1.イスラエルの衰退
・新しく王となったイエフもまたヤロブアムの罪を離れなったため、主はイスラエルを衰退に向かわせられた。
−?列王記10:31-33「イエフは、心を尽くしてイスラエルの神、主の律法に従って歩もうと努めず、イスラエルに罪を犯させたヤロブアムの罪を離れなかった。このころから、主はイスラエルを衰退に向かわせられた」。
・イエフが死に子ヨアハズが王になってもイスラエルは悔改めず、主はイスラエルをアラム(シリヤ)の軍隊が蹂躙するに任せられた。ここでもヤロブアムの罪が指摘されている。
−?列王記13:1-3「イエフの子ヨアハズがサマリアでイスラエルの王となり、十七年間王位にあった。彼は主の目に悪とされることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバトの子ヤロブアムの罪に従って歩み、それを離れなかった。主はイスラエルに対して怒りを燃やし、彼らを絶えずアラムの王ハザエルの手とハザエルの子ベン・ハダドの手にお渡しになった」。
・ヨアハズは主に願い、主はイスラエルのためにアラムを撃つ者を与えられた。具体的にはアッシリヤの台頭によりアラムの勢力が減殺され、一時的にイスラエルがその領土を回復したことを指すのであろう。
−?列王記13:4-5「ヨアハズが主をなだめたので、主はこれを聞き入れられた。主はイスラエルが圧迫されていること、アラムの王が彼らに圧迫を加えていることを御覧になった・・・主はイスラエルに一人の救い手を与えられた。イスラエルの人々はアラムの支配から解放されて、以前のように自分たちの天幕に住めるようになった」。
・ヨアハズの子ヨアシュの代になっても状況は同じだ。彼もまたヤロブアムの罪を抜けきることが出来ない。
−?列王記13:10-11「ユダの王ヨアシュの治世第三十七年に、ヨアハズの子ヨアシュがサマリアでイスラエルの王となり、十六年間王位にあった。彼は主の目に悪とされることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバトの子ヤロブアムの罪を全く離れず、それに従って歩み続けた」。
・ヤルブアムの罪とは、神よりも自分の都合を優先する罪である(列王記上12:25-29)。それが偶像礼拝の本質だ。パウロがコロサイ書で指摘するのも同じ罪だ。
−コロサイ3:5-6「地上的なもの、すなわち、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲を捨て去りなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。これらのことのゆえに、神の怒りは不従順な者たちに下ります」。
2.エリシャの死
・そのヨアシュに主はエリシャを通して、機会を与えられる。死の床にあったエリシャは訪ねてきたヨアシュにアラムを撃つ機会を与える。
−?列王記13:14-17「エリシャが王に『弓と矢を取りなさい』と言うので、王は弓と矢を取った。エリシャがイスラエルの王に『弓を手にしなさい』と言うので、彼が弓を手にすると、エリシャは自分の手を王の手の上にのせて『東側の窓を開けなさい』と言った。王が開けると、エリシャは言った『矢を射なさい』。王が矢を射ると、エリシャは言った『主の勝利の矢。アラムに対する勝利の矢。あなたはアフェクでアラムを撃ち、滅ぼし尽くす』」。
・エリシャは王に更なる勝利を与えようとするが、不決断の王はためらう。エリシャは王の無気力を見て、イスラエルの将来を悲観しながら、世を去っていく。
−?列王記13:18-20「エリシャは『矢を持って来なさい』と言った。王が持って来ると、エリシャはイスラエルの王に『地面を射なさい』と言った。王は三度地を射てやめた。神の人は怒った『五度、六度と射るべきであった。そうすればあなたはアラムを撃って、滅ぼし尽くしたであろう。だが今となっては、三度しかアラムを撃ち破ることができない』。エリシャは死んで葬られた。その後、モアブの部隊が毎年この地に侵入して来た」。
・イスラエルは主の審判が猶予されている間に悔改めるべきだった。そうすれば国の滅びはなかった。しかし、イスラエルはそうしなかった。そのため、最後の審判、滅びの時は近づいてくる。
−?列王記13:22-23「アラムの王ハザエルはヨアハズの生きている間、絶えずイスラエルに圧迫を加えた。しかし、主はアブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約のゆえに、彼らを恵み、憐れみ、御顔を向け、彼らを滅ぼそうとはされず、今に至るまで、御前から捨てることはなさらなかった」。
・イスラエルが滅んだのは、それから80年後の前722年であった。ペテロはユダヤ人同胞に呼びかけた。「悔改めなさい。そうしないと滅びる」。私たちの宣教の言葉も同じだ。
−使徒言行録2:37-38「人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロとほかの使徒たちに『兄弟たち、私たちはどうしたらよいのですか』と言った。すると、ペトロは彼らに言った『悔改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます』」。