1.サウルの背信
・サウルはアンモン人との戦いに勝利し、イスラエルの王となった。サウルがこれから為すべきはイスラエルを脅かすペリシテ人を国土から追放することだった。サウルの息子ヨナタンはペリシテの守備隊を打ち破った。このことを契機にペリシテの大軍がイスラエルを襲う。イスラエルはこの大軍を見て、戦意を失う。
―?サムエル13:5-7「ペリシテ軍は、イスラエルと戦うために集結した。その戦車は三万、騎兵は六千、兵士は海辺の砂のように多かった・・・イスラエルの人々は、自分たちが苦境に陥り、一人一人に危険が迫っているのを見て、洞窟、岩の裂け目、岩陰、穴蔵、井戸などに身を隠した。ヨルダン川を渡り、ガドやギレアドの地に逃げ延びたヘブライ人もあった。しかし、サウルはギルガルに踏みとどまり、従う兵は皆、サウルの後ろでおののいていた」。
・サウルはサムエルの到着を待ったが、予定の日になってもサムエルは来なかった。兵は動揺し、3000の兵が600まで減った。サウルはあせり、サムエルの到着を待たずに、自分で聖戦開始のいけにえを捧げ始めた。
―?サムエル13:8-9「サウルは、サムエルが命じたように、七日間待った。だが、サムエルはギルガルに来なかった。兵はサウルのもとから散り始めた。サウルは、「焼き尽くす献げ物と和解の献げ物を持って来なさい」と命じて、焼き尽くす献げ物をささげた」。
・サウルが献げ物をささげ終えた時にサムエルが到着した。サムエルはサウルの背信を問い詰める。サウルは自分の誤りを認めず、言い訳をするばかりだった。
―?サムエル13:10-12「焼き尽くす献げ物をささげ終えたその時、サムエルが到着した。サウルは彼に挨拶しようと迎えに出た。サムエルは言った「あなたは何をしたのか」。サウルは答えた「兵士が私から離れて散って行くのが目に見えているのに、あなたは約束の日に来て下さらない。しかも、ペリシテ軍はミクマスに集結しているのです。ペリシテ軍がギルガルの私に向かって攻め下ろうとしている。それなのに、私はまだ主に嘆願していないと思ったので、私はあえて焼き尽くす献げ物をささげました」。
2.サウルの王権剥奪
・サウルは、目の前の人間の現実(圧倒的な敵軍の優勢の前に離散していく兵)を見て、神の現実(共にいて下されば600人の兵で勝利できる)を見なかった。彼には32,000人を300人に減らしたギデオンの信仰がなかった。
―士師記7:2-7「主はギデオンに言われた「あなたの率いる民は多すぎるので、ミディアン人をその手に渡すわけにはいかない。渡せば、イスラエルは私に向かって心がおごり、自分の手で救いを勝ち取ったと言うであろう」・・・こうして民の中から二万二千人が帰り、一万人が残った。「民はまだ多すぎる・・・手から水をすすった三百人をもって、私はあなたたちを救い、ミディアン人をあなたの手に渡そう。他の民はそれぞれ自分の所に帰しなさい」
・主を信じ切ることの出来なかったサウルにサムエルは言う「主の御心はあなたを去った」と。
―?サムエル13:13-14「あなたは愚かなことをした。あなたの神、主がお与えになった戒めを守っていれば、主はあなたの王権をイスラエルの上にいつまでも確かなものとしてくださっただろうに。しかし、今となっては、あなたの王権は続かない。主は御心に適う人を求めて、その人を御自分の民の指導者として立てられる。主がお命じになったことをあなたが守らなかったからだ」。
・危機に瀕した戦いの局面を転回させたのは、サウルの息子ヨナタンの信仰であった。彼は従卒と二人で、ペリシテ軍に切り込んで行き、敵を混乱させ、その隙にサウル軍はペリシテ軍に進撃し、敵を打った。
―?サムエル14:6-15「ヨナタンは従卒に言った「さあ、あの無割礼の者どもの先陣の方へ渡って行こう。主が我々二人のために計らって下さるにちがいない。主が勝利を得られるために、兵の数の多少は問題ではない」・・・恐怖が陣営でも野でも兵士全体に広がり、先陣も遊撃隊も恐怖に襲われた。地は揺れ動き、恐怖はその極に達した」。
・必要なものは信仰であって兵の数ではない。このことは私たちに一つの示唆を与える。教会員の数が50人に達したら、会堂建築を始めようという私たちは間違っているのかもしれない。20人で始めても必要な物は主が与えられると言う信仰こそ今必要なのだ。
―ハガイ1:1-9「ダレイオス王の第2年6月1日に、主の言葉が預言者ハガイを通して、ユダの総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアに臨んだ「万軍の主はこう言われる。この民は、まだ、主の神殿を再建する時は来ていないと言っている・・・今、お前たちは、この神殿を廃虚のままにしておきながら、自分たちは板ではった家に住んでいて良いのか・・・山に登り、木を切り出して、神殿を建てよ。私はそれを喜び、栄光を受けると主は言われる。お前たちは多くの収穫を期待したが、それはわずかであった。お前たちが家へ持ち帰るとき、私は、それを吹き飛ばした。・・・私の神殿が廃虚のままであるのにお前たちが、それぞれ自分の家のために走り回っているからだ」。