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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2021年11月25日祈祷会(詩編78篇、民族の罪の歴史から学ぶ)

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1.神の奇しき業を彼らは見た

 

・詩編78篇は72節まであり、119篇(176節)に次いで長い詩だ。歴史を回顧して現在を考える教訓詩である。

-詩編78:1-4「私の民よ、私の教えを聞き、私の口の言葉に耳を傾けよ。私は口を開いて箴言を、いにしえからの言い伝えを告げよう。私たちが聞いて悟ったこと、先祖が私たちに語り伝えたことを。子孫に隠さず、後の世代に語り継ごう。主への賛美、主の御力を、主が成し遂げられた驚くべき御業を」。

・歴史の回顧とは、先祖の犯した罪をありのままに認めることである。エフライムの子ら(北イスラエル)は主を裏切り、そのために北イスラエルは滅びた(78:67)。民族の罪を認めて行く、罪責告白の詩である。

-詩編78:5-9「主はヤコブの中に定めを与え、イスラエルの中に教えを置き、それを子孫に示すように、私たちの先祖に命じられた。子らが生まれ、後の世代が興る時、彼らもそれを知り、その子らに語り継がなければならない。子らが神に信頼を置き、神の御業を決して忘れず、その戒めを守るために。先祖のように頑な反抗の世代とならないように・・・エフライムの子らは武装し弓を射る者であったが、闘いの日に裏切った」。

・12節から具体的な歴史の回顧が始まる。前半の12-39節では、出エジプトから荒野時代の先祖たちの過ちが掘り起こされる。主はエジプトで海を開いて先祖たちを救済され、荒野では岩を開いて水を与えられた。

-詩編78:12-16「エジプトの地、ツォアンの野で、神は先祖に対して不思議な御業を行い、海を開いて彼らを渡らせる間、水をせきとめておかれた。昼は雲をもって、夜は燃え続ける火の光をもって彼らを導かれた。荒れ野では岩を開き、深淵のように豊かな水を飲ませて下さった。岩から流れを引き出されたので、水は大河のように流れ下った」。

・それなのに先祖たちは不信を持って主に応答した。水が与えられるとパンがない不足をつぶやき、パンが与えられると肉がないと文句を言った。与えられた以上のものを渇望する。ここに罪の本質=貪りがある。

-詩編78:17-20「彼らは重ねて罪を犯し、砂漠でいと高き方に反抗した。心のうちに神を試み、欲望のままに食べ物を得ようとし、神に対してつぶやいて言った『荒れ野で食卓を整えることが神にできるのだろうか。神が岩を打てば水がほとばしり出て川となり、溢れ流れるが、民にパンを与えることができるだろうか、肉を用意することができるだろうか』」。

・それにも拘わらず、神は彼らを養い、彼らを導かれた。

-詩編78:23-29「それでもなお、神は上から雲に命じ、天の扉を開き、彼らの上にマナを降らせ、食べさせてくださった・・・神は東風を天から送り、御力をもって南風を起こし、彼らの上に・・・翼ある鳥を海辺の砂のように降らせ、彼らの陣営の中に、宿る所の周りに落としてくださった。彼らは食べて飽き足りた。神は彼らの欲望を満たしてくださった」。

 

2.それでも彼らは満足しなかった

 

・しかし、人の欲望は留まることを知らない。神は人々に対して怒られた。

-詩編78:30-34「彼らが欲望から離れず、食べ物が口の中にあるうちに、神の怒りが彼らの中に燃えさかり、その肥え太った者を殺し、イスラエルの若者たちを倒した。それにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、驚くべき御業を信じなかった・・・神が彼らを殺そうとされると彼らは神を求め、立ち帰って神を捜し求めた」。

・人間が悔い改めると主はその怒りを収められる。その悔い改めが表面的なものにすぎないことを知りながら怒りを収められる。人間は肉にすぎないことを知っておられるからだ。

-詩編78:35-39「神は岩、いと高き神は贖い主と唱えながらも、その口をもって神を侮り、舌をもって欺いた・・・しかし、神は憐れみ深く、罪を贖われる。彼らを滅ぼすことなく、繰り返し怒りを静め、憤りを尽くされることはなかった。神は御心に留められた、人間は肉にすぎず、過ぎて再び帰らない風であることを」。

・神は彼らを約束の地に導かれた。しかし嗣業の地においても人は罪を犯し続けた。先祖たちは主の恵みを忘れ、カナンの神々を拝み始めた。自分たちの贖い主を信じない罪に直面して、主は彼らを滅ぼされた。

-詩編78:67-69「主はヨセフの天幕を拒み、エフライム族を選ばず、ユダ族と、愛するシオンの山を選び、御自分の聖所を高い天のように建て、とこしえの基を据えた地のように建てられた」。

・日本は日清・日露の戦役を国の存亡をかけて戦った。それは自衛のための戦争であった。その勝利により、朝鮮と満州が与えられると、今度は中国本土を欲しがり、日中・日米戦争の泥沼に突入して行き、国を滅ぼした。与えられたものに満足できず、より多くを求める罪=貪りこそ、国を、そして人を滅ぼしていく。

