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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2010年7月28日祈祷会(詩編58篇、全地に正しい裁きを行い給え)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.悪人の滅びを求める詩人

・詩編58篇の詩人は自分の生きている世界を見た時に、地上の支配者たちが不正の心で暴虐を働き、それを正当化しているのを見て、「正義はあるのか、裁きはあるのか」と問い、神の正しい裁きを祈り求めた。
詩編58:2-3「お前たちは正しく語り、公平な裁きを行っているというのか、人の子らよ。いや、お前たちはこの地で、不正に満ちた心をもってふるまい、お前たちの手は不法を量り売りしている」。
・神に逆らう者=邪悪な者たちは生まれつき汚れており、その暴虐や虚偽は蛇の毒のようだと詩人は彼らを呪う。彼らは蛇使いの声にも従わない(苦しむ者たちの声に耳を傾けようとはしない)。
-詩編58:4-6「神に逆らう者は、母の胎にあるときから汚らわしく、欺いて語る者は母の腹にあるときから迷いに陥っている。蛇の毒にも似た毒を持ち、耳の聞こえないコブラのように耳をふさいで、蛇使いの声にも、巧みに呪文を唱える者の呪文にも従おうとしない」。
・「神よ、彼らの歯を折り、きばを抜いて下さるように。彼らが水に流されるように流れ去り、ナメクジのように溶け、太陽の光を受けることのない流産の子のようになるように」と詩人は邪悪な者たちの滅びを激しく呪う。
-詩編58:7-10「神が彼らの口から歯を抜き去ってくださるように。主が獅子の牙を折ってくださるように。彼らは水のように捨てられ、流れ去るがよい。神の矢に射られて衰え果て、ナメクジのように溶け、太陽を仰ぐことのない流産の子となるがよい。鍋が柴の炎に焼けるよりも速く、生きながら、怒りの炎に巻き込まれるがよい」。
・権力者の圧迫の中で、神の御旨が分からないと嘆いていたこの信仰者は、彼らがこの地上から一掃されるようにと呪う。昔の日本人が藁人形を作って木に釘で打ち付けたのと同じ激しさだ。そして彼は言う「正しい者は復讐を見て喜び、その足を悪しき者の血で洗うであろう」。
-詩編58:11「神に従う人はこの報復を見て喜び、神に逆らう者の血で足を洗うであろう」。
・しかし、詩人は気がつく「神は本来正しい方でおいでになる。私はこんな祈りをしているけれども、神が本当におられることを信じているだろうか」という実存的問いを始める。そして、「どんなに悪がはびこっていても、世界はこのままでは終わらない、正しく裁かれる神が厳然としておられる」ことに気づいて、詩人は筆を置く。
-詩編58:12「人は言う『神に従う人は必ず実を結ぶ。神はいます。神はこの地を裁かれる』」。

2.この詩をどのように理解するか

・現代の私たちはあまりにも激しい詩人の呪詛についていけない。しかし詩人の述べるのはこの世の真実だ。この世では力の政治が歴史を作り上げ、貧しい人々から貪る支配者であふれており、預言者が言葉を尽くしても変わらない。だからイザヤは現実に絶望してメシアを求め、エレミヤはこの世を一旦清算する事を求めた。
-イザヤ11:1-5「エッサイの株から一つの芽が萌えいで、その根から一つの若枝が育ち、その上に主の霊がとどまる・・・彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。目に見えるところによって裁きを行わず、耳にするところによって弁護することはない。弱い人のために正当な裁きを行い、この地の貧しい人を公平に弁護する。その口の鞭をもって地を打ち、唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。正義をその腰の帯とし、真実をその身に帯びる」。
・詩編58篇には、混迷する地上世界において、神の正義が貫かれているのを信じるかが問われている。私たちは神の摂理を信じ、正義の実現を熱望し、そのために働いているだろうか。多くのクリスチャンたちは「この世は邪悪であり、正義は天上でしか実現されない」とあきらめているのではないだろうか。
-ルカ4:5-8「悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。そして悪魔は言った『この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それは私に任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。だから、もし私を拝むなら、みんなあなたのものになる』。イエスはお答えになった『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよと書いてある』」。
・イエスは58篇のような祈りはされなかった。イエスは「敵のために祈れ」と言われた。「呪われよ、失せ去れ」という祈りしか出来ない人間のために、イエスは自らに呪いの叫びを負うて、命を捨てられた。人々からの裁きに耐え抜いて「正しい裁きをする方に、一切を委ねておられた」、あの方において、詩編58篇は解決されているではないだろうか。
-?ペテロ2:22-24「この方は、罪を犯したことがなく、その口には偽りがなかった。罵られても罵り返さず、苦しめられても人を脅さず、正しくお裁きになる方にお任せになりました。そして、十字架にかかって、自らその身に私たちの罪を担ってくださいました・・・そのお受けになった傷によって、あなたがたは癒されました」。

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