2019年4月25日祈祷会(サムエル記下13章、神なき世界の争い)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

2019年4月25日祈祷会(サムエル記下13章、神なき世界の争い)

1.ダビデの長子アムノンの犯した罪

・ダビデは多くの妻たちに多くの子を生ませた(下3:2-5、5:13-16によれば彼は17人の息子を持った)。その家庭の乱れが、王位継承争いを血まなぐさいものとする。事の発端は、ダビデの長子アムノンが腹違いの妹タマルに恋情を抱いたことであった。アムノンは王位継承権1位の王子であった。
−サムエル記下13:1-2「ダビデの子アブサロムにタマルという美しい妹がいた。ダビデの子アムノンはタマルを愛していた。しかしタマルは処女で、手出しをすることは思いもよらなかったので、妹タマルへの思いにアムノンは病気になりそうであった」。
・アムノンは計略を用いてタマルを部屋に呼び、暴力で犯す。当時、異母兄妹の結婚は許されており、正式に妻とすることが出来たのに、アムノンはそうしなかった。彼が抱いたのはタマルへの愛ではなく、その肉に対する欲情だった。
−サムエル記下13:10-14「アムノンはタマルを捕らえて言った『妹よ、おいで。私と寝てくれ』。タマルは言った『いけません、兄上。私を辱めないでください。イスラエルでは許されないことです。愚かなことをなさらないでください・・・どうぞまず王にお話しください。王はあなたに私を与えるのを拒まれないでしょう』。アムノンは彼女の言うことを聞こうとせず、力ずくで辱め、彼女と床を共にした」。
・犯した後にアムノンはタマルを憎み、家から追い出す。それはタマルをもてあそび、捨てる行為だった。
−サムエル記下13:15-17「アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった。アムノンは彼女に言った『立て。出て行け』。タマルは言った『いいえ、私を追い出すのは、今なさったことよりも大きな悪です』。だがアムノンは聞き入れようともせず、自分に仕える従者を呼び、『この女をここから追い出せ。追い出したら戸に錠をおろせ』と命じた」。
・出来事を聞いたダビデは怒ったが、何もしなかった。アムノンの行為は、ダビデが部下の妻バテシバに劣情を抱き、これを犯し、事の発覚を恐れて夫を殺した罪と同じだったからだ。ダビデはアムノンを処断できなかった。このことが更なる悲劇をもたらす。タマルと同腹の兄弟アブサロムはアムノンを憎悪する。
−サムエル記下13:21-22「ダビデ王は事の一部始終を聞き、激しく怒った。アブサロムはアムノンに対して、いいとも悪いとも一切語らなかった。妹タマルを辱められ、アブサロムはアムノンを憎悪した」。

2.ダビデの三男アブサロムの犯した罪

・タマルの同腹の兄アブサロムは妹に対するアムノンの行為を知り、彼を憎んだが、2年間何もしなかった。彼は妹の復讐を考えながらも、自分より上位の王位継承権者アムノンを陥れる好機であることを視野に入れたからだ(次男は夭折し、三男アブサロムはアムノンがいなくなれば筆頭の王位継承者になる)。
−サムエル記下13:23-27「二年たった。エフライムに接するバアル・ハツォルにアブサロムの羊の毛を刈る者が集まった。アブサロムは王子全員を招待し、王のもとに行って願った『僕は羊の毛を刈る者を集めました。どうぞ王御自身、家臣を率いて、僕と共にお出かけください』・・・アブサロムは懇願したが、ダビデは出かけることを望まず、ただ祝福を与えた。アブサロムは言った『それなら、兄アムノンを私たちと共に行かせてください』」。
・皇太子アムノンが王の名代として収穫の祭りに来ることになり、この機会にアブサロムはアムノン殺害を計画し、実行した。
−サムエル記下13:28-29「アブサロムは自分の従者たちに命じて言った『いいか。アムノンが酒に酔って上機嫌になった時、私がアムノンを討てと命じたら、アムノンを殺せ。恐れるな。これは私が命令するのだ。勇気を持て。勇敢な者となれ』。従者たちは、アブサロムの命令どおりアムノンに襲いかかった」。
・アブサロムは言う『恐れるな、私が命令するのだ』。聖書の記述であるのに、ここには神の名は一言も出ない。かつてヨシュアは『神共にいますゆえに恐れるな』といったが、アブサロムの口からはその言葉は出ない。
−ヨシュア記1:9「私は、強く雄々しくあれと命じたではないか。うろたえてはならない。おののいてはならない。あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる」。
・ダビデは皇太子アムノンの死を知って泣く。長男を愛していたからだ。殺害者アブサロムはダビデを恐れて亡命する。第二王位継承者が第一王位継承者を殺した。王位相続争いがここにある。その中でダビデは何の指導力も発揮できなかった。
−サムエル記下13:36-38「彼らは声をあげて泣き、王も家臣も皆、激しく泣いた。アブサロムは、ゲシュルの王アミフドの子タルマイのもとに逃げた。ダビデはアムノンを悼み続けた。アブサロムはゲシュルに逃げ、三年間そこにいた」。

