1.ダビデの即位
・サウルの子イシュ・ボシェトと将軍アブネルは死に、ダビデに敵するものはいなくなった。ダビデは先にユダの王になったが、ここにイスラエルの王として即位した。主がダビデに油を注がれてから20年がたっていた。
―?サムエル5:1-3「イスラエルの全部族はヘブロンのダビデのもとに来てこう言った『御覧下さい。私たちはあなたの骨肉です。これまで、サウルが私たちの王であったときにも、イスラエルの進退の指揮をとっておられたのはあなたでした。主はあなたに仰せになりました『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あなたがイスラエルの指導者となる』と。・・・長老たちはダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした』。
・王に即位したダビデが最初に行ったのは、王国の首都エルサレムの建設であった。エルサレムはユダとイスラエルの中間にあり、連合王国の首都にふさわしい町であった。ダビデは町を攻め、これを攻略した。
―?サムエル5:6-9「王とその兵はエルサレムに向かい、その地の住民のエブス人を攻めようとした。・・・ダビデはシオンの要害を陥れた。これがダビデの町である。・・・ダビデはこの要害に住み、それをダビデの町と呼び、ミロから内部まで、周囲に城壁を築いた」。
・ダビデはエルサレムに王宮を立て、これを首都とした。それから、1000年後、ダビデの末裔イエスが、この町に来て、十字架に死に、復活し、昇天し、最初の教会が立てられた。エルサレムは永遠の都になっていく。
―ヨハネ黙示録21:1-4「私はまた、新しい天と新しい地を見た。最初の天と最初の地は去って行き、もはや海もなくなった。更に私は、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意を整えて、神のもとを離れ、天から下って来るのを見た。その時、私は玉座から語りかける大きな声を聞いた『見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである』」。
・ダビデはエルサレムでも妻や側室を設け、多くの子を生んだ。この女性関係の弱さがダビデをやがて苦しめる。ダビデの子どもたちは相続争いを繰り広げ、血にまみれて子ソロモンが王になる。
―?サムエル5:13「ダビデはヘブロンから移った後、エルサレムでも妻をめとり、側女を置いたので、息子や娘が更に生まれた」。
2.ペリシテ軍の撃退
・ペリシテ人は勢力下にあったダビデが連合王国の王になったことを裏切りと見て、ダビデを攻めてきた。武力に勝るペリシテ軍との戦いは王としての最初の試練であった。ダビデは主の御旨を聞き、それに従って撃退する。
―?サムエル5:17-19「ペリシテ人は、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞いた。すべてのペリシテ人がダビデの命をねらって攻め上って来た。ダビデはこれを聞いて要害に下った。やって来たペリシテ人はレファイムの谷に陣を広げた。ダビデは主に託宣を求めた『ペリシテ人に向かって攻め上るべきでしょうか。彼らをこの手にお渡しくださるでしょうか』。主はダビデに答えられた『攻め上れ。必ずペリシテ人をあなたの手に渡す』」。
・この勝利は主の勝利であった。ダビデは武功を自分のものとせず、主に感謝した。
―?サムエル5:20-21「ダビデはバアル・ペラツィムに攻め入り、彼らを討ち滅ぼして、こう言った『主は敵を私の前で、水が堤防を破るように打ち破ってくださった』。その場所をバアル・ペラツィム(破れ目の主)と呼ぶのは、このためである」。
・ペリシテ軍は圧倒的な武力を背景に再びダビデを攻めた。ダビデは再び主の御旨を求め、その指示に従って、再びペリシテ軍を撃退した。この二度の戦いでペリシテ軍は大打撃を受け、イスラエルに平和が戻る。
―?サムエル5:22-25「ペリシテ人は再び攻め上り、レファイムの谷に陣を広げた。ダビデが主に託宣を求めると、次のように答えられた『攻め上らず、背後に回れ。バルサムの茂みの反対側から敵に向かえ。茂み越しに行軍の音を聞いたら、攻めかかれ。主がペリシテの陣営を討つために、お前に先んじて出陣されるのだ』。ダビデは主の命じられたとおりに行動し、ゲバからゲゼルに至るまで、ペリシテ人を討ち滅ぼした」。
・ダビデは主に助けを求めたのではなく、主の御旨を聞いて行動した。私たちの祈りも、私たちの平安を願うのではなく、主の御旨を求めるときに、かなえられる。それは主権者は誰かという問題である。私か、主か。イエスも父の御心を求めて、血の汗を流すほど祈られ、十字架に死ぬことが御心であることを知ると、従われた。
―ルカ22:42「父よ、御心なら、この杯を私から取りのけてください。しかし、私の願いではなく、御心のままに行ってください」。