は信仰を強められ、日毎に人数が増えていった。」
・パウロは基本的には割礼に反対していたが、テモテには割礼を受けさせた。それはユダヤ人に配慮した宥和策であり、彼は柔軟に対応した。
−?コリント9:19−20「私は誰に対しても自由な者ですが、すべての人の奴隷になりました。できるだけ多くの人を得るためです。ユダヤ人に対してはユダヤ人のようになりました。ユダヤ人を得るためです。律法に支配されている人に対しては、私自身はそうではないのですが、律法に支配されている人のようになりました。律法に支配されている人を得るためです。」
・彼らはその後アジア州の州都エペソに向かおうとするが、「聖霊が禁じた」ので、海岸地方のトロアスに向かう。そのトロアスで彼らはルカに出会い、その要請でマケドニアに行くようになる(マケドニアへの来訪を要請した幻とはルカのことであろう)。
−使徒16:6−9「彼らはアジア州で御言葉を語ることを聖霊に禁じられたので、フリギア・ガラテア地方を通って行った。ミシア地方の近くまで行き、ピティニア州に入ろうとしたが、イエスの霊がそれを許さなかった。それでミシア地方を通ってトロアスに下った。その夜、パウロは幻を見た。その中で一人のマケドニア人が立って『マケドニア州に渡って来て、私たちを助けて下さい』と言って、パウロに願った。」
・「聖霊が禁じた」とは、何らかの事情で、予定の訪問が出来なくなったのであろう。パウロはおそらく病気になり、医者を求めてトロアスに行き、医者ルカに出会ったのであろう。16:10から有名な「私たち」文書が現れる。ルカが一行に合流したのであろう。
−使徒16:10「パウロがこの幻を見たとき、私たちはすぐにマケドニアへ向けて出発することにした。マケドニア人に福音を告げ知らせるために、神が私たちを召されているのだと、確信するに至ったからである」。
・聖霊がアジアに行くことを禁じなければ、パウロはルカとは出会わず、ルカ福音書や使徒言行録は書かれていなかったであろう。“聖霊による中断”、人間の目から見れば挫折だ。しかし、人間の計画が崩れる時、神の計画が成る。私たちの思いが挫折、中断させられることを通して、新しい道が開かれていく。「人生は偶然の連続に過ぎない」と思う時、挫折や中断は失敗となる。しかし「人生は神の導きの下に在る」と信じる時、挫折や中断が新しい道を開く。このことを知った者は、もう、いかなる時にも失望することはない。この希望が信仰であり、信仰は挫折さえも“良いもの”に変える力を持つ。
-フィリピ4:4-5「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます」。

2.福音がヨーロッパへ

・パウロ一行はトロアスを出航し、ネアポリス経由でフィリピに到着する。川岸を祈りの場所としていた紫布を商う裕福な婦人リディアを信仰に導き、バプテスマを授けた。ヨーロッパ最初の回心者である。
−使徒16:11−15「私たちはトロアスから船出してサモトラケ島に直航し、翌日ネアポリスの港に着き、そこから、マケドニア州第一区の都市で、ロ−マの植民都市であるフィリピに行った。そして、この町に数日間滞在した。安息日に町の門を出て、祈りの場所があると思われる川岸に行った。ティアテラ市出身の紫布を扱う人で、神をあがめるリディアという婦人も話を聞いていたが、主が彼女の心を開かれたので、彼女はパウロの話を注意深く聞いた。そして、彼女も家族の者も洗礼(バプテスマ)を受けたが、その時、『私が主を信じる者だとお思いでしたら、どうぞ、私の家に来てお泊まり下さい』と言って私たちを招待し、無理に承知させた。」
・リディアは喜びの中で、自宅を伝道の拠点として提供し、このリディアの家がやがてフィリピ教会となっていく。フィリピ教会は、その後、パウロの伝道を助け、支える教会になる。
-フィリピ1:3-4「私は、あなたがたのことを思い起こす度に、私の神に感謝し、あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。それは、あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。」

