江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2016年7月14日祈祷会(創世記49章、ヤコブの祝福)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.10部族への祝福

・ヤコブは死に臨んで12人の息子たちを祝福した。祝福というよりも、後のイスラエル12部族の運命、力関係が預言の形で残されている。中心になるのはユダ族とヨセフ族への預言である。
―創世記49:1-2「ヤコブは息子たちを呼び寄せて言った。『集まりなさい。私は後の日にお前たちに起こることを語っておきたい。ヤコブの息子たちよ、集まって耳を傾けよ。お前たちの父イスラエルに耳を傾けよ。』」
・ルベンは長子であったが、その犯した罪(父の側女ビルハと寝た=創35:22)により、長子権を剥奪された。
―創世記49:3-4「ルベンよ、お前は私の長子、私の勢い、命の力の初穂。気位が高く、力も強い。お前は水のように奔放で、長子の誉れを失う。お前は父の寝台に上った。あのとき、私の寝台に上り、それを汚した。」
・ルベン族は12部族の中でも影の薄い存在になり、この部族からは王も預言者も出ない。
―?歴代誌5:1「イスラエルの長男ルベンの子孫について。ルベンは長男であったが、父の寝床を汚したので、長子の権利を同じイスラエルの子ヨセフの子孫に譲らねばならなかった。そのため彼は長男として登録されてはいない。」
・シメオンとレビは妹の復讐のためにシケムの人々を虐殺し(創世記34:26)、ために諸族の間に散らされると預言されている。シメオン族はユダ族の中に吸収されて部族は消滅し、レビ族は下級祭司として諸部族に仕えた。しかし出エジプトを率いるモーセはレビ族から出た。
―創世記49:5-7「シメオンとレビは似た兄弟。彼らの剣は暴力の道具。私の魂よ、彼らの謀議に加わるな。私の心よ、彼らの仲間に連なるな。彼らは怒りのままに人を殺し、思うがままに雄牛の足の筋を切った。呪われよ、彼らの怒りは激しく、憤りは甚だしいゆえに。私は彼らをヤコブの間に分け、イスラエルの間に散らす。」
・前半で大きな祝福を与えられているのはユダ族である。ユダ族は次第に頭角を現し、兄弟の代表になって行く。―創世記49:8-10「ユダよ、あなたは兄弟たちにたたえられる。あなたの手は敵の首を押さえ、父の子たちはあなたを伏し拝む。ユダは獅子の子。私の子よ、あなたは獲物を取って上って来る。彼は雄獅子のようにうずくまり、雌獅子のように身を伏せる。誰がこれを起こすことができようか。王笏はユダから離れず、統治の杖は足の間から離れない。ついにシロが来て、諸国の民は彼に従う。」
・ユダ族の中からダビデが出て、王国を形成する。ユダ族は最後まで生き残り、やがてイスラエルはユダヤとして覚えられる。49:11-12は将来来るメシア預言とされる。
―創世記49:11-12「彼はろばをぶどうの木に、雌ろばの子を良いぶどうの木につなぐ。彼は自分の衣をぶどう酒で、着物をぶどうの汁で洗う。彼の目はぶどう酒によって輝き、歯は乳によって白くなる。」
・さらに、北方に移住することになる部族たちに対する預言が続く。
−創世記49:13-21「ゼブルンは海辺に住む。そこは舟の出入りする港となり、その境はシドンに及ぶ。イサカルは骨太のろば、二つの革袋の間に身を伏せる。彼にはその土地が快く、好ましい休息の場となった。彼はそこで背をかがめて荷を担い、苦役の奴隷に身を落とす。ダンは自分の民を裁く、イスラエルのほかの部族のように。ダンは、道端の蛇、小道のほとりに潜む蝮。馬のかかとをかむと乗り手はあおむけに落ちる・・・ガドは略奪者に襲われる。しかし彼は、彼らのかかとを襲う。アシェルには豊かな食物があり、王の食卓に美味を供える。ナフタリは解き放たれた雌鹿、美しい子鹿を産む」。
・イスラエルの領土は北限がダン、南限がベエル・シバとなる。
−列王記上5:5「ソロモンの在世中、ユダとイスラエルの人々は、ダンからベエル・シェバに至るまで、どこでもそれぞれ自分のぶどうの木の下、いちじくの木の下で安らかに暮らした」。
・王国分裂後、北王国はアッシリアに滅ぼされ、ゼブルンとナフタリは失われた地としてその回復が悲願となる。イエスが宣教を始められたのは、その失われた地ガリラヤであった。
−マタイ4:13-16「(イエスは)ナザレを離れ、ゼブルンとナフタリの地方にある湖畔の町カファルナウムに来て住まわれた。それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。『ゼブルンの地とナフタリの地、湖沿いの道、ヨルダン川のかなたの地、異邦人のガリラヤ、暗闇に住む民は大きな光を見、死の陰の地に住む者に光が射し込んだ。』」

