江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2014年7月3日祈祷会(ネヘミヤ記6章、エルサレム城壁の完成)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.最終段階における敵の妨害工作

・ネヘミヤの指導下、城壁再建工事は進展し、城壁は九分通り完成した。もはや兵力を持って攻撃することは不可能になったので、敵は謀略を用いて城壁再建を妨害しようとする。具体的にはネヘミヤに会見を求め、彼を暗殺しようとする計画であり、首謀者はサマリア総督サンバラト、アンモン総督トビヤ、アシュドド総督ゲショムであった。彼らは三国の中立地帯であるオノの谷での会見を求めた。
‐ネヘミヤ6:1-2「サンバラト、トビヤ、アラブ人ゲシェム、その他私たちの敵は、私が城壁を再建し、崩れた所が一つとして残らず、あとは城門に扉を付けるだけだということを耳にした。サンバラトとゲシェムは私のもとに使者をよこして、『オノの谷にあるケフィリムで会おう』と言った。彼らは私に危害を加えようとたくらんだのであった」。
・ネヘミヤは会見が彼を暗殺するための罠であることを見抜き、会見を拒否する。
‐ネヘミヤ6:3-4「そこで私は使者を送って言わせた。『私は大きな工事をしているので、行けません。中断して出かけたのでは、どうして工事が終わるでしょうか』。彼らは同じことを四度も言ってきたが、私も同じように返事を繰り返した」。
・五度目の手紙には、会見に応じなければ「あなたの叛乱計画をペルシア本国に告発する」との脅しもあった。前486/5年の城壁再建工事はペルシア王から叛乱を疑われ、中止させられている(エズラ4:6-22)。しかしネヘミヤは脅しには屈しなかった。
‐ネヘミヤ6:5-8「五度目にサンバラトは、配下の者を同じ言葉をもって私のもとによこしたが、その手には開封の手紙があった。そこには、こう書かれていた『あなたとユダの人々は反逆を企てていると、諸国のうわさにもなっているし、ガシュムも言っている。城壁を建てているのはそのためであろう。あなたはユダの人々の王になろうとしているということだ。また、あなたはあなたのことを宣言する預言者をエルサレムに立てて、ユダの王だと言わせているそうだ。今このうわさは、王の元に届こうとしている。早速相談しようではないか』。そこで私は返事を送った『あなたの言うことは事実に反する。あなたの勝手な作り事だ』」。
・脅迫者はサマリア総督であり、彼の告発をペルシア王が受け入れれば、ネヘミヤは解任され、場合によっては処刑される危険性もあった。人の悪意に出会った時、私たちはどうするか。弁明すればするほど状況は悪くなるであろう。ネヘミヤはただ神に祈った。祈りこそが最善の解決方法であるのだ。
‐ネヘミヤ6:9「彼らは皆、私たちの手が弱り、工事は完成しないだろうと言って、私たちに恐怖を与えている。神よ、今こそ私の手を強くしてください」。
・敵は、今度は職業預言者シェマヤを買収して、ネヘミヤを罠にかけようとする。ネヘミヤは祭司ではなく、おそらくは宦官であった(王の側近は宦官であることを求められた)。そのネヘミヤを誘導して神殿の聖所に誘い込み、モーセの律法違反の罪(神殿冒涜)で告発を目論んだ。
‐ネヘミヤ6:10-13「私が(祭司)シェマヤの家に行くと、彼は閉じこもっていた。彼は言った『神殿で会おう、聖所の中で。聖所の扉を閉じよう。あなたを殺しに来る者がある。夜、あなたを殺しにやって来る』。しかし、私は言った『私の立場にある者は逃げることはできない。私のような者で、聖所に入って、なお生き長らえることのできる者があろうか。私は入らない』。彼は神が遣わした者ではなく、トビヤとサンバラトに買収されて私に預言したのだということを私は悟った。なぜ彼を買収したのか。それは私が恐怖心から彼らの言いなりになって罪を犯せば、彼らはそれを利用して私の悪口を言い、私を辱めることができるからである」。
・ネヘミヤはここでも祈りを通して困難からの出口を求める。祈りこそ信仰者の武器なのである。
‐ネヘミヤ6:14「わが神よ、トビヤとサンバラトのこの仕業と、私を脅迫した女預言者ノアドヤや他の預言者たちを覚えていてください」。

