1.贖罪の献げ物
・レビ記には5つの献げ物が記されている。
―焼き尽くす献げ物(1章) 神への感謝と尊敬(全てを燃やし尽くす)
―穀物の献げ物(2章) 収穫の感謝(パン種と蜜は用いず、必ず塩を添える)
―和解の献げ物(3章) 神の前での会食(脂肪は祭壇で燃やし、残りの肉は共に食べる)
―贖罪の献げ物(4章) 罪の購いの献げ物(脂肪は祭壇で燃やし、他は宿営の外で焼き捨てる)
―賠償の献げ物(5章) 罪の購いの献げ物
・贖罪の献げ物は、誤って罪を犯したときに献げる。
―レビ記4:1-2「主はモーセに仰せになった。イスラエルの人々に告げてこう言いなさい。これは過って主の戒めに違反し、禁じられていることをしてそれを一つでも破ったときの規定である。」
・故意に犯した罪は、刑法により裁かれる。
―民数記15:27-31「個人が過って罪を犯したときは、一歳の雌山羊一匹を贖罪の献げ物としてささげなさい。祭司が、過って過失の罪を犯した人のために、主の御前に贖いの儀式をすると、彼の罪は赦される。・・・ただし・・・故意に罪を犯した者は、主を冒涜する者であり、その人は民の中から断たれる。彼は主の言葉を侮り、その命令を破ったのであるから、必ず断たれ、その罪責を負う。」
2.罪の購い
・購いの供え物は、誰の罪を購うかで異なった。大祭司の場合は傷のない雄牛である。
―レビ記4:3「油注がれた祭司が罪を犯したために、責めが民に及んだ場合には、自分の犯した罪のために、贖罪の献げ物として無傷の若い雄牛を主にささげる。」
・血は至聖所の垂れ幕にまかれ、脂肪は祭壇で燃やされる。残りの肉は食べることを赦されず、宿営の外の焼却場で焼き尽くされる。罪を背負って犠牲が死んだためである。
―レビ記4:8-12「献げ物とする牛から脂肪を全部切り取り、・・・焼き尽くす献げ物の祭壇で燃やして煙にする。雄牛の皮、肉、頭、四肢、内臓、胃の中身は、ことごとく宿営の外の清い場所である焼却場に運び出し、燃える薪の上で焼き捨てる。これは焼却場で焼き捨てられねばならない。」
3.十字架の購いの意味
・キリストも宿営の外で死なれた。これをヘブル記の著者は購いの犠牲として、キリストが死なれたと見る。
―ヘブル13:10-13「私たちには一つの祭壇があります。幕屋に仕えている人たちは、それから食べ物を取って食べる権利がありません。なぜなら、罪を贖うための動物の血は、大祭司によって聖所に運び入れられますが、その体は宿営の外で焼かれるからです。それで、イエスもまた、御自分の血で民を聖なる者とするために、門の外で苦難に遭われたのです。だから、私たちは、イエスが受けられた辱めを担い、宿営の外に出て、そのみもとに赴こうではありませんか。」
・贖罪の献げ物をすることにより、人の罪は動物に移され、罪が赦されると、人々は理解した。これが十字架の赦しだとパウロは主張する。
―ローマ3:23-25「人は皆、罪を犯して神の栄光を受けられなくなっていますが、キリスト・イエスによる贖いの業を通して、神の恵みにより無償で義とされるのです。神はこのキリストを立て、その血によって信じる者のために罪を償う供え物となさいました。それは今まで人が犯した罪を見逃して、神の義をお示しになるためです。」
・旧約においては、故意の罪は処罰の対象になった。しかし、故意の罪であっても赦せるように、神はキリストを十字架につけられた。
―ルカ23:32-34「二人の犯罪人が、イエスと一緒に死刑にされるために、引かれて行った。『されこうべ』と呼ばれている所に来ると、そこで人々はイエスを十字架につけた。犯罪人も、一人は右に一人は左に、十字架につけた。そのとき、イエスは言われた。『父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。』人々はくじを引いて、イエスの服を分け合った。