3.悲劇の連鎖はなぜ起きるのか(その後のダビデとアブサロム)

・時の経過と共に、ダビデはアブサロムを赦すようになるが、兄を殺したアブサロムに信頼を置けず、会うことを拒否する。
−サムエル記下14:23-28「ヨアブは立ってゲシュルに向かい、アブサロムをエルサレムに連れ帰った。
だが、王は言った。『自分の家に向かわせよ。私の前に出てはならない』。アブサロムは自分の家に向かい、王の前には出なかった・・・アブサロムはエルサレムで二年間過ごしたが、王の前に出られなかった」。
・ダビデは事件があってから5年間も三男アブサロムに会おうとはしなかった。父ダビデの不寛容が、アブサロムに反乱を起こさせた。
−サムエル記下15:13-14「イスラエル人の心はアブサロムに移っているという知らせが、ダビデに届いた。ダビデは、自分と共にエルサレムにいる家臣全員に言った。『直ちに逃れよう。アブサロムを避けられなくなってはいけない。我々が急がなければ、アブサロムがすぐに我々に追いつき、危害を与え、この都を剣にかけるだろう』」。
・反乱は、一時はアブサロムが優勢であったが、最終的にはアブサロムは倒され、死ぬ。アブサロムの死を知ったダビデは泣き崩れる。
−サムエル記下19:1「ダビデは身を震わせ、城門の上の部屋に上って泣いた。彼は上りながらこう言った。『私の息子アブサロムよ、私の息子よ。私の息子アブサロムよ、私がお前に代わって死ねばよかった。アブサロム、私の息子よ、私の息子よ』」。
・ダビデがウリヤに犯した罪が次々に新しい罪と死を招く。アムノンは死に、アブサロムも死んだ。神無き世界では、力ある者は無い者を殺し、支配し、悪の連鎖は止まることがない。サムエル記下13章に神の名は一度も登場しない。
−マタイ20:25-27「あなたがたも知っているように、異邦人の間では支配者たちが民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい」。
・サムエル記を注解したD.ペインは「不倫の罪の重さ」を記す。
−D.ペイン・サムエル記注解「ダビデやアムノンの不義の性関係の顛末は、『不倫は誰の迷惑にもならない個人的な罪である』と考える現代人の認識が誤っていることを私たちに伝える」。
・ダビデがバテシバを力づくで犯すことをしなければ、アムノンもタマルに対して、暴力的な性関係を強要しなかっただろう。ダビデがアムノンの罪をきちんと処罰すればアブサロムがアムノンを殺すことはなかったであろう。さらにダビデが罪を犯したアブサロムを赦せば、アブサロムが死ぬこともなかった。不倫や情欲は家族から平和を奪い取る悪である。
−ヤコブ1:14-15「人はそれぞれ、自分自身の欲望に引かれ、唆されて、誘惑に陥るのです。そして、欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます」。

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