2019年6月27日祈祷会(列王記上1章、王位継承の争い)

投稿日:2019年8月22日 更新日:

2019年6月27日祈祷会(列王記上1章、王位継承の争い)

1.ダビデの老衰と次の王位継承の争い

・列王記はダビデの子ソロモンの即位から、王国の分裂、滅亡までを描く。民族のバビロン捕囚という現実の中で、列王記著者は、「ダビデ王朝は永遠に」と約束された神が王朝を滅ぼされ、エルサレム神殿を破壊されたことの意味を追求していく。「神は何故ご自分の民を滅ぼされたのか」、「何故異民族の王が自分たちを支配するのか」、「神はおられるのか」、そのような叫びの中で書かれた歴史書である。最終章は囚われの王ヨヤキンの生存に王朝存続の希望を託している。
―列王記下25:27-29「ユダの王ヨヤキンが捕囚となって三十七年目の第十二の月の二十七日に、バビロンの王エビル・メロダクは、その即位の年にユダの王ヨヤキンに情けをかけ、彼を出獄させた。バビロンの王は彼を手厚くもてなし・・・ヨヤキンは獄中の衣を脱ぎ、生きている間、毎日欠かさず王と食事を共にすることとなった」。
・列王記はダビデの老衰とそれに伴って起きた王位継承の争いから始まる。ダビデは起きることも、後宮の婦人を抱くことも出来なくなっていた。当時の習慣は、王の統治能力を王が子を産ませる能力で判定していた(「王に命を生む力が失せれば、国土も衰え、穀物の実りも絶える」というのが当時の考え方であった)。彼はもう王国の支配者にふさわしくなかった。
―列王記上1:1-4「ダビデ王は多くの日を重ねて老人になり、衣を何枚着せられても暖まらなかった・・・美しいこの娘は王の世話をし、王に仕えたが、王は彼女を知ることがなかった」。
・最初に王位継承を主張したのは四男アドニヤであった。三人の兄は既に亡くなっていた。彼は弟ソロモンよりも王位優先権があると主張し、軍の司令官ヨアブと大祭司アビアタルの支持を取り付け、旗揚げした。しかし、肝心の父王ダビデの合意を得ていない。軽率な行為であった。
―列王記上1:5-8「ハギトの子アドニヤは思い上がって『私が王になる』と言い、戦車と馬と五十人の護衛兵をそろえた・・・アドニヤはツェルヤの子ヨアブと祭司アビアタルに話をもちかけ、この二人の支持を得た。しかし、祭司ツァドク、ヨヤダの子ベナヤ、預言者ナタン・・・ダビデの勇士たちはアドニヤにくみしなかった」。
・反対派はソロモンの母バト・シェバを動かして巻き返しを図った。預言者ナタンはバト・シェバに、「ダビデのところに行き、ソロモン後継の承認を得る」ように働きかける。バト・シェバは夫ダビデにソロモンを後継者にするように懇願する。
―列王記上1:15-21「彼女は言った『わが主君、王よ、あなたの神、主にかけてあなたはこのはしためにお誓いになりました。あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となり、私の王座につくと。ところが今、アドニヤが王となりました。わが主君、王よ、あなたはそのことをご存じではありません・・・このままで、わが主君、王が先祖と共に眠りにおつきになれば、私とわが子ソロモンは反逆者になってしまいます』」。
・争いに負けたものは殺される。バト・シェバとその子を愛していたダビデは、ソロモンを後継者に指名し、即位の儀式を執り行うように部下に命じる。
―列王記上1:32-35「王は言った『お前たちは主君の家臣を率いて、わが子ソロモンを私のラバに乗せ、ギホンに下らせよ。祭司ツァドクと預言者ナタンは、そこでソロモンに油を注いで、イスラエルの上に立つ王とせよ。角笛を吹いて『ソロモン王、万歳』と叫び、彼の後に従って上れ。ソロモンは来て、私の王座につく。私に代わって王となるのは彼であり、イスラエルとユダの上に立つ君主になるよう私は彼に命じる』」。

