江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2013年7月24日祈祷会(雅歌7:1−14、シュラムのおとめ)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

−ある研究者は、ソロモン王は旧約聖書中の三つの書物を「雅歌」「箴言」「コヘレトの言葉」の順に書いたのではないかと推測し、その理由を次のように解釈した。「王が若さに満ちた日々はよく恋し、よく歌った。それが「雅歌」である。そして、成人して王務につくと処世訓を口にし、人々にもそう教えた。それが「箴言」である。そして、老いの坂を下り始めると人生の来し方行く末に空しさを感じた。それが、「コヘレトの言葉」である。三つの書物の底にはソロモン王の人生観がある。」穿った見方で共感もできるが、三つの書物を同一人物の著作とみるには、原文の文体が異なるという無理があり支持されていない。
−別な研究者は「雅歌」は「愛する者たちが、互いを求めあい、与えあう姿から、人々は神の愛がいかなるものかに気付き、それが愛の詩集となり、「雅歌」となったのである。」と解釈した。男女が結ばれるのは神の御旨であると結論づけたのである。ボンヘッファ−は1944年6月2日付けの「獄中書簡」で「雅歌」について述べている。「イタリアにいるきみに『雅歌』について書いてみようと思う。わたしは実際に『雅歌』をこの世の恋愛歌として読みたいと考えている。それは、おそらく最高の『キリスト論的』解釈である。」
−合唱−
−雅歌7:1「もう一度出ておいで、シュラムのおとめ、もう一度出ておいで、姿を見せておくれ。マハナイムの踊りをおどるシュラムのおとめに、なぜ、それほど見とれるにか。」
・シュラムは地名で、ナザレの南々東約15キロメ−トルにあり、おとめはその地の出身である。マハナイムは野営のことで、マハナイムの踊りは野営の踊りである。踊り終えたおとめにアンコールの声がかかった。おとめの踊りは人々を魅了したのである。
−若者の歌−
−雅歌7:2−5「気高いおとめよ、サンダルをはいたあなたの足は美しい。ふっくらとしたももは、たくみの手に磨かれた彫り物。秘められたところは丸い杯、かぐわしい酒に満ちている。腹はゆりに囲まれた小麦の山、乳房は二匹の子鹿、双子のかもしか。首は象牙の塔。目はバト・ラビムの門の傍らにある、へシュボンの二つの池。鼻はレバノンの塔、ダマスカスを見はるかす。」
・若者はおとめの肉体を賛美しておとめへの憧憬を露わにする。もう二人だけの世界である。「へシュボンの二つの池」のへシュボンはヨルダン川の東、ヨルダンのアンマンにある、現代のヒスバンである。そこにかつてあった池が今は遺跡として発掘されている。池は湧水池ではなく貯水池で、湛えられた水はあくまで清く澄み美しいといわれている。「バト・ラビムの門」はかつて、そのヘシュボンの町の門であった。「多くの人々の門」の意もあることから、おとめの人気を門に例えたのである。レバノンの塔は2700メ−トルを超えるレバノンの山々をさすが、鼻は高ければ美しいというものではない。
−雅歌7:6−10a「高く起こした頭はカルメルの山。長い紫の髪、王はその房のとりこになった。喜びに満ちた愛よ、あなたはなんと美しく楽しいおとめか。あなたの立ち姿はなつめやし、乳房はその実の房。なつめやしの木に登り、甘い実の房をつかんでみたい。わたしの願いは、ぶどうの房のようなあなたの乳房、りんごの香りのようなあなたの息、うまいぶどう酒のようなあなたの口。」
・カルメル山は地中海からすっくと立ち上った山容が美しい、おとめの頭も首からの立ち上がりが美しい。その頭にかかる豊かな紫なす髪、王はその髪のとりことなるだろう。たぐいなきおとめの美しさよ。あなたはなつめやし、乳房はその実のよう、その木に登り、その実をこの手でとらえたい。若者は最大級の賛辞でおとめの心を射止めようとする。
−おとめの歌−
−雅歌7:10b−12「それはわたしの恋しい人へ滑らかに流れ、眠っているあの人の唇に滴ります。わたしは恋し人のもの、あの人はわたしを求めている。恋しい人よ、来てください。野に出ましょう、コフエルの花房のもとで夜を過ごしましょう。」
・「それ」はおとめの愛の思いである。おとめの愛の思いはそよ風に乗り、空中を滑って自若者の心に流れこむ。恋は滴り落ちるほど熟している。おとめは言う、わたしは彼のもの、彼はわたしのもの、そして二人だけの世界を夢見て歌い続ける。コフエルは野生のぶどう。
−雅歌7:13−14「朝になったらぶどう畑に急ぎ、見ましょう、ぶどうの花はさいたか、花盛りか、ざくろのつぼみも開いたか。それから、あなたにわたしの愛をささげます。恋なすは香り、そのみごとな実が戸口に並んでいます。新しい実も、古い実も、恋しい人よ、あなたのために取っておきました。」
・創世記30章では、ヤコブを巡るレアとラケル姉妹の恋争いに恋なすびが油を注ぐ。「雅歌」7章は並べられた恋なすびが恋の成就を予感させ終わる。

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