2.ヨセフとベニヤミンへの祝福

・ヨセフはルベンが喪失した長子権を得て、二人の子(マナセとエフライム)が族長として12部族の一部となり、王国分裂後はエフライム族が中心になって北イスラエル王国を形成する。
―創世記49:22-26「ヨセフは実を結ぶ若木、泉のほとりの実を結ぶ若木。その枝は石垣を越えて伸びる。弓を射る者たちは彼に敵意を抱き、矢を放ち、追いかけてくる。しかし、彼の弓はたるむことなく、彼の腕と手は素早く動く。ヤコブの勇者の御手により、それによって、イスラエルの石となり牧者となった。どうか、あなたの父の神があなたを助け、全能者によってあなたは祝福を受けるように。上は天の祝福、下は横たわる淵の祝福、乳房と母の胎の祝福をもって。あなたの父の祝福は、永遠の山の祝福にまさり、永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福がヨセフの頭の上にあり、兄弟たちから選ばれた者の頭にあるように。」
・ベニヤミンへの祝福は短い。なお最初の王サウルはベニヤミン族の出身だった。
−創世記49:27「ベニヤミンはかみ裂く狼、朝には獲物に食らいつき、夕には奪ったものを分け合う。」
・ヤコブの祝福はその後の部族史を反映している。民族指導者の出身を見ると、モーセはレビ族、ヨシュアはエフライム族,サムエルはエフライム族、サウルはベニヤミン族、ダビデはユダ族である。ルベン、シメオンは独立部族としては存続しえず、レビはモーセによって回復されたが、諸族に仕える下級祭司とされた。他方、ユダとヨセフ(エフライム)は重要な役割を与えられる。
−創世記49:28「これらはすべて、イスラエルの部族で、その数は十二である。これは彼らの父が語り、祝福した言葉である。父は彼らを、おのおのにふさわしい祝福をもって祝福したのである」。

3.ヤコブの死

・ヤコブは最後に自分の遺体を父祖の地に納めるように命じて死ぬ。
−創世記49:29-32「ヤコブは息子たちに命じた。『間もなく私は、先祖の列に加えられる。私をヘト人エフロンの畑にある洞穴に、先祖たちと共に葬ってほしい。それはカナン地方のマムレの前のマクペラの畑にある洞穴で、アブラハムがヘト人エフロンから買い取り、墓地として所有するようになった。そこに、アブラハムと妻サラが葬られている。そこに、イサクと妻リベカも葬られている。そこに、私もレアを葬った。あの畑とあそこにある洞穴は、ヘトの人たちから買い取ったものだ。』」
・ヤコブは「かかとをつかむ者」と言われたほどに自分の栄達と約束の成就を求めた。生の執着に生きた生涯であった。そのヤコブが今、全てを失い、エジプトの寄留民となって、死んでいく。彼には遺すべき財産も権力もなかった。それ故、ただ「神の祝福」を子たちに遺して死んでいく。人が遺すものがある時、神の祝福に目がいかない。自らの所有をすべて欠いた故に、主に飢え渇く。遺すものがないことは神の祝福ではないだろうか。
―創世記49:33「ヤコブは、息子たちに命じ終えると、寝床の上に足をそろえ、息を引き取り、先祖の列に加えられた。」
・アブラハムは約束を求める旅の生涯であった。イサクは約束の地での静かな生涯であった。三代目のヤコブは人間の栄達を求める激しい生涯であったが、最後はイスラエル(神の戦士)とされ、他者を祝福し、信仰を子たちに継承した。それぞれの人生がそれぞれに神に導かれ、祝福されたものであった。
―ヘブル11:8-21「信仰によってアブラハムは、受け継ぐべき地に出て行けとの召しをこうむった時、それに従い、行く先を知らないで出て行った・・・信仰によってイサクは、来るべきことについてヤコブとエサウとを祝福した。信仰によってヤコブは死の間際にヨセフの子らを一人一人祝福しその杖の頭によりかかって礼拝した。」

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