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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年5月21日祈祷会(詩篇2編、主の油注がれた者~これは私の子)

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1.王の即位式に読まれた詩篇2編

 

・詩篇2編は王の詩篇と呼ばれ、王の即位式で読まれた式文であろう。王の即位式で王に油が注がれる。しかし、イスラエルの神ヤハウェが任命した王に対し、諸国の王たちは反逆する。これは何だと詩編記者は語る。

-詩篇2:1-3「なにゆえ、国々は騒ぎ立ち、人々はむなしく声をあげるのか。なにゆえ、地上の王は構え、支配者は結束して、主に逆らい、主の油注がれた方に逆らうのか。『我らは、枷をはずし、縄を切って投げ捨てよう』と」。

・「油注がれた者」、ヘブル語マシーアハ、メシアである。王は主に油を注がれ、全治の支配を委ねられたのに、地上の王たちはこの支配を認めない。天の主は地上の王たちを嘲笑される「私が立てた者にお前たちは逆らうのか、それは私に逆らうことだ」。

-詩篇2:4-6「天を王座とする方は笑い、主は彼らを嘲り、憤って、恐怖に落とし、怒って、彼らに宣言される。『聖なる山シオンで、私は自ら、王を即位させた』」。

・古代世界では王は神の子だった。王の即位式の時には、祭司が立ち上がり、神の言葉を読み上げる「お前は私の子、今日、私はお前を生んだ」と。王は神の選びにより立てられ、神から統治権を委ねられる。

-詩篇2:7-9「主の定められたところに従って私は述べよう。主は私に告げられた『お前は私の子、今日、私はお前を生んだ。求めよ。私は国々をお前の嗣業とし、地の果てまで、お前の領土とする。お前は鉄の杖で彼らを打ち、陶工が器を砕くように砕く』」

・全ての王たちはこのメシアに従えと命令される。何故ならば、彼こそがメシア、王の王だからだ。

-詩篇2:10-12「すべての王よ、今や目覚めよ。地を治める者よ、諭しを受けよ。畏れ敬って主に仕え、おののきつつ喜び躍れ。子に口づけせよ、主の憤りを招き、道を失うことのないように。主の怒りはまたたくまに燃え上がる」。

・イスラエル人は、イスラエルこそ主ヤハウェの長子であり、他の諸国はその弟たちであると理解していた。

-詩篇89:28-30「私は彼を長子とし、地の諸王の中で最も高い位に就ける。とこしえの慈しみを彼に約束し、私の契約を彼に対して確かに守る。私は彼の子孫を永遠に支え、彼の王座を天の続く限り支える」。

 

2.王の即位式讃美の詩篇がメシア預言として読まれる

 

・この詩の背景には強い政治力を持っていた王が死に、後継者が位を譲られた時、その間隙をついて、それまで従属して国々が自由を求めて蜂起したという例が広くみられるので、同様の事態を背景として作られたのであろう。ただイスラエルは小国であり、決して世界帝国にはならなかった。「全ての王がひざを屈める」、それは歴史的出来事ではなく、信仰的出来事だ。主がイスラエルを選ばれた故に、その都エルサレム(シオン)が世界の首都になるとイザヤは宣言した。

-イザヤ2:2-3「終わりの日に、主の神殿の山は、山々の頭として堅く立ち、どの峰よりも高くそびえる。国々はこぞって大河のようにそこに向かい、多くの民が来て言う『主の山に登り、ヤコブの神の家に行こう。主は私たちに道を示される。私たちはその道を歩もう』と。主の教えはシオンから、御言葉はエルサレムから出る」。

・イスラエルは主の選びを信じた。その選びがダビデ契約として王朝の永続性を約束したと理解した。

-サムエル記下7:16「あなたの家、あなたの王国は、あなたの行く手にとこしえに続き、あなたの王座はとこしえに堅く据えられる」。

・しかし後継の王たちは主の委託に応えず、権力のままに振舞い、民を顧みようとはしなかった。その時、預言者たちはダビデ王朝の断絶を預言し始める。

-エレミヤ36:30-31「主はユダの王ヨヤキムについてこう言われる。彼の子孫には、ダビデの王座につく者がなくなる。ヨヤキムの死体は投げ出されて、昼は炎熱に、夜は霜にさらされる。私は王とその子孫と家来たちをその咎のゆえに罰する。彼らとエルサレムの住民およびユダの人々に災いをくだす。この災いはすべて既に繰り返し告げたものであるが、彼らは聞こうとはしなかった」。

・ダビデ王朝が断絶した後、人々はこの詩篇をメシア到来の預言として読んだ。新約記者はイエスこそダビデの子、詩篇2編が預言した、来るべきメシアであったと証言する。

-使徒言行録13:33「神はイエスを復活させて、私たち子孫のためにその約束を果たしてくださったのです。それは詩編の第二編にも、『あなたは私の子、私は今日あなたを産んだ』と書いてあるとおりです」。

・詩篇1編はこの世の悪の問題に直面しながら、なお主の言葉に留まる人々を「幸いだ」と歌う。詩篇2編は権力抗争に明け暮れる地上の国々の問題に直面しながら、なお主の言葉に留まる人々を「幸いだ」と歌った。

-詩篇2:12b「いかに幸いなことか、主を避けどころとする人はすべて」。

 

3. 新約聖書記者はこの詩篇をどのように理解したのか。

 

・イエスの洗礼時に詩篇2編の言葉は響き、山上の変容の時にも響いた。マルコはイエスを神の祝福を受けた、神の子、王の王として描いている。

-マルコ1:10-11「(イエスが)水の中から上がるとすぐ、天が裂けて“霊”が鳩のように御自分に降って来るのを、御覧になった。すると『あなたは私の愛する子、私の心に適う者』という声が、天から聞こえた」。

-マルコ9: 7「雲が現れて彼らを覆い、雲の中から声がした『これは私の愛する子。これに聞け』」。

・マタイは復活のイエスが、「自分こそメシアである」と宣言されたことを伝える。

-マタイ28:18-20「イエスは近寄って来て言われた『私は天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民を私の弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる』」。

・ユダヤ教の指導者たちが、イエスの弟子たちを迫害した時、ルカは「使徒たちの祈り」に詩篇2編を用いて、人々の誤りを描き出す。ここでルカは詩篇2編がメシア預言であり、そのメシアとはキリストに他ならないと語っている。

-使徒4:24-26「主よ、あなたは天と地と海と、そして、そこにあるすべてのものを造られた方です。あなたの僕であり、また、私たちの父であるダビデの口を通し、あなたは聖霊によってこうお告げになりました『なぜ、異邦人は騒ぎ立ち、諸国の民はむなしいことを企てるのか。地上の王たちはこぞって立ち上がり、指導者たちは団結して、主とそのメシアに逆らう』」。

・詩篇2編は「お前は鉄の杖で彼らを打ち、陶工が器を砕くように砕く」と力による支配を宣言する。古代の王たちの力の源泉は武力であった。しかしイエスは武器を捨て、仕えることを通して人々の心をとらえよと教えられた。

-マルコ10:42-45「イエスは一同を呼び寄せて言われた。『あなたがたも知っているように、異邦人の間では、支配者と見なされている人々が民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。しかし、あなたがたの間では、そうではない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである』」。

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