1.最後の災いの予告
・数々のしるしにもかかわらず、ファラオは悔い改めない。最後の災いがファラオに臨む。
―出エジプト記11:1「わたしは、なおもう一つの災いをファラオとエジプトにくだす。その後、王はあなたたちをここから去らせる。いや、そのときには、あなたたちを一人残らずここから追い出す」。
・それはエジプトの国中の初子を全て滅ぼすというものだった。
―出エジプト記11:4-6「主はこう言われた。『真夜中ごろ、わたしはエジプトの中を進む。そのとき、エジプトの国中の初子は皆、死ぬ。王座に座しているファラオの初子から、石臼をひく女奴隷の初子まで。また家畜の初子もすべて死ぬ。大いなる叫びがエジプト全土に起こる。そのような叫びはかつてなかったし、再び起こることもない。』」
・エジプトの初子が殺されるのは、ファラオがイスラエルの初子を滅ぼそうとしたことの報いである。
―出エジプト記「ファラオは全国民に命じた。『生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。女の子は皆、生かしておけ。』」
・エジプト全土に悲しみの叫びが起こるのは、エジプトがイスラエル人を弾圧して叫ばせた故である。
―出エジプト記3:7「主は言われた。『わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。』」。
・こうして神の義がエジプト人に示されるであろうことをモーセは王に伝える。
―出エジプト記11:7「イスラエルの人々に対しては、犬ですら、人に向かっても家畜に向かっても、うなり声を立てません。あなたたちはこれによって、主がエジプトとイスラエルを区別しておられることを知るでしょう。」
2.災いの意味
・王の犯した罪の報いをその子たちが受ける。これは、私たちの理解を超えた出来事だ。
―マタイ2:16-18「ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。・・・『ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、/慰めてもらおうともしない、/子供たちがもういないから。』」
・ナチスの犯した罪の報いをドイツの子供たちが受けた―多くの子供たちがアメリカ軍の空爆によって死んだ。何故か、私たちは、今は全てを知ることが許されていないことを、素直に告白しよう。
―?コリント13:12「わたしたちは、今は、鏡におぼろに映ったものを見ている。だがそのときには、顔と顔とを合わせて見ることになる。わたしは、今は一部しか知らなくとも、そのときには、はっきり知られているようにはっきり知ることになる。」
3.主の過越
・この出来事はエジプトにとっては災いであったが、イスラエルには救いの出来事であった。
―詩篇78:49-51「神は燃える怒りと憤りを/激しい怒りと苦しみを/災いの使いとして彼らの中に送られた。神は御怒りを現す道を備え/彼らの魂を死に渡して惜しまず/彼らの命を疫病に渡し、エジプトのすべての初子を/ハムの天幕において/力の最初の実りを打たれた。」
・イスラエルの民は、この出来事を「過越」として覚え、これが彼らの礼拝の基本になった。
―出エジプト記12:12-13「その夜、わたしはエジプトの国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプトの国のすべての初子を撃つ。また、エジプト/のすべての神々に裁きを行う。わたしは主である。あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、わたしはあなたたちを過ぎ越す。わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。」
・民を救うために子羊が殺された。新約はキリストが「過越の子羊」として死なれたと理解している。
―?ペテロ1:18-21「あなたがたが先祖伝来のむなしい生活から贖われたのは、金や銀のような朽ち果てるものにはよらず、傷や汚れのない小羊のようなキリストの尊い血によるのです。キリストは、天地創造の前からあらかじめ知られていましたが、この終わりの時代に、あなたがたのために現れてくださいました。あなたがたは、キリストを死者の中から復活させて栄光をお与えになった神を、キリストによって信じています。従って、あなたがたの信仰と希望とは神にかかっているのです。」