2.妨害を乗り越えての城壁完成

・数々の妨害にもかかわらず、城壁工事は完了した。ネヘミヤ記は、城壁は52日で完成したと記すが、ヨセフス(ユダヤ古代誌)は2年4ヶ月かかったという。ヨセフスの言うように数年がかりの大工事であったと思われる。
‐ネヘミヤ6:15-16「城壁は五十二日かかって、エルルの月の二十五日に完成した。私たちのすべての敵がそれを聞くに及んで、私たちの周囲にいる諸国の民も皆、恐れを抱き、自らの目に大いに面目を失った。私たちの神の助けによってこの工事がなされたのだということを悟ったからである」。
・城壁は完成したが、敵の妨害は続いた。その背景には父祖たちの信仰を伝承し、立て直そうとする帰還民たちと、異教的環境の中で純粋な宗教性を失っていた土着民との争いがあった。土着の有力者たちは、サンバラトやトビヤと縁戚関係を結んでおり、ネヘミヤたちと対立していた。
‐ネヘミヤ6:17-19「そのころ、ユダの貴族は頻繁にトビヤに手紙を送り、トビヤの手紙も彼らに届いていた。ユダの多くの人は彼と互いに誓約を交わす関係にあったからで、トビヤはアラの子シェカンヤの娘婿であり、トビヤの子ヨハナンはベレクヤの子メシュラムの娘をめとっていた。彼らは私の前ではトビヤへの賛辞を述べ、トビヤには私の言葉を密告した。トビヤは私に脅迫の手紙をよこした」。
・7章以下には城壁完成後にネヘミヤがバビロンから祭司エズラを呼び寄せ、宗教改革を行わせたことが記録されている。信仰共同体の育成は神殿や城壁等の器が完成しただけではだめなのである。今日的に言えば、教会堂が立派になり、協会員の経済生活が安定しても、それだけでは神の国共同体は育たないのである。教会は仲良し共同体ではなく、あくまでも神の言葉を聞き、それに従う共同体なのである。
‐ネヘミヤ8:1-3「民は皆、水の門の前にある広場に集まって一人の人のようになった。彼らは書記官エズラに主がイスラエルに授けられたモーセの律法の書を持って来るように求めた。祭司エズラは律法を会衆の前に持って来た。そこには、男も女も、聞いて理解することのできる年齢に達した者は皆いた。第七の月の一日のことであった。彼は水の門の前にある広場に居並ぶ男女、理解することのできる年齢に達した者に向かって、夜明けから正午までそれを読み上げた。民は皆、その律法の書に耳を傾けた」。
・ネヘミヤ記にはネヘミヤの祈りが随所に記されている。彼は困難があればその問題を神の前に差し出し、神の指示を待つ。それはゲツセマネのイエスも同じである。イエスは死ぬことに意味を見いだせず、死の盃を取り除くように神に求めたが、神は沈黙を続けられた、その沈黙にイエスは神の回答を認め、「御心のままに」として死に向かっていく。出口が見つからない時は祈っていく、祈りを通して進むべき道が与えられる。
‐マルコ14:32-36「一同がゲツセマネという所に来ると、イエスは弟子たちに、『私が祈っている間、ここに座っていなさい』と言われた。そして、ペトロ、ヤコブ、ヨハネを伴われたが、イエスはひどく恐れてもだえ始め、彼らに言われた『私は死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、目を覚ましていなさい』。少し進んで行って地面にひれ伏し、できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈り、こう言われた『アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯を私から取りのけてください。しかし、私が願うことではなく、御心に適うことが行われますように』」。

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