1.大淫婦ローマ
・鉢を持った七人の天使の一人が、ローマの真実の姿をヨハネに見せる。彼女は獣=サタンにまたがる大淫婦であった。ローマは、皇帝を神と呼んで礼拝することを求め(神への姦淫)、諸国の王はこれに従っていた。
―黙示録17:1-3「七つの鉢を持つ七人の天使の一人が来て、私に語りかけた『ここへ来なさい。多くの水の上に座っている大淫婦に対する裁きを見せよう。地上の王たちは、この女とみだらなことをし、地上に住む人々は、この女のみだらな行いのぶどう酒に酔ってしまった』。・・・私は、赤い獣にまたがっている一人の女を見た。この獣は、全身至るところ神を冒涜する数々の名で覆われており、七つの頭と十本の角があった」。
・女は高価な布で身をまとい、宝石で飾り、汚れに満ちた金の杯を持ち、聖徒たちの血に酔いしれていた。
―黙示録17:4-6「女は紫と赤の衣を着て、金と宝石と真珠で身を飾り、忌まわしいものや、自分のみだらな行いの汚れで満ちた金の杯を手に持っていた。その額には、秘められた意味の名が記されていたが、それは『大バビロン、みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの母』という名である。私は、この女が聖なる者たちの血と、イエスの証人たちの血に酔いしれているのを見た」。
・当時のローマは繁栄の絶頂にあり、地上の人々はローマを拝した。しかし、そのローマも神の目から見れば、サタンに身を売り渡した淫婦に過ぎない。ローマ皇帝もまた被造物に過ぎない。
―黙示録17:7-11「天使が私にこう言った『なぜ驚くのか。私は、この女の秘められた意味と、女を乗せた獣、七つの頭と十本の角がある獣の秘められた意味とを知らせよう。・・・七つの頭とは、この女が座っている七つの丘のことである。そして、ここに七人の王がいる。五人は既に倒れたが、一人は今王の位についている。他の一人は、まだ現れていないが、この王が現れても、位にとどまるのはごく短い期間だけである。以前いて、今はいない獣は、第八の者で、またそれは先の七人の中の一人なのだが、やがて滅びる』」。
・ローマは七つの丘の上に立てられた。歴代皇帝の多くは暗殺されるか自殺している。神の審きは始まっているのだ。ネロが復活して再び帝位につくとのうわさもあるが、彼もやがて滅びる。このような者たちを何故恐れるのか。
―カリグラ帝(37-41年)=悪行の限りを尽くしたが、部下に殺される。クラウデイス帝(41-54年)=妻に毒を盛られて死ぬ。ネロ帝(54-68年)=放蕩に身を持ち崩し、キリスト教徒弾圧を行った。自殺。ウェスバシアヌス帝(69-79年)=ネロ後の混乱を収める。天寿を全うした。テトス帝(79-81年)=マラリヤで急死する。ドミティアヌス帝(81-96年)=皇帝礼拝を強要した、ヨハネ黙示録が書かれた当時の皇帝。部下に殺される。
2.審きを待つ
・大淫婦ローマは地上の王たちを支配しているが、やがてその王たちの反逆によって滅ぼされるであろうと預言される。ローマ帝国は395年に東西に分裂するが、476年にゲルマン人の侵攻により滅ぼされた。
―黙示録17:15-16「天使はまた、私に言った『あなたが見た水、あの淫婦が座っている所は、さまざまの民族、群衆、国民、言葉の違う民である。また、あなたが見た十本の角とあの獣は、この淫婦を憎み、身に着けた物をはぎ取って裸にし、その肉を食い、火で焼き尽くすであろう』」。
・不正が正され、最後の審きが行われるまで、地上の支配権は獣=サタンに与えられている。しかし、それは“しばらくの間=3年半”であり、その間にも天上の準備は進んでいる。だから、待てと命じられる。
―黙示録17:17-18「神の言葉が成就する時まで、神は彼らの心を動かして御心を行わせ、彼らが心を一つにして、自分たちの支配権を獣に与えるようにされたからである。あなたが見た女とは、地上の王たちを支配しているあの大きな都のことである」。
・神の審判の御手は歴史の中に働き続け、進展し続けている。キリスト者の血を流した者は、その報復を受ける。だからあなたは報復するな、審きは神に委ねよと私たちは命じられる。
―ローマ12:19-21「愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。『復讐は私のすること、私が報復する』と主は言われると書いてあります。『あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる』。悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」。
・審きを自分の手で行おうとする者はまた裁かれる。自国民を殺された報復にアフガンやイラクを攻めたアメリカがどうなったか。9.11の被害者に何倍する死傷者をイラクやアフガンで出している。何故、御言葉に聞けないのか。
―マタイ26:52「イエスは言われた『剣を鞘に納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる』」。
―ヨハネ18:11「イエスはペトロに言われた『剣を鞘に納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか』」。