2019年4月18日祈祷会(サムエル記下12章、その男はあなただ)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

2019年4月18日祈祷会(サムエル記下12章、その男はあなただ)

1.ダビデに対する告発

・アンモン人との戦いが始まり、ダビデは将軍ヨアブを送り込む。これまでダビデは民の先頭に立って戦った。が、今回は出陣せず、王宮で午睡をむさぼっていた。王として慢心し始めていた。目が覚めた彼は王宮の屋上を散歩し、一人の美しい女が水浴びをしているのを眼下に見た。
−サムエル記下11:2「ある日の夕暮れに、ダビデは午睡から起きて、王宮の屋上を散歩していた。彼は屋上から、一人の女が水を浴びているのを目に留めた。女は大層美しかった」。
・女はヘト人ウリヤの妻バテシバだった。夫ウリヤはアンモン戦争に出陣して留守だった。ダビデは女を王宮に呼び、これと寝た。女は妊娠した。
−サムエル記下11:3-5「ダビデは人をやって女のことを尋ねさせた。それはエリアムの娘バト・シェバで、ヘト人ウリヤの妻だということであった。ダビデは使いの者をやって彼女を召し入れ、彼女が彼のもとに来ると、床を共にした。彼女は汚れから身を清めたところであった。女は家に帰ったが、子を宿したので、ダビデに使いを送り、『子を宿しました』と知らせた」。
・バテシバの妊娠を知ってダビデはあわてる。彼はつじつまを合わせるために夫ウリヤを戦場から送り帰らせ、妻と寝させようとするが、ウリヤは戦場の同胞のことを考慮して家に入らない。ダビデは悪事の露見を恐れてウリヤを戦死させるために、将軍ヨアブにウリヤを最前線に送るように命じ、ウリヤは戦死する。バテシバはウリヤの喪が明けると、ダビデの妻として王宮に入った。しかし、主はこの行為を許されなかった。
−サムエル記下11:27−12:1「喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にした。彼女は男の子を産んだ。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった。主はナタンをダビデのもとに遣わされた」。
・ダビデの許に派遣された預言者ナタンは、「多く持っているのに惜しんで、貧しい人の子羊を取り上げる男のたとえ話」をダビデに語る。ダビデは金持ちの男の無慈悲な行為を怒る。
−サムエル記下12:1-5「ナタンは来て、次のように語った『二人の男がある町にいた。一人は豊かで、一人は貧しかった。豊かな男は非常に多くの羊や牛を持っていた。貧しい男は自分で買った一匹の雌の小羊のほかに何一つ持っていなかった・・・ある日、豊かな男に一人の客があった。彼は訪れて来た旅人をもてなすのに、自分の羊や牛を惜しみ、貧しい男の小羊を取り上げて自分の客に振る舞った』。ダビデはその男に激怒し、ナタンに言った『主は生きておられる。そんなことをした男は死罪だ』」。
・人は他者の罪は見えても自分の罪は見えない。ナタンはダビデに言う「その男はあなただ」。
−サムエル記下12:7「ナタンはダビデに向かって言った『その男はあなただ』」。
・ダビデはそれを聞いて自分の罪を認め、悔い改める。王であろうと律法の下にある。主は悔い改めた者は赦されるが、償いは為されねばならない。ダビデとバテシバの間に生まれた子の命はとられる。
−サムエル記下12:13-14「ダビデはナタンに言った『私は主に罪を犯した』。ナタンはダビデに言った『その主があなたの罪を取り除かれる。あなたは死の罰を免れる。しかし、このようなことをして主を甚だしく軽んじたのだから、生まれてくるあなたの子は必ず死ぬ』」。
・ダビデは罪の赦しを神に請うて言った「私は主に罪を犯した」。全ての罪は神に対して犯される。従って、私たちが被害者やその家族に謝り、赦されたとしても罪は消えない。罪の赦しが為されるのは神の憐れみだけだ。詩編51編はその時にダビデが歌ったものと言われる。
−詩篇51:5-6「ダビデの詩。ダビデがバト・シェバと通じたので預言者ナタンがダビデのもとに来た時。『神よ、私を憐れんでください、御慈しみをもって。深い御憐れみをもって、背きの罪をぬぐってください。私の咎をことごとく洗い、罪から清めてください。あなたに背いたことを私は知っています。私の罪は常に私の前に置かれています。あなたに、あなたのみに私は罪を犯し、御目に悪事と見られることをしました。あなたの言われることは正しく、あなたの裁きに誤りはありません』」。

