1.エルサレムに到着したパウロ
・パウロたちは航海を続け、カイザリアに着き、伝道者ピリポの家に泊まる。そこに、預言者アガポが来て、「エルサレムに行けば危険がある」と警告し、皆はパウロにエルサレム行きを断念するよう懇願する。
−使徒言行録21:8-12「翌日そこをたってカイサリアに赴き・・・フィリポの家に行き、そこに泊まった・・・幾日か滞在していたとき、ユダヤからアガボという預言する者が下って来た。そして、私たちのところに来て、パウロの帯を取り、それで自分の手足を縛って言った『聖霊がこうお告げになっている。エルサレムでユダヤ人は、この帯の持ち主をこのように縛って異邦人の手に引き渡す』。私たちはこれを聞き、土地の人と一緒になって、エルサレムへは上らないようにと、パウロにしきりに頼んだ」。
・しかし、パウロは「主の名のためであるならば、エルサレムで死ぬこともいとわない」として、出発する。
−使徒言行録21:13-14「『泣いたり、私の心をくじいたり、一体これはどういうことですか。主イエスの名のためならば、エルサレムで縛られることばかりか死ぬことさえも、私は覚悟しているのです』。パウロが私たちの勧めを聞き入れようとしないので、私たちは『主の御心が行われますように』と言って、口をつぐんだ」。
・ゲッセマネでイエスは祈られた「御心であればこの杯を取り除きたまえ」、神は取り除かれなかった。御心に従うことは時には苦難をもたらすが、苦難なしには出来ないこともある。私たちはそれを信じていく。
−ルカ21:12-17「人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、私の名のために王や総督の前に引っ張って行く。それはあなたがたにとって証しをする機会となる。・・・あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。また、私の名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる」。
・パウロはエルサレムに着いた。主の兄弟ヤコブは、パウロの働きを喜ぶが、律法を軽視しているとのパウロについての人々の疑念を払うために、誓願者の保証人としてエルサレム神殿に行くように勧める。
−使徒言行録21:19-24「皆熱心に律法を守っています。この人たちがあなたについて聞かされているところによると、あなたは異邦人の間にいる全ユダヤ人に対して、子供に割礼を施すな。慣習に従うなと言って、モーセから離れるように教えているとのことです・・・私たちの中に誓願を立てた者が四人います・・・一緒に身を清めてもらい、彼らのために頭をそる費用を出してください。そうすれば、あなたについて聞かされていることが根も葉もなく、あなたは律法を守って正しく生活している、ということがみんなに分かります』。
2.パウロへのリンチと逮捕
・パウロは誓願者と共に神殿に行き、その神殿でアジア州から来たユダヤ人たちに見つかり、リンチを受ける。彼らもまた五旬節を祝うために、エルサレム神殿に来ていたのであろう。ヤコブの助言があだになった。
−使徒言行録21:27-30「アジア州から来たユダヤ人たちが神殿の境内でパウロを見つけ、全群衆を扇動して彼を捕らえ、こう叫んだ『イスラエルの人たち、手伝ってくれ。この男は、民と律法とこの場所を無視することを、至るところでだれにでも教えている。その上、ギリシア人を境内に連れ込んで、この聖なる場所を汚してしまった』・・・それで、都全体は大騒ぎになり、民衆は駆け寄って来て、パウロを捕らえ、境内から引きずり出した」。
・異邦人は神殿の境内に入ることは出来ないのに、パウロは異邦人を連れ込んだと難癖をつけて、ユダヤ人は騒動を起こした。パウロはリンチを受けるが、騒動を聞き込んだローマの守備隊に間一髪のところで助けられる。
−使徒言行録21:31-34「エルサレム中が混乱状態に陥っているという報告が、守備大隊の千人隊長のもとに届いた。千人隊長は直ちに兵士と百人隊長を率いて、その場に駆けつけた。群衆は千人隊長と兵士を見ると、パウロを殴るのをやめた。千人隊長は近寄ってパウロを捕らえ、二本の鎖で縛るように命じた。そして、パウロが何者であるのか、また、何をしたのかと尋ねた・・・千人隊長は、騒々しくて真相をつかむことができないので、パウロを兵営に連れて行くように命じた」。
・この後、パウロは皇帝へ上訴したため、ローマへ護送される。逮捕・投獄がパウロを念願のローマへと運ぶ。パウロが恐れてカイザリヤに留まれば、ローマ行きはなかった。ヨセフは自分をエジプトに売った兄たちに言う「神が私をエジプトに導かれた」と。神の業は人の思惑をはるかに超えることを知る者はわからなくとも従う。
−創世記45:4-8「私はあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。しかし、今は、私をここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神が私をあなたたちより先にお遣わしになったのです。・・・神が私をあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。私をここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神が私をファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです」。