江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2015年12月2日祈祷会(使徒言行録15:1−41、エルサレム使徒会議)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.エルサレムの使徒会議

・アンティオキアは様々な人種が住む国際都市であり、教会も様々な人種が集う国際教会であり、そこではユダヤ人と異邦人の区別もなく、異邦人の入会に際し、「割礼を受けてユダヤ人になることが条件である」の要求も生まれなかった。ところが、エルサレム教会の人々は救われるためには割礼を受けるべきだと考え、異邦人に強制した。アンティオキア教会のパウロとバルナバは強く反論し、意見は対立した。
−使徒15:1−2「ある人々がユダヤから下って来て、『モ−セの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない』と兄弟たちに教えていた。それで、パウロやバルナバとその人たちとの間に、激しい意見の対立と論争が生じた。この件について使徒や長老たちと協議するために、パウロとバルナバ、その他数名の者がエルサレムに上ることに決まった。」
・エルサレム使徒会議では、割礼や律法について協議された。エルサレム教会は異邦人信徒も律法を順守し、割礼を受けるべきだと主張し、アンティオキア側は福音は律法から自由であると主張した。会議は二者択一を迫られていた。
−使徒15:4−5「エルサレムに到着すると、彼らは教会の人々、使徒たち、長老たちに歓迎され、神が自分たちと共にいて行われたことを、ことごとく報告した。ところが、ファリサイ派から信者になった人が数名立って、『異邦人にも割礼を受けさせて、モ−セの律法を守るよう命じるべきだ』と言った。」
・激しい議論の後、ペトロが立ち、律法を知らず割礼を受けていない異邦人に、神は聖霊を与えられたと証言した。この証言はペトロが異邦人コルネリオを導いた体験に基づいていた(使徒11章)。ペトロの証言は会衆を黙らせる十分な力があった。
−使徒15:6−8「そこで、使徒たちと長老たちは、この問題について協議するために集まった。議論を重ねた後、ペトロが立って彼らに言った。『兄弟たち、ご存知のとおり、ずっと以前に、神はあなたがたの間で私をお選びになりました。それは、異邦人が、私の口から福音の言葉を聞いて信じるようになるためです。人の心をお見通しになる神は、私たちに与えてくださったように異邦人にも聖霊を与えて、彼らをも受け入れられたことを証明なさったのです。』」
・ペトロは問題の核心に迫った。人は自分自身の努力で律法を守り、生きて行くことが出来るのか。出来ない。我々は、先祖も我々も負いきれなかった律法の重荷を、異邦人に背負わせて良いのだろうか。
−使徒15:9−11「『また、彼らの心を信仰によって清め、私たちと彼らの間に何の差別もなさいませんでした。それなのに、なぜ今あなたがたは、先祖も私たちも負いきれなかった軛を、あの弟子たちの首に懸けて、神を試みようとするのですか。私たちは、主イエスの恵みによって救われると信じているのですが、これは、異邦人も同じことです。』」
・会衆が静かになった。ヤコブが立ちあがり、アモス書9:11−12、イザヤ書45:22を引用して、異邦人への宣教は人の意志ではなく、預言の成就であると語った。
―使徒15:12−15「すると全会衆は静かになり、バルナバとパウロが、自分たちを通して神が異邦人の間で行われた、あらゆるしるしと不思議な業について話すのを聞いていた。二人が話し終えると、ヤコブが答えた。『兄弟たち、聞いてください。神が初めに心を配られ、異邦人の中から御自分の名を信じる民を選び出そうとなさった次第については、シメオンが話してくれました。預言者たちが言ったことも、これと一致しています』」。
・ヤコブは異邦人信徒の立場を考慮したうえで、守るべき四つの条件を議場に提示した。
−使徒15:19−21「『それで、私はこう判断します。神に立ち帰る異邦人を悩ませてはなりません。ただ偶像に供えて汚れた肉と、みだらな行いと、しめ殺した動物の肉と、血を避けるようにと、手紙を書くべきです。モ−セの律法は、どの町にも告げ知らせる人がいて、安息日ごとに会堂で読まれているからです。』」
・「割礼強要」の問題は、バプテスト教会においては「浸礼強要」の問題となる。一部のバプテスト教会は他教派の「滴礼のバブテスマ」を認めず、入会時に再度「浸礼のバプテスマ」を受けるように求める。私たちは、洗礼は救いの条件ではないが、それでも洗礼は必要だと考える。パウロが語るように「洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなる」(ローマ6:4)、イエスの死を共に死ぬ、そのしるしとして洗礼を受けるという理解だ。

