江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2015年9月3日祈祷会(創世記7章、ノアの洪水?)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.洪水物語は二つの資料(伝承)で構成されている

・洪水伝説は二つの異なった資料から構成されている。
−ヤーウェ資料(紀元前10世紀、ダビデ・ソロモンの統一王国時代)=清い動物は7対、汚れた動物は1対(7:2-3)、洪水は40日+7日+7日+7日=61日(7:12他)
−祭司資料(紀元前6世紀、捕囚期)=動物は全て1対(7:8-9)、洪水は150日+150日=300日(7:24、8:3)
・その結果、同じような記事が重複している。
−箱舟に入るようにとの命令(6:18-20、7:1-3)
−ノアの箱舟乗船(7:7,7:13)
・創世記7章での両資料を取り出してみると、下記の通りで、それぞれで独立した内容を構成する。
−創世記7章ヤハウェ資料(J)
7:1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけは私に従う人だと、私は認めている。7:2 あなたは清い動物をすべて七つがいずつ取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい。7:3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。7:4 七日の後、私は四十日四十夜地上に雨を降らせ、私が造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」7:5 ノアは、すべて主が命じられたとおりにした。7:7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。7:8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、7:9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは神がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。7:10 七日が過ぎて、洪水が地上に起こった。7:12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、7:16b 主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。7:17 洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。7:22 乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。7:23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。
−創世記7章祭司資料(P)
7:6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。7:11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。7:13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。7:14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、7:15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。7:16a 神が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。7:18 水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。7:19 水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。7:20 水は勢いを増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った。7:21 地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。7:24 水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった。

2.J物語、P物語による洪水

・7章はノアと家族たちが箱舟に乗り込むところから記事が始まる。先のP資料(6:18-22)が再びJ資料で繰り返される。J資料では箱舟に入れられる動物は清い動物は7つがい、清くない動物は1つがいである。レビ記11章では食べても良い動物(清い動物)と食べてはいけない動物(汚れた動物)が区別されており、イスラエルはこの食物規定を厳格に守った(参照:使徒10:9-16、ペテロの見た食物の幻)ことを反映している。
−創世記7:1-3「主はノアに言われた。『さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけは私に従う人だと、私は認めている。あなたは清い動物をすべて七つがいずつ取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい。空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように』」。
・4節から洪水が予告される。雨は40日40夜降る。40日40夜は試練の時を示す数である(モーセは40日40夜シナイ山で祈り十戒を与えられる=出エジプト24:18、イエスは40日40夜砂漠でサタンの試練に会う=マタイ4:1-3)。
−創世記7:4-5「七日の後、私は四十日四十夜地上に雨を降らせ、私が造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした』。ノアは、すべて主が命じられたとおりにした」。
・6節以降、P資料(7:6)とJ資料(7:7-9)が混在して物語が進む。
-創世記7:6-9「ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは神がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった」。
・10節以降もP資料、J資料が混在して物語が進む。留意すべきは11節「深淵の源が裂け、天の窓が開かれた」(P資料)である。創造の秩序がここに失われたことが表現されている。
−創世記7:10-11「七日が過ぎて、洪水が地上に起こった。ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた」。
・預言者たちは神の審き(終末)が来れば、天が裂け、大地が揺るがされ、創造の秩序が混乱(カオスになる)すると繰り返し語る。「天の水門が開かれた」との祭司資料は洪水物語を審判(終末)の到来として見ていることを示す。彼らはその物語を捕囚地バビロンで聞いている。
−イザヤ24:18-19「恐怖の知らせを逃れた者は、穴に落ち込み、穴から這い上がった者は、罠に捕らえられる。天の水門は開かれ、地の基は震え動く。地は裂け、甚だしく裂け、地は砕け、甚だしく砕け、地は揺れ、甚だしく揺れる」。
・雨は40日40夜降り続き、地には水が満ちた。
−創世記7:13-16「まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。神が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた」。

3.地上の生物の滅亡

・洪水は40日間地上を覆い、箱舟は水の上を漂流する。
−創世記7:17-20「洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。水は勢いを増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った」。
・大地の生き物はすべて息絶えた。
−創世記7:21-24「地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった」。
・残った生き物は箱舟に逃れたものたちのみだった。どのような審きの時も、主は必ず残りのものを残されると旧約の預言者たちは信じた。エレミヤは洪水においてノアとその家族が救われたことの中に、捕囚の民もやがて許されて生き残る希望を見ている。
−エレミヤ4:23-27「私は見た。見よ、大地は混沌とし、空には光がなかった。私は見た。見よ、山は揺れ動き、すべての丘は震えていた。私は見た。見よ、人はうせ、空の鳥はことごとく逃げ去っていた。私は見た。見よ、実り豊かな地は荒れ野に変わり、町々はことごとく、主の御前に、主の激しい怒りによって打ち倒されていた。まことに、主はこう言われる。『大地はすべて荒れ果てる。しかし、私は滅ぼし尽くしはしない』」。

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