1.シナイからの出発
・シナイ山からの出発の時が来た。その合図をするための銀のラッパを作るように命じられる。
−民数記10:2-6「銀のラッパを二本作りなさい。それは打ち出し作りとし、共同体を呼び集めたり、宿営を旅立たせるために用いなさい。・・・あなたたちが出陣ラッパを吹くと、東に宿営している者が旅立つ。二度目の出陣ラッパを吹くと、南に宿営している者が旅立つ。彼らの出発に際してはラッパを吹く」。
・旧約でも新約でも、ラッパは選ばれた者を集め、新しい時代を告げ、敵との戦いの始まりを示す。
−マタイ24:31「人の子は、大きなラッパの音を合図にその天使たちを遣わす。天使たちは、天の果てから果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。」
・雲が天幕を離れると、人々は出発した。ラッパは雲(神の意思)を人々に告げるための道具である。今日では、主の言葉を伝えるための器として、宣教が用いられる。御旨を本当に聞いた後に為される宣教は神の言葉になる。
−?コリント1:21「世は自分の知恵で神を知ることができませんでした。それは神の知恵にかなっています。そこで神は、宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになったのです」。
・人々はエジプトを出て13ヶ月目にシナイを出発した。
−民数記10:11-13「第二年の第二の月の二十日のことであった。雲は掟の幕屋を離れて昇り、イスラエルの人々はシナイの荒れ野を旅立った。雲はパランの荒れ野にとどまった。彼らは、モーセを通してなされた主の命令によって、初めて旅立った」。
・人々は契約の箱を先頭にして進んだ。契約の箱(御言葉)が私たちを導く。
−民数記10:33「人々は主の山を旅立ち、三日の道のりを進んだ。主の契約の箱はこの三日の道のりを彼らの先頭に進み、彼らの休む場所を探した」。
2.道案内人の依頼
・モーセは妻の兄ホバブに道案内を頼んだ。彼は砂漠の民であり、地理に精通していた。
−民数記10:29-32「モーセは、義兄に当たる、ミディアン人レウエルの子ホバブに言った。『あなたは、荒れ野のどこに天幕を張ればよいか、よくご存じです。私たちの目となってください。一緒に来てくだされば、そして主が私たちに幸せをくださるなら、私たちは必ずあなたを幸せにします』」
・荒野の道は主が導かれる。しかし、主の導きは異邦人ホバブを通して、与えられる。共同体の外側にも神の導きはある。私たちが共同体の外の人々の声を聞くことは大事だ。異邦人の預言者バラムも御心を聞いて預言した。
−民数記23:7-8「バラムはこの託宣を述べた。バラクはアラムから、モアブの王は東の山々から私を連れて来た。来て、『私のためにヤコブを呪え。来て、イスラエルをののしれ』と言った。神が呪いをかけぬものに、どうして私が呪いをかけられよう。主がののしらぬものを、どうして私がののしれよう」。
・ホバブとその子孫達は、共にカナンに行き、住んだ。共同体の外の者が、共同体の中の者になった。
−士師記1:16「モーセのしゅうと、あのケニの人々は、ユダの人々と共になつめやしの町からユダの荒れ野、アラド近辺のネゲブに上って来て、そこの民と共に住んだ」。
3.人間の中にある悪の精錬のための荒野の旅
・民は約束の地を待ち望み、神の配慮と庇護に確信を持って出立した。しかし、やがて水や食糧が不足するとつぶやき始める。民数記1-10章は民の従順を、11-23章は民の反逆を描く。
−詩篇106:12-18「彼らは御言葉を信じ、賛美の歌をうたった。彼らはたちまち御業を忘れ去り、神の計らいを待たず、荒れ野で欲望を燃やし、砂漠で神を試みた。 主はその願いをかなえられたが、彼らをやせ衰えさせられた。彼らは宿営でモーセをねたみ、主の聖なる人アロンをねたんだ。地は口を開けてダタンを呑み込み、アビラムの仲間を覆った。火が彼らの仲間に向かって燃え上がり、炎が神に逆らう者を焼き尽くした」。
・信仰者の中にも聖と悪が共存する。神の民として清められるために、彼らは40年間荒野をさまよう事になる。
−申命記8:14-16「主はあなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出し、炎の蛇とさそりのいる、水のない、乾いた、広くて恐ろしい荒れ野を行かせ、硬い岩から水を湧き出させ、あなたの先祖が味わったことのないマナを荒れ野で食べさせてくださった。それは、あなたを苦しめて試し、ついには幸福にするためであった」。