1.従う人イサク
・飢饉になり、家畜の群れの為の水と草を求めて、イサクの一族はゲラルの地に行ったが、主はイサクがエジプトに下ることを禁じられ、その地で祝福を与えると言われた。
―創世記26:2-3「主は彼に現れて言われた、『エジプトへ下ってはならない。わたしがあなたに示す地にとどまりなさい。あなたがこの地にとどまるなら、わたしはあなたと共にいて、あなたを祝福し、これらの国をことごとくあなたと、あなたの子孫とに与え、わたしがあなたの父アブラハムに誓った誓いを果そう。』」
・約束どおりに主はイサクを祝福され、イサクは豊かになった。導きに従う時、祝福が伴う。
―創世記26:12-14「イサクはその地に種をまいて、その年に百倍の収穫を得た。主が彼を祝福されたので、彼は富み、またますます栄えて非常に裕福になり、羊の群れ、牛の群れ及び多くのしもべを持つようになった。」
・しかし、そのことがゲラルの民の妬みを招き、イサクは迫害を受ける。
―創世記26:14-16「ペリシテびとは彼をねたんだ。・・・アビメレクはイサクに言った、『あなたはわれわれよりも、はるかに強くなられたから、われわれの所を去ってください』」
2.柔和な人イサク
・迫害の中にあってもイサクは争わず、追われれば去り、争いが起これば譲った。
―創世記26:17-18「イサクはそこを去り、ゲラルの谷に天幕を張ってその所に住んだ。そしてイサクは父アブラハムの時に人々の掘った水の井戸を再び掘った。アブラハムの死後、ペリシテびとがふさいだからである。」
・イサクは掘った井戸をゲラル人が求めれば譲って、掘り続け、終には争いのない井戸を自分のものとした。
―エセク(争い)の井戸、シテナ(敵意)の井戸を経て、イサクはレホボテ(広い場所)の井戸を獲る。
・常に譲りながらも祝福を受けるイサクに神の力を見て、土地の王はイサクに和解を申し出る。
―創世記26:28-29「我々は主があなたと共におられるのを、はっきり見ましたので、いま我々の間、すなわち我々とあなたとの間に一つの誓いを立てて、あなたと契約を結ぼうと思います。・・・まことにあなたは主に祝福されたかたです」。
・これが神に従う者の生き方であろう。この世の利益を求めないものには逆に与えられる。
―?列王3:10-13「あなたは自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、見よ、私はあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。私はまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。」
・イサクは少年の時は、自分を焼く薪を負って父の後に従った。長じては人と争わず、無抵抗を貫いた。そのイサクの姿に異邦人は神の力を見た。自分の弱さを知る者こそ強いのである。
―?コリント12:7-10「高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。・・・主が言われた、『わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる』」
3.寄留者イサク
・イサクは父アブラハムの信仰を継承し、自分が寄留者であることを忘れなかった。
―ヘブル11:9「(アブラハムは)信仰によって、他国にいるようにして約束の地に宿り、同じ約束を継ぐイサク、ヤコブと共に、幕屋に住んだ。」
・信仰者は、この世には永遠の住まいをもたない寄留者であり、天の目的地に達するまで、旅人の生活を送る。
―ヘブル11:13-14「これらの人はみな、信仰をいだいて死んだ。まだ約束のものは受けていなかったが、はるかにそれを望み見て喜び、そして、地上では旅人であり寄留者であることを、自ら言いあらわした。そう言いあらわすことによって、彼らがふるさとを求めていることを示している。」
・イサクの生涯はキリスト者の模範となるべき生涯であったと言い得るのではないか。
―ヘブル12:14「すべての人との平和を、また聖なる生活を追い求めなさい。聖なる生活を抜きにして、だれも主を見ることはできません。」