2.使徒会議の決議

・ヤコブの提案は全員に受け入れられ、アンティオキア教会へ報告の使者を送ることになった。
−使徒15:22「そこで、使徒たちと長老たちは、教会全体と共に、自分たちの中から人を選んで、パウロやバルナバと一緒にアンティオキアに派遣することを決定した。選ばれたのはバルサバと呼ばれるユダおよびシラスで、兄弟たちの中で指導的な立場に居た人たちである。」
・使徒会議の結論は口頭だけでなく、「使徒指令」として書面化された。
−使徒15:23−29「使徒たちは、次の手紙を彼らに託した。『使徒と長老たちが兄弟として、アンティオキアとシリア州とキリキア州に住む、異邦人の兄弟たちに挨拶いたします。聞くところによると、私たちのある者がそちらへ行き、私たちから何の指示もないのに。いろいろなことを言って、あなたがたを騒がせ動揺させたとのことです。それで、人を選び、私たちの愛するバルナバとパウロとに同行させて、そちらに派遣することを、私たちは満場一致で決定しました・・・聖霊と私たちは、次の必要な事柄以外、一切あなたがたに重荷を負わせないことに決めました。すなわち、偶像に献げられたものと、血と、絞め殺し動物の肉と、みだらな行いを避けることです。以上を慎めばよいのです。健康を祈ります。』」
・使徒会議の報告はアンティオキアの兄弟に喜んで受け入れられ、彼らは励まされた。
−使徒15:30−31「さて、彼ら一同は見送りを受けて出発し、アンティオキアに到着すると、信者全体を集めて手紙を渡した。彼らはそれを読み、励ましに満ちた決定を知って喜んだ」。
・使徒15章では、ペテロとヤコブの仲裁によって、保守派のエルサレム教会と改革派のアンティオキア教会に合意が成立し、教会の分裂が防がれたとルカは記す。しかしその後も割礼問題は繰り返し争いの種になる。パウロはガラテヤ書でその後に起きたアンティオキア事件を報告する。使徒会議で割礼不要の立場に立ったペトロやバルナバでさえ、やがて無割礼異邦人との会食をためらうようになる。
−ガラテヤ2:11-12「ケファがアンティオキアに来たとき、非難すべきところがあったので、私は面と向かって反対しました。なぜなら、ケファは、ヤコブのもとからある人々が来るまでは、異邦人と一緒に食事をしていたのに、彼らがやって来ると、割礼を受けている者たちを恐れてしり込みし、身を引こうとしだしたからです。そしてほかのユダヤ人も、ケファと一緒にこのような心にもないことを行い、バルナバさえも彼らの見せかけの行いに引きずり込まれてしまいました。」。
・無割礼者と食卓を共にしないという問題は、「主の晩餐式は洗礼を受けた会員に限る」という現代の教会に見られる問題を思い起こさせる。日本基督教団では「未受洗者を聖餐に預からせた」として北村慈郎牧師(紅葉坂教会牧師)を教団会規違反で免職処分とした。私たちはこの問題をどう考えるべきだろうか
−W.H.ウィリモンの注解から「教会の宣教とは教会員の数の増加以上のことを意味しているが、一方で教会員数の増加以外の何者でもない。成長する教会とは、大胆に御言葉を宣教し、文化的現状にあえて挑戦し、現実の政治制度を永久に所与のものとして受け入れることを拒否し、その宣教の真理を確信し、真理のために喜んで苦しむ教会である。神はこのような教会を成長させるのである」(「使徒言行録」p199)

3.パウロ、バルナバの衝突

・パウロは再度の宣教旅行をバルナバに提案したが、マルコの同伴には反対した。
−使徒15:36−38「数日の後、パウロはバルナバに言った。『さあ、前に主の言葉を宣べ伝えたすべての町へもう一度行って兄弟たちを訪問し、どのようにしているかを見てこようではないか。』バルナバは、マルコと呼ばれるヨハネも連れて行きたいと思った。しかしパウロは、前にパンフィリア州で自分たちから離れ、宣教に一緒に行かなかったような者は連れて行くべきでないと考えた。」
・マルコ同伴問題がこじれ、二人はそれぞれ別行動をとることになった。おそらくはバルナバの甥マルコの問題以上に、バルナバの割礼に関する妥協的な態度にパウロは腹を立てていた。結果的にアンティオキア教会もまた、ユダヤ人キリスト者と異邦人キリスト者に分裂してしまった。
―使徒15:39−41「そこで、意見が激しく衝突し、彼らはついに別行動をとるようになって、バルナバはマルコを連れてキプロス島へ向かって船出したが、一方、パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みに委ねられて、出発した。そして、シリアからキリキア州を回って教会を力づけた。」
・パウロが計画した第二回宣教旅行は開拓伝道ではなく、第一回宣教旅行で建てた教会の維持強化だった。パウロは既存教会の維持強化は、新しく教会を建てるのと同じように大切だと考えた。
−1テサロニケ3:8「あなたがたが主にしっかりと結ばれているなら、私たちは生きていると言えるからです」。

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