江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2008年12月10日祈祷会(マルコ4:35−5:20、嵐を静めるイエス、悪霊を追い出すイエス)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.嵐を静めるイエス

・イエスが向こう岸に渡るために、弟子たちと湖に舟を漕ぎ出された時、突然に激しい嵐が起こった。ガリラヤ湖は山に囲まれており山降ろしの突風が起こる。それは漁師である弟子たちも経験したことのないような嵐だった。
−マルコ4:35-37「その日の夕方になって、イエスは『向こう岸に渡ろう』と弟子たちに言われた。そこで、弟子たちは群衆を後に残し、イエスを舟に乗せたまま漕ぎ出した。ほかの舟も一緒であった。激しい突風が起こり、舟は波をかぶって、水浸しになるほどであった」。
・弟子たちはうろたえ、イエスを起こす。イエスが風を叱られると嵐は凪いだ。
−マルコ4:38-39「イエスは艫の方で枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして『先生、私たちがおぼれてもかまわないのですか』と言った。イエスは起き上がって、風を叱り、湖に、『黙れ。静まれ』と言われた。すると、風はやみ、すっかり凪になった」。
・紀元64年、ネロ帝の迫害によりペテロやパウロが殉教し、教会の動揺が広まった。迫害や試練の中で、人びとは「主よ、私たちが死んでもかまわないのですか」と慌てふためいている。マルコは「何故怖がるのか、自然界をも支配されるキリストが共におられるではないか、まだ信じないのか」と弟子たちに警告している。
-マルコ4:40-41「イエスは言われた『なぜ怖がるのか。まだ信じないのか』。弟子たちは非常に恐れて『いったい、この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか』と互いに言った」。
・WCC(世界キリスト教協議会)が1948年に設立された時、シンボルマークとして「舟」を選んだ。海は世を、舟は教会を、嵐は困難を示す。WCCは世界の対立に直面し、イエスの言葉を聞いた。ローマのキリスト者は死に直面しながらこの物語を聞いた。私たちは何にも直面していない。だから信仰が生ぬるくなっているのではないか。
-ヨハネ黙示録3:15-17「私はあなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらかであってほしい。熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとしている。あなたは『私は金持ちだ。満ち足りている。何一つ必要な物はない』と言っているが、自分が惨めな者、哀れな者、貧しい者、目の見えない者、裸の者であることが分かっていない」。

2.悪霊を追い出すイエス

・イエスたちは湖の向こう側、ゲラサ人の地についた。そこに悪霊にとりつかれた男がいてイエスに近づいてきた。
-マルコ5:1-2「一行は、湖の向こう岸にあるゲラサ人の地方に着いた。イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊に取りつかれた人が墓場からやって来た」。
・この男は現代で言う統合失調症(精神分裂)かもしれない。この病気の発症率は120人に1人と多い。病気は妄想・幻覚・幻聴が生じ、現代医学でも治癒は難しい。当時の人は悪霊がついたため精神が冒されたと判断していた。
−マルコ5:3-5「この人は墓場を住まいとしており、もはやだれも、鎖を用いてさえつなぎとめておくことはできなかった。これまでにも度々足枷や鎖で縛られたが、鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、だれも彼を縛っておくことはできなかったのである。彼は昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていた」。
・男についた悪霊はレギオンと名乗った。レギオンはローマの軍団(6000人)の名称であり、多くの悪霊という意味であろう。ある解釈者は、この男はローマ軍に家族を殺されて発狂したのではないかと想像する。
-マルコ5:6-9「イエスを遠くから見ると、走り寄ってひれ伏し、大声で叫んだ『いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい』。イエスが『汚れた霊、この人から出て行け』と言われたからである。そこで、イエスが、『名は何というのか』とお尋ねになると、『名はレギオン。大勢だから』と言った」。
・悪霊は豚の群れに入らせて欲しいとイエスに願い、豚の群れに入ると、群れは暴走し、崖を下って湖に入り、死んだ。これが実際に起こった出来事か否かは不明だが、何らかの核になる出来事はあったのであろう。
-マルコ5:11-13「その辺りの山で豚の大群がえさをあさっていた。汚れた霊どもはイエスに『豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ』と願った。イエスがお許しになったので、汚れた霊どもは出て、豚の中に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々とおぼれ死んだ」。
・ドストエフスキーは、組織の結束を図るため転向者を殺害した「ネチャーエフ事件」を素材に、小説「悪霊」を書いた。ルカ8:32-36(マルコ5:11-13の並行箇所)に出て来る、悪霊にとりつかれて湖に飛びこみ溺死したという豚の群さながらに、無政府主義や無神論に走り秘密結社を組織した青年たちは、革命を企てながらみずからを滅ぼしてゆく。人民寺院のジム・ジョーンズは信徒数百名を連れて集団自殺し、オウム真理教・麻原彰晃は組織を防衛するために無差別大量殺人を行った。人をより効率的に殺すためのクラスター爆弾や劣化ウラン弾を開発し用いる人も、また悪霊にとりつかれている。マルコの描く世界、ドストエフスキーの小説の世界は現在の物語だ。

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