2.ソロモンの即位

・こうしてソロモンが油を注がれ、王に即位した。形勢は変わった。アドニヤの元に列席した人々は相次いで去った。列王記はソロモンこそ、神によってえらばれた新しい王であると語る。
−列王記上1:43-49「いいえ、我らの主君、ダビデ王はソロモンを王とされました。王は、ソロモンと共に祭司ツァドク、預言者ナタン、ヨヤダの子ベナヤ、クレタ人とペレティ人を遣わし、彼らはソロモンを王のらばに乗せました。祭司ツァドクと預言者ナタンはギホンでソロモンに油を注いで王とし、彼らがそこから喜び祝いながら上って来たので、町は騒いでいるのです。あなたがたに聞こえたのはその声で、ソロモンは既に国王の座についておられます。王の家臣も次々と来て、我らの主君、ダビデ王に祝いの言葉を述べています・・・アドニヤに招かれた客は皆、震えながら立ち上がり、それぞれ帰途についた」。
・アドニヤは助命を求めて幕屋に逃げた。
−列王記1:50-53「アドニヤもソロモンを恐れ、立って行き、祭壇の角をつかんだ。この知らせがソロモンに伝えられた。『アドニヤはソロモン王を恐れ、祭壇の角をつかんで言っています。この僕を剣にかけて殺すことはないと今日ソロモン王に誓っていただきたいと』。ソロモンは言った。『彼が潔くふるまえば髪の毛一筋さえ地に落ちることはない。しかし、彼に悪が見つかれば死なねばならない』。ソロモン王は人を遣わしてアドニヤを祭壇から下ろさせた。アドニヤがソロモン王の前に出てひれ伏すと、ソロモン王は、『家に帰るがよい』と言った」。
・祭壇の角をつかむことは神の保護を求めることを意味していた。神への犠牲の捧げものをする時は、血を臨在の幕屋の中にある香をたく祭壇の四隅の角に塗る(レビ記4:7)。事件の裁判が為されるまで神の保護を求めることを意味した。ソロモンは一旦アドニヤの助命を認めたが、すぐ後にアドニヤを処刑し、アドニヤ側に立った大祭司アビアタルを追放し、自分に逆らった軍司令ヨアブを殺した。ソロモンの即位は血にまみれたものであった。
―列王記上2:25-29「ソロモン王はヨヤダの子ベナヤを送ってアドニヤを討たせたので、アドニヤは死んだ。王はまた祭司アビアタルにこう言った『アナトトの自分の耕地に帰るがよい。お前は死に値する者だが、今日、私はお前に手を下すのを控える。お前は私の父ダビデの前で主なる神の箱を担いだこともあり、いつも父と辛苦を共にしてくれたからだ』。ソロモンはアビアタルが主の祭司であることをやめさせた・・・この知らせがヨアブにまで届いた。ヨアブはアブサロムには加担しなかったが、アドニヤに加担したので、主の天幕に逃げ込み、祭壇の角をつかんだ。ソロモン王は、ヨアブが主の天幕に逃げ込み、祭壇のそばにいることを知らされると、『行ってヨアブを討て』と命じ、ヨヤダの子ベナヤを遣わした」。

3.列王記上1章の黙想

・列王記記者はソロモン即位が主の御心と信じている。アドニヤには王位優先権があったが、王になるだけの器量のない男であった。だから彼は排除された。王としてはソロモンがふさわしい、だから主はソロモンの手が血に汚れることを許された、神の超越的意思がそこに働いていると列王記記者は理解している。
−創世記50:19-20「ヨセフは兄たちに言った。『恐れることはありません。私が神に代わることができましょうか。あなたがたは私に悪をたくらみましたが、神はそれを善に変え、多くの民の命を救うために、今日のようにしてくださったのです』」。
・ソロモンは主に愛された名君とされるが、列王記記者は決してソロモンを美化し、理想化して描かない。11章ではソロモンの主に対する不忠実の故に王国が分裂することが預言される。そこに聖書の聖書たるゆえんがある。
−列王記上11:1-4「ソロモン王はファラオの娘のほかにもモアブ人、アンモン人、エドム人、シドン人、ヘト人など多くの外国の女を愛した・・・彼には妻たち、すなわち七百人の王妃と三百人の側室がいた。この妻たちが彼の心を迷わせた。ソロモンが老境に入ったとき、彼女たちは王の心を迷わせ、他の神々に向かわせた。こうして彼の心は、父ダビデの心とは異なり、自分の神、主と一つではなかった」。
−列王記上11:9-11「ソロモンの心は迷い、イスラエルの神、主から離れたので、主は彼に対してお怒りになった。主は二度も彼に現れ、他の神々に従ってはならないと戒められたが、ソロモンは主の戒めを守らなかった。そこで、主は仰せになった。『あなたがこのようにふるまい、私があなたに授けた契約と掟を守らなかったゆえに、私はあなたから王国を裂いて取り上げ、あなたの家臣に渡す』」。
・主は必要があれば自分の民を打って捕囚の苦しみを与えられる。必要があれば権力者の不正行為を通して、ご自分の子を十字架で殺される。イエスを十字架につけられたのは神ご自身である。歴史の中に神の経綸を見ていく信仰が列王記の中にある。
―使徒4:27-28「この都でヘロデとポンティオ・ピラトは、異邦人やイスラエルの民と一緒になって、あなたが油を注がれた聖なる僕イエスに逆らいました。そして、実現するようにと御手と御心によってあらかじめ定められていたことを、すべて行ったのです」。

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