-詩編78:40-42「どれほど彼らは荒れ野で神に反抗し、砂漠で御心を痛めたことか。繰り返し神を試み、イスラエルの聖なる方を傷つけ、御手の力を思わず、敵の手から贖われた日を思い起こさなかった」。

・神は無から有を生じさせる方であり、備えられる方である。荒野の時は、過酷な試練の時でありながら、そのような神を肌身で知る時であった。そして神の業を知り、神の実在を目の当たりにしながら、神に反逆し、罪を犯し続けたのがイスラエルの歴史であり、人間の歴史でもある。イスラエルにとって、歴史を知ることは、自分たちの罪を考え、悔い改めることだった。

 

3.北イスラエルの挫折

 

・詩編78篇の前半で、詩人は荒野での父祖の罪を思い起こす。それは足ることを知らない「貪りの罪」であった。水が与えられればパンがないとつぶやき、パンが与えられれば肉がないと叫ぶ。しかし主は民の忘恩にも拘わらず民を約束の地に導かれた。その地で民は再び罪を犯す。

-詩編78:52-55「神は御自分の民を羊のように導き出し、荒れ野で家畜の群れのように導かれた・・・神は彼らを御自分の聖地の境にまで導かれた。右の御手をもって得られたその山に。彼らの前から諸国の民を追い払い、彼らの嗣業を測り縄で定め、イスラエルの諸部族をそれぞれの天幕に住まわせられた」。

・嗣業の地で民は再び神を試みる。異教の祭壇に仕え、偶像の神々を拝んだ。偶像礼拝の罪である。

-詩編78:56-58「彼らはいと高き神を試み、反抗し、その定めを守らず、先祖と同じように背き、裏切り、欺く弓で射た矢のようにそれて行き、異教の祭壇に仕えて神を怒らせ、偶像を拝んで神の激情を引き起こした」。

・主はエジプトから民を救いだした時、彼らと契約を結ばれ、偶像礼拝を禁じられた。自己の欲望を生きるのではなく、神の御旨を生きよと命じられた。偶像礼拝とは自分の願いを聞いてくれる神を拝むことであり、自己の神格化である。民は契約を破った。その結果、契約の箱が置かれたシロの聖所は破壊され、契約の箱は敵に奪われ、民は敵の剣に渡された。

-詩編78:59-64「神は聞いて憤り、イスラエルを全く拒み、シロの聖所、人によって張られた幕屋を捨て、御力の箱がとりこになるにまかせ、栄光の輝きを敵の手に渡された。神は御自分の民を剣に渡し、御自分の嗣業に怒りを注がれた」。

・北イスラエルはアッシリアにより滅ぼされる(前721年)。詩人は北イスラエルの滅亡を知っている。

-詩編78:67「主はヨセフの天幕を拒み、エフライム族を選ば(れなかった)」。

 

4.ユダの選びと挫折

 

・詩人はユダの滅亡を知らない。この詩はユダ王国末期のヨシヤ王時代に書かれたのであろう。

-詩編78:68-72「ユダ族と、愛するシオンの山を選び、御自分の聖所を高い天のように建て、とこしえの基を据えた地のように建てられた。僕ダビデを選び、羊のおりから彼を取り、乳を飲ませている羊の後ろから取って、御自分の民ヤコブを、御自分の嗣業イスラエルを養う者とされた。彼は無垢な心をもって彼らを養い、英知に満ちた手をもって導いた」。

・この詩が書かれた時、ユダ王国は一時的に隆盛を取り戻していたが、やがてユダも裁かれていく。

-列王記下24:20-25:1「エルサレムとユダは主の怒りによってこのような事態になり、ついにその御前から捨て去られることになった。ゼデキヤはバビロンの王に反旗を翻した。ゼデキヤの治世第九年の第十の月の十日に、バビロンの王ネブカドネツァルは全軍を率いてエルサレムに到着し、陣を敷き、周りに堡塁を築いた」。

・この詩には二つの罪が記される。第一の罪は与えられた以上に渇望し、要求すること、貪欲の罪だ。教会も与えられたものに感謝することなしに、より以上のもの(教会成長)を求めて行けば砕かれるであろう。与えられた人々がいかに「主にあって一致」出来るかを求め、その結果集められる人が増えれば感謝して行く。教会は数値目標を掲げてはいけない。

・第二の罪は偶像礼拝である。主の恵みを忘れて異教の神を拝する、それは神を自己目的化することだ。無病息災、商売繁盛だけが恵みなのではない。病気も挫折もまた神からの賜物である。苦難が与えられればそれをも御旨として受け入れて行く時に、「苦難を通して現される神の恵み」が見えてくる。

・この詩は千年にわたる民族の歴史を回顧し、現在に生かすことを求めている。他方、私たち日本人は、古事記や日本書紀を保有しているが、日本の歴史を「罪と悔い改めの歴史」として回顧することはない。主なる神が日本人の歴史を導かれたとも思っていない。やはりイスラエルは神に導かれた特別の約束の民であるとつくづく思う。

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