江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2009年8月29日チャペルコンサート説教(ヨハネ黙示録21:3-4、音楽に現された聖書の言葉)

投稿日:2009年8月29日 更新日:

1.I Still Haven't Found What I'm Looking For

・今日、私たちはチャペルコンサートを開き、14曲が演奏されます。クラシックもあり、オリジナルもあり、また有名なポピュラー音楽もあります。その中で二つの曲に注目して「音楽に現された聖書の言葉」を考えて見ます。最初の曲は、アイルランドのロックグループU2の歌う「I still haven't found what I'm looking for」(邦題:終わりなき旅)です。
・この曲は1987年のアルバム「ヨシュア・トゥリー」の一曲で、Bono( 1960年5月10日生まれ)の作詞作曲です。ボノは平和活動家として知られており、ロックスターとしての知名度や話題性を活用し、世界各国の首脳や財界人にアプローチして、途上国、特にアフリカの飢餓や貧困に対する救済活動をしています。その活動が評価され、何度もノーベル平和賞候補になっています。2005年末、TIME誌が選ぶ「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に、「善きサマリア人」(ルカ10章にある、傷ついた旅人を助ける物語)としてゲイツ夫妻と共に選ばれました。
・この歌はルーサー・キング牧師にささげられたゴスペルです。キングは1968年4月4日にテネシー州メンフィスで暗殺されますが、その前日に次のような説教をしています「一体これから何が起ころうとしているのか、私には分からない。ともかく、私たちの前途が多難であることは事実である。しかしそんなことは、今の私には問題ではない。なぜなら、私はすでに山の頂に登ってきたからである」。ボノが「I have climbed highest mountains.  I have run through the fields. Only to be with you. Only to be with you」と歌う時、困難な人生(荒野)を旅し、最後には暗殺されて(山に登って)死んだキングの姿を想定しています。U2の出身はアイルランドで、同国は長い間、イギリスの植民地支配に苦しめられ、今でも北アイルランドはイギリス領で、殺し合いの紛争を繰り返していました。ボノはキング牧師の活動に、アイルランドの歴史をダブらせています。
・またキングは1963年ワシントン大行進で「私には夢がある」と言う説教をしましたが、その一節で次のように語ります「私は同胞達に伝えたい。今日の、そして明日の困難に直面してはいても、私にはなお夢がある。将来、この国が立ち上がり、『すべての人間は平等である』というこの国の信条を真実にする日が来るという夢が。私には夢がある。ジョージアの赤色の丘の上で、かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が同胞として同じテーブルにつく日が来るという夢が。私には夢がある。・・・将来いつか、幼い黒人の子ども達が幼い白人の子ども達と手に手を取って兄弟姉妹となり得る日が来る夢が。」。ボノが「I believe in the Kingdom Come. Then all the colours will bleed into one. Bleed into one. But yes I'm still running. I Still Haven't Found What I'm Looking For」と歌う時、この説教を念頭に置いているのでしょう。
・キングが死んだ40年前、キングの夢は果たされないままで、黒人は差別された存在でした。しかし、ボノは歌います「You broke the bonds and you Loosed the chains. Carried the cross of my shame. Oh my shame. You know I believed it」。あなたの働きは決して無駄ではない。あなたが十字架を背負ったように、僕もあなたの後に従って、人々を束縛から解放する働きをしたい。何故ならば「神の国は来るのだから」。キングの死から40年、アメリカは黒人大統領であるバラク・オバマが誕生しました。
・バラク・オバマは2009年1月の大統領就任式祝賀コンサートにU2を招待しました。そしてかつてキング牧師が「I Have a Dream」の演説を行ったリンカーン記念館で、U2はキング牧師を記念する「プライド」と「シティ・オブ・ブラインディング・ライツ」を演奏しています。ある人は「キングの贖罪死がオバマを生んだ」と考えます。ここに神の経綸を私たちは見ます。

