江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2008年12月4日祈祷会(イザヤ21章、倒れた、大バビロンが倒れた)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.バビロン滅亡の預言

・イザヤ21章はバビロン滅亡前の前539年頃を背景にしている。イザヤ13章もそうであったが、アモツの子イザヤの預言集の中に、イザヤの後継者たちの預言も編集・挿入されている。
−イザヤ21:9「倒れた、倒れた、バビロンが。神々の像はすべて砕かれ、地に落ちた」。
・バビロンを滅ぼすべく、東国のエラムとメディアの軍勢が戦端の準備をしている。歴史的にはエラムとメディアを併合したペルシャ王クロスがバビロンを攻め滅ぼしているが、預言者はその動きの中に主の御手を見る。
−イザヤ21:1-2「海の荒れ野についての託宣。ネゲブに吹き荒れる、つむじ風のように、彼は来る、荒れ野から、恐ろしい地から。厳しい幻が、私に示された『欺く者は欺き続け、荒らす者は荒らし続けている。上れ、エラムよ、包囲せよ、メディアよ、私は呻きをすべて終わらせる』」。
・バビロンはナボニドス王の時に滅んでいるが、ペルシャ軍侵攻の日は祭日で、人びとは踊り狂い、飲めや歌えの宴会中であったと歴史家ヘロドトスは書き記す(ヘロドトス・歴史)。
-イザヤ21:5「宴は広げられ、座は整えられ、人々は飲み食いしていた。『立て、武将たちよ、盾に、油を塗れ』」。
・預言者は見張りを立てるように言われる。バビロンを倒す軍勢の通過を迎えるために。ペルシャ軍の中には馬だけでなく、らくだやろばも戦闘に用いられたと言う。
-イザヤ21:6-7「わが主は私にこう言われた『さあ、見張りを立てよ。見るところを報告させよ。彼は見るであろう。二頭立ての戦車を、ろばに乗る者、らくだに乗る者を。耳をそばだてて聞け、油断するな』」。
・「バビロンが倒れた」、新約聖書の伝統では、バビロンは世界に覇を唱える大帝国ローマを指す。ヨハネはイザヤ21章を引用して、圧制者であるバビロン=ローマ帝国が倒れる日が来ることを預言する。
-ヨハネ黙示録18:2「天使は力強い声で叫んだ『倒れた。大バビロンが倒れた』」。
・アッシリア・バビロン・ペルシャ・ギリシャ・ローマ、さらにはアメリカ。世界秩序を支配していると信じられたこの世の力も所詮は偶像に過ぎず、偶像は破壊されていく。独裁者サダム・フセインが2006年に処刑される前、「私は侵略者を、ペルシャ人を、イラクの敵を撃退した」と誇ったとBBCは伝えた。彼の人生も空しい。
-イザヤ21:9「倒れた、倒れた、バビロンが。神々の像はすべて砕かれ、地に落ちた」。

2.バビロン滅亡の混乱の中で

・21章後半はバビロン滅亡の中で慌てふためく諸国の動揺を示す。当時、イスラエルの隣国エドムはバビロンの支配下にあり、同時に親バビロンとしてエルサレムにも侵攻している。彼らは自分たちはどうなるのかと預言者に尋ねる。
-イザヤ21:11-12「セイルから、私を呼ぶ者がある『見張りの者よ、今は夜の何どきか、見張りの者よ、夜の何どきなのか』。見張りの者は言った『夜明けは近づいている、しかしまだ夜なのだ。どうしても尋ねたいならば、尋ねよ、もう一度来るがよい』」。
・見張りの者とは預言者の別名である。預言者は世の動きの中に主の御心を見る務めを持つ。
−エゼキエル33:7「人の子よ、私はあなたをイスラエルの家の見張りとした。あなたが、私の口から言葉を聞いたなら、私の警告を彼らに伝えねばならない」。
・今日の世界の混乱がアメリカ帝国の滅亡を意味するものか、まだわからない。しかし世界経済はアメリカの浪費によって支えられていた。アメリカの衰退は世界不況を招くであろう。バビロン崩壊によって世界が混乱したように。
-ヨハネ黙示録18:11-19「地上の商人たちは、彼女のために泣き悲しむ。もはやだれも彼らの商品を買う者がないからである。・・・ このような商品を扱って、彼女から富を得ていた商人たちは、彼女の苦しみを見て恐れ、遠くに立って、泣き悲しんで、こう言う『不幸だ、不幸だ、大いなる都、麻の布、また、紫の布や赤い布をまとい、金と宝石と真珠の飾りを着けた都』・・・海で働いているすべての者たちは、遠くに立ち、彼女が焼かれる煙を見て・・・頭に塵をかぶり、泣き悲しんで、こう叫んだ『不幸だ、不幸だ、大いなる都、海に船を持つ者が皆、この都で、高価な物を取り引きし、豊かになったのに、ひとときの間に荒れ果ててしまうとは』」。
・21:13以下の預言の背景はわからない。バビロン崩壊の余波の一こまであろう。
-イザヤ21:13-15「荒れ地の茂みで夜を明かせ、デダンの隊商よ。渇いた者を迎えるために、水を持って来るがよい。テマの地の住民よ、パンをもって、逃れてきた者を出迎えよ。彼らは・・・戦いの苦しみを逃れてきたのだから」。
・H・ティーリケは二次大戦末期、空爆のシュトットガルトで「主の祈り」の連続講解説教を行った。人びとは絶望と恐怖の中でティーリケの説く主の言葉を聞いた。その人びとに説教者はイザヤ21:12を引用しながら語りかけた。
−H・ティーリケ/主の祈りから「この世界の中には我々のために起きて見張っている眼があり、夜通し見張り、暗闇の中で、我々を見守っている眼がある。そこには我々の名を呼んでいる御方はいましたもう」。

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