2.悔い改めと赦し

・罪の購いとして子の命はとられる。ダビデは主の憐れみを求めて7日間断食したが子は死んだ。
−サムエル記下12:15-18「主はウリヤの妻が産んだダビデの子を打たれ、その子は弱っていった。ダビデは子のために神に願い求め、断食した。彼は引きこもり、地面に横たわって夜を過ごした。・・・七日目にその子は死んだ」。
・子が死んだことを知ったダビデは起き上がって主の家で礼拝し、食事した。ダビデの償いは終わった。
−サムエル記下12:22-23「子がまだ生きている間は、主が私を憐れみ、子を生かしてくださるかもしれないと思ったからこそ、断食して泣いたのだ。だが死んでしまった。断食したところで、何になろう。あの子を呼び戻せようか。私はいずれあの子のところに行く。しかし、あの子が私の元に帰って来ることはない」。
・しかし、本当の償いはこれからだ。ダビデの長子アムノンは暗殺され、次男アブシャロムはダビデに反旗を翻し、やがて戦死していく。ダビデはウリヤがなめた辱めと無念を自分の身に受けなければいけない。痛みなしに罪の赦しはない。この痛みを通して救いが為されていく。礼拝における十字架の言葉は私たちに対する告発だ。私たちは問う「兄弟よ、どうしたらよいですか」。それに対して、復活の赦しが語られる。礼拝は罪を告発し、悔い改めを導き、赦しを宣告する場だ。
―使徒言行録2:37-38「人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロとほかの使徒たちに『兄弟たち、私たちはどうしたらよいのですか』と言った。すると、ペトロは彼らに言った『悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます』」。

3.ダビデの罪の贖い

・ダビデは罪を赦された。しかし、負債は支払わなければならない。ナタンの預言どおりの出来事が起こった。ナタンは次のように預言している。
−サムエル記下12:11−12「主はこう言われる。『見よ、私はあなたの家の者の中からあなたに対して悪を働く者を起こそう。あなたの目の前で妻たちを取り上げ、あなたの隣人に与える。彼はこの太陽の下であなたの妻たちと床を共にするであろう。あなたは隠れて行ったが、私はこれを全イスラエルの前で、太陽の下で行う。』」。
・ダビデは多くの妻を持ち、子供たちに恵まれていたが、その子供たちは権力をめぐって争い、長男アムノンは異母妹タマルと過ちを犯し(13章)、そのために弟アブサロムに殺される。そのアブサロムは父ダビデに反乱を起こし一時はエルサレムを占領し、ダビデの側女たちを自分のものにする(15章)。11節の預言「あなたの目の前で妻たちを取り上げ、あなたの隣人に与える」と言う預言が実現する。やがてダビデの軍隊はアブサロム軍を破り、アブサロムは死ぬ。ダビデはアブサロムの死を知らされた時、泣いて叫ぶ「私の息子アブサロムよ、私の息子よ、私がおまえに代わって死ねばよかった」(サムエル記下19:1)。私たちは罪のもたらす結果にぞっとする。ダビデがウリヤの妻に欲情を抱き、床に招くという罪を犯すことによって、ウリヤが死に、バテシバの子が死に、アムノンが死に、アブサロムまで死んだ。正に罪は死を招く出来事である。
・しかし、主はダビデを祝福された。罪を犯した後のダビデはそれ以前のダビデに比し、この世的には苦難の多い生涯に入ったが、信仰的には前よりも自由と平安の人になった。それはもはや己の義に頼む心が全く砕かれ、「赦されし罪人」としての自覚を持って、ただ神の憐れみの中に生きる謙遜が与えられたのである。この時、私たちは知る。罪を犯したものは神の裁きを受けるが、その裁き、人間の側からすれば苦難を通して神は私たちを祝福されることを。苦難を通して私たちは神を求める者に変えられていく。
・森有正は語る「人間というものは、どうしても人に知らせることのできない心の一隅を持っております。醜い考えがありますし、秘密の考えがあります。またひそかな欲望がありますし、恥があります。どうも他人には知らせることができない心の一隅というものがある。そこにしか神様にお目にかかる場所は人間にはないのです。人にも言えず、親にも言えず、先生にも言えず、自分だけで悩んでいる。また恥じている。そこでしか人間は神様に会うことはできない。」(森有正「土の器に」p.21)。ダビデは罪を犯し、その罪のために多くのものを失い、苦しんだ。その苦しみを通して彼は清められ、救われていく。
・キリストを信じるものとそうでない人は何が違うか。ともに罪を犯す。キリスト者は罪を犯した時、それを神に指摘され、裁かれ、苦しむ。その苦しみを通して神の憐れみが与えられ、また立ち上がることができる。信じることの出来ない人々は犯した罪を隠そうとする、「その男は私である」と認めることが出来ない。そのため、罪が罪として明らかにされず、裁きが為されない。罪の償いが何時までも出来ないから平安が得られない。私たちが救われるということは、死んだら天国に行くかどうかではなく、今現在、私たちが神の平安の中にいるかどうかということである。自分が赦された罪人であることを知るものはその生を変えられる。「その男はあなただ」と言う指摘に対して「私こそ、まさに罪を犯したその男です」と悔改めた時、神の祝福が始まることを旧約聖書は繰り返し、私たちに伝える。

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