2.Bridge over troubled water

・二曲目はポール・サイモンが作った「明日に架ける橋」です。1970年に発表され、これまで千万枚の販売を記録しているこの曲は、ベトナム戦争と公民権運動による混迷の中にあったアメリカを糾弾するメッセージソングとして爆発的なヒットを呼びました。もともとこの曲はゴスペルにヒントを得て作られましたが、その後多くの歌手によってカバーされました。中でも黒人ゴスペルシンガー・アレサ・フランクリンのカバーは、人種隔離政策が続いていた70年代後半の南アフリカで独自の発展を遂げます。南アの黒人たちは、「僕が体を横たえるから、荒れた海にかかる橋のように……」という歌詞に共感し、教会の賛美歌として口ずさむようになります。その後、作曲者のポール・サイモンは南アに渡ってコンサートを開き、展開する反アパルトヘイト運動の力となりました。その後、2001.9.11アメリカで同時多発テロで大勢の人が死んだ時、ポール・サイモンは犠牲者追悼集会でこの歌を歌い、それが引き金となり、再び全米で大ヒットとなり、戦争や人種差別への抗議の象徴となり、教会での“賛美歌”にまでなっていきます。
・「明日に架ける橋」、原語ではBridge over troubled water、明日に架ける橋ではなく、荒海に架ける橋の意味です。こういう歌詞です「あなたが疲れてどうしようも無くなった時、涙があふれて止まらない時、私がその涙をぬぐおう。私はあなたの側にいる。つらい時、友があなたを見捨てて誰もいなくなった時、私は自分の身を投げて、この荒海の上に橋を架けよう」。それはヨハネが新約聖書・黙示録に預言した言葉です。ヨハネは来るべき神の国の有様を次のように描きます「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである」。キリストが全ての人の贖いとして自分の身を投げて下さった、神の側から私たちの方に橋を架けて下さった。だから私たちもこの荒海に、怒りと悲しみが分断してしまったこの海に橋を架ける、そういう歌です。この歌は讃美歌なのです。
・人は自分を殺そうとする者のために祈ることは出来ません。しかし、教会は出来ます。何故ならば、キリストが私たちのために死んで下さった、そのことによって現在を生きていることを知るからです。生かされていることを知る者は使命を持ちます。分断された荒まく海に、身を投げて橋を架けることです。キリストが神と私たちの間の仲介者になってくださったから、私たちも人と人との争いの仲介者になるのだとポール・サイモンは歌っています。
・讃美歌は教会で伝統的に歌われてきた旧い歌ばかりではなく、このように新しい歌も次々に生まれてきています。それは悪の世にあって、どこにも希望を見出せない時にも、「それでも神はおられる。そして私たちの苦しみの叫びを聞いてくださる」と歌う人たちがいるからです。そしてその信仰が社会を変えていきます。南アフリカのアパルトヘイトは終わり、アメリカも黒人大統領を生むに至りました。ボノが歌いましたように「I believe in the Kingdom Come」(神の国は来る)のです。私たちはこの言葉の中に希望を持ち続けています。

「 I still haven't found what I'm looking for 終わりなき旅」

I have climbed highest mountains, I have run through the fields
Only to be with you, only to be with you.
I have run, I have crawled, I have scaled these city walls,
These city walls, only to be with you.

But I still haven't found what I'm looking for,

I have kissed honey lips, felt the healing fingertips
It burned like fire, this burning desire.
I have spoke with the tongue of angels, I have held the hand of the devil
It was warm in the night, I was cold as a stone.

But I still haven't found what I'm looking for,

I believe in Kingdom Come, then all the colors will bleed into one,
Bleed into one, but yes I'm still running.
You broke the bonds and loosed the chains,
Carried the cross, of my shame, of my shame... you know I believe it.

But I still haven't found what I'm looking for

「 Bridge over troubled water(明日に架ける橋)」

When you're weary, feeling small,
When tears are in your eyes, i will dry them all;
I'm on your side. when times get rough
And friends just can't be found,
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.

When you're down and out,
When you're on the street,
When evening falls so hard
I will comfort you.
I'll take your part.
When darkness comes
And pains is all around,
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.

Sail on silvergirl,
Sail on by.
Your time has come to shine.
All your dreams are on their way.
See how they shine.
If you need a friend
I'm sailing right behind.
Like a bridge over troubled water
I will ease your mind.
Like a bridge over troubled water
I will ease your mind.

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