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日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2016年10月10日墓前礼拝説教(創世記25:7-10、葬るための土地)

投稿日:2016年10月10日 更新日:

2016年10月10日墓前礼拝説教(創世記25:7-10、葬るための土地)

 

・アブラハムはあなたに約束の地を与えるとの神の招きを受けて、故郷メソポタミヤを離れ、カナンの地に向かった。創世記は記す「『あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、私が示す地に行きなさい。私はあなたを大いなる国民にし、あなたを祝福し、あなたの名を高める。祝福の源となるように。あなたを祝福する人を私は祝福し、あなたを呪う者を私は呪う。地上の氏族はすべてあなたによって祝福に入る。』アブラムは、主の言葉に従って旅立った。」(創世記12:1-4)。

・こうしてアブラハムと妻サラはカナン地方に行き、その地で、先に妻サラが年老いて死に、アブラハムは彼女のために墓地を購入した「アブラハムはエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。こうして、マムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった」(創世記23:16-18)。

・やがてアブラハムも年老いて死に、彼の遺骸は妻サラが眠るマクペラの洞穴に葬られた。それが今日の聖書個所、創世記25:7-10である「アブラハムの生涯は百七十五年であった。アブラハムは長寿を全うして息を引き取り、満ち足りて死に、先祖の列に加えられた。息子イサクとイシュマエルは、マクペラの洞穴に彼を葬った。その洞穴はマムレの前の、ヘト人ツォハルの子エフロンの畑の中にあったが、その畑は、アブラハムがヘトの人々から買い取ったものである。そこに、アブラハムは妻サラと共に葬られた」。

・これが約束の地でアブラハムに与えられた最初の、そして唯一の土地であった。アブラハムは地上では寄留民であることを表明したが、この地上に死者のための墓地を購入した。アブラハム(25:10)もイサク(35:28)もヤコブ(49:29)もこの墓地に埋葬された。アブラハムは満足して死んだと思われる。人はこの世では寄留者であり、自分を葬るための一片の土地があれば、それで十分だからである。

・旧約の人々は復活を知らない。彼らにとって死者の存在の唯一のしるしは遺骨である。自分の遺骨がどこに葬られるかは、重要な問題であった。だからアブラハムは価格交渉をせずに相手の言い分を飲み、土地を買った。やがて子イサク(35:28)も孫ヤコブ(49:29)も死に、この墓地に埋葬された。アブラハムのひ孫ヨセフも、エジプトに住んでいたにも関わらず、臨終に際して「自分の遺骨を約束の地、父祖の墓に葬る」ように命じて死ぬ。それから300年後、モーセはエジプトを出る時にヨセフの骨を携え、ヨセフの骨を先祖代々の墓に葬った(出エジプト記13:19)。

・トルストイは「人にはどれほどの土地がいるのか」という民話を書いた。少しでも広い土地を獲得しようとして、死にものぐるいの努力を続けて倒れた男が必要としたのは、その遺骸を葬るための身体の大きさの墓穴にすぎなかったという作品である。詩編は人間と土地について語る「人が見ることは、知恵ある者も死に、無知な者、愚かな者と共に滅び、財宝を他人に遺さねばならないということ。自分の名を付けた地所を持っていても、その土の底だけが彼らのとこしえの家、代々に、彼らが住まう所。人間は栄華のうちにとどまることはできない。屠られる獣に等しい」(詩編49:11-13)。

・最後にヘブル11:8-13を読む「信仰によって、アブラハムは、自分が財産として受け継ぐことになる土地に出て行くように召し出されると、これに服従し、行き先も知らずに出発したのです。信仰によって、アブラハムは他国に宿るようにして約束の地に住み、同じ約束されたものを共に受け継ぐ者であるイサク、ヤコブと一緒に幕屋に住みました・・・この人たちは皆、信仰を抱いて死にました。約束されたものを手に入れませんでしたが、はるかにそれを見て喜びの声をあげ、自分たちが地上ではよそ者であり、仮住まいの者であることを公に言い表したのです」。今日私たちは古川郁子姉の遺骨をこの墓地に葬るが、やがて私たちが死んだ時、私たちの遺骨もこの地に葬られるでしょう。こうして生前の交わりが死後も続くとの希望を私たちは持つ。

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