3.困難を超えて福音が伝えられる

・パウロはフィリピで、うるさくつきまとう占いの女奴隷を支配している霊を追い払う。パウロに霊を追い払われ、稼げなくなった占い女の雇い主は、パウロを逆恨みし、パウロたちを高官に引き渡した。
−使徒16:19−21「この女の主人たちは金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕え、役人に渡すために広場に引き立てて行った。そして、二人を高官たちに引き渡してこう言った。『この者たちはユダヤ人で、私たちの町を混乱させております。ロ−マ帝国の市民である私たちが受け入れることも、実行することも許されない風習を宣伝しております。』」
・占い女の雇い主に扇動された役人は、パウロたちを鞭打ちし、牢へ入れてしまった。牢に入れられたパウロたちは賛美し、祈る。その祈りに答えるように地震が起き、監房の扉が開き、囚人の鎖はみな外れてしまった。看守は絶望して自害しようとしたが、パウロに制止された。
−使徒16:25−28「真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌を歌って神に祈っていると、ほかの囚人たちは、これに聞き入っていた。突然、大地震が起こり、牢の土台が揺れ動いた。たちまち牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖も外れてしまった。目を覚ました看守は、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃げてしまったと思い込み、剣を抜いて自殺しようとした。パウロは大声で叫んだ『自害してはいけない。私たちは皆ここにいる。』」
・パウロの勧めで回心した看守は、家族もろともバプテスマを受ける。
−使徒16:29−34「看守は牢の中に明かりを持って来させて牢の中に飛び込み、パウロとシラスの前にひれ伏し、二人を外へ連れ出して言った。『先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか。』二人は言った。『主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます』。そして、看守とその家の人たち全部に主の言葉を語った。まだ真夜中であったが、看守は二人を連れて行って打ち傷を洗ってやり、自分も家族の者も皆すぐに洗礼(バプテスマ)を受けた。この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族ともども喜んだ。」
・牢を出たパウロたちはリディアを訪れた後、次の訪問地テサロニケに向けて旅立った。
−使徒16:38−40「下役たちは、この言葉を高官たちに報告した。高官たちは、二人がロ−マ市民権を持つ者である聞いて恐れ、出向いて来てわびを言い、二人を牢から連れ出し、町から出て行くように頼んだ。牢を出た二人は、リディアの家に行って兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出発した。」
・2012年4月、江戸川区松江で親子4人の一家心中があった。家族は前年9月に福岡から転居して来て、慣れない土地での生活で、母親は心身症になっていた。そんな折、一家を支えていた父親が仕事上のトラブルを苦に、同年1月鉄道自殺した。母親は夫の自殺に生きる力を失くし、終には練炭を燃やし幼い子供たちを道連れに一家心中を図った。フィリピ牢獄の看守は囚人たちが逃げてしまったと思い、責任をとって自害しようとしたが、パウロの執り成しで一命を取り留めた。もしこの時、看守が自害していたら、その家族はどうなっていたのだろう。働き手を失った家族は将来を悲観して自殺したかもしれない。しかしパウロと出会い、家族全員がパウロの勧めに従って洗礼に導かれた。一人の人が信仰に導かれることを通して家族もまた救われていく。この家族は今後、どのような場面になっても死を考えることはないだろう。何故ならば彼等は自分たちが神により生かされていることを知ったからだ。一度救われた体験を持つ者は将来に不安を持つことはない。この神にある平安こそ福音の真髄、宝なのではないだろうか。
-?コリント1:10「神は、これほど大きな死の危険から私たちを救って下さったし、また救って下さることでしょう。これからも救って下さるにちがいないと、私たちは神に希望をかけています」。
・パウロたちの第二回宣教旅行はおよそ三年かかった。パウロたちの旅行はアンテオケから始まり、シリア、キリキア、デルベ、ルステラ、イコニオム、ピシデアのアンテオケの教会の再訪問、その後、幻の指示でテサロニケ、ネアポリス、フィリピ、アテネ、コリントへ進み、そこで18か月間滞在し、コリントからエフェソを通過してエルサレムへ向かい、出発地点のアンテオケへ帰還した。この旅行で初めてキリスト教がヨ−ロッパまで伝えられた。その後の歴史を振り返るとその意味は重大でああった。

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