江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年4月29日祈祷会(第一ヨハネ2章、教会内の争いの中で)

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1.人を愛するものは兄弟を憎まない

 

・ヨハネの手紙の主題は、「教会分裂」である。ヨハネの教会では異なる福音を信じる人々が教会を分裂させて出て行き、残された人々は混乱の中にあった。昨日まで一緒に礼拝していた人々が、今日はいなくなった。教会内で争いが起こり、分裂していく出来事が現実に起こる。それはヨハネの教会で起こったし、私たちの教会でも起こり、近隣の教会でも起きている。このような事態に私たちはどう対処したらよいのだろうか。それを知るために私たちはヨハネの手紙を読む。

・人は悔い改めても罪を犯し続ける。そのような私たちをも主は弁護してくださるとヨハネは言う。

-第一ヨハネ2:1-2「私の子たちよ、これらのことを書くのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためです。たとえ罪を犯しても、御父のもとに弁護者、正しい方、イエス・キリストがおられます。この方こそ、私たちの罪、いや、私たちの罪ばかりでなく、全世界の罪を償う生贄です」。

・私たちの中には、罪を犯さざるをえない弱さがあり、キリストはそれを知っていてくださる。キリストは罪を犯し、悔い改めたペテロに教会の群れを託された。だから私たちはキリストに従い続ける。

-ヨハネ21:17「三度目にイエスは言われた。『ヨハネの子シモン、私を愛しているか。』ペトロは、イエスが三度目も、『私を愛しているか』と言われたので、悲しくなった。そして言った。『主よ、あなたは何もかもご存じです。私があなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。』イエスは言われた。『わたしの羊を飼いなさい』」。

・キリストに従うとは、キリストの戒めを守ることだ。

-第一ヨハネ2:3-6「私たちは、神の掟を守るなら、それによって、神を知っていることが分かります。「神を知っている」と言いながら、神の掟を守らない者は、偽り者で、その人の内には真理はありません。しかし、神の言葉を守るなら、まことにその人の内には神の愛が実現しています。これによって、私たちが神の内にいることが分かります。神の内にいつもいると言う人は、イエスが歩まれたように自らも歩まなければなりません」。

・キリストと共にいるとは、御言葉を聞き続けていくことだ。神への愛は、感情的な言語や神秘的な経験によってではなく、道徳的服従によって示される。

-詩篇119:105-108「あなたの御言葉は、私の道の光、私の歩みを照らす灯。私は誓ったことを果たします。あなたの正しい裁きを守ります。私は甚だしく卑しめられています。主よ、御言葉のとおり、命を得させてください。私の口が進んでささげる祈りを、主よ、どうか受け入れ、あなたの裁きを教えてください」。

・その戒めとは「愛し合いなさい」という戒めだ。愛するとは、自分の利益よりも相手の利益を求めていくことだ。

-ヨハネ13:34-35「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。私があなた方を愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなた方が私の弟子であることを、皆が知るようになる。」

・神を愛するものは兄弟を憎まない。信仰は私たちの生活そのものを変えていく。

-第一ヨハネ2:9-11「光の中にいると言いながら、兄弟を憎む者は、今もなお闇の中にいます。兄弟を愛する人は、いつも光の中におり、その人にはつまずきがありません。しかし、兄弟を憎む者は闇の中におり、闇の中を歩み、自分がどこへ行くかを知りません。闇がこの人の目を見えなくしたからです」。

 

2.教会から去っていく人々

 

・ヨハネの共同体では、自分たちの考えに固執する人々が、教会を混乱させ、出て行った。反キリストは教会の中から生まれる、異端思想の台頭の中で教会が分裂していくという悲しい現実がある。

-第一ヨハネ2:18-19「子供たちよ、終わりの時が来ています。反キリストが来ると、あなたがたがかねて聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。これによって、終わりの時が来ていると分かります。彼らは私たちから去って行きましたが、もともと仲間ではなかったのです。仲間なら、私たちの元に留まっていたでしょう。しかし去って行き、誰も私たちの仲間ではないことが明らかになりました」。

・教会の中に世の欲が入りこんでくる。肉の欲、目の欲、生活のおごりが信仰を曲げることが起こる。

-第一ヨハネ2:15-17「世も世にあるものも、愛してはいけません。世を愛する人がいれば、御父への愛はその人の内にありません。なぜなら、すべて世にあるもの、肉の欲、目の欲、生活のおごりは、御父から出ないで、世から出るからです。世も世にある欲も、過ぎ去って行きます。しかし、神の御心を行う人は永遠に生き続けます」。

・肉の欲、目の欲、生活のおごりとは、直接的には、人間の本源的な欲望を指す。多くの人は食欲を満たすために他人のものを盗んだり、性欲を満たすために他人の妻をほしがったり、権力欲や地位欲を満たすために競争相手を押しのけたり、財産欲を満たすために他人の財産や権利を侵害する。「自己中心主義」である。キリスト者はこのような自己中心主義の欲からは解放されている。しかし、教会の中でもっとも恐るべきものは、私たちの心の中にある欲、「人に喜ばれ、尊敬され、世の誉れを受けたい」という、社会的な欲であろう。それは「他人に馬鹿にされたり、非難されたり、仲間外れにされないようにしようとする心」を生む。「罪よりも恥」を気にし、「神よりも人にならおう」とする態度、「人間関係中心主義」である。ヨハネ教会では、一部の人たちが、「自分たちは正しい、それが受入れられなければここを出る」として教会を割って出て行った。神よりも人に関心が行く、この「人間関係中心主義」の欲が教会の交わりを壊し、教会を分裂させた。

・それに対してヨハネは語る「あなた方は迷わされることなく、キリストのうちにいなさい。キリストにいるとは教会に留まることだ」と。

-第一ヨハネ2:20-24「あなたがたは聖なる方から油を注がれているので、皆、真理を知っています・・・御父と御子を認めない者、これこそ反キリストです。御子を認めない者はだれも、御父に結ばれていません。御子を公に言い表す者は、御父にも結ばれています。初めから聞いていたことを、心にとどめなさい。初めから聞いていたことが、あなたがたの内にいつもあるならば、あなたがたも御子の内に、また御父の内にいつもいるでしょう」。

・教会の歴史は争いと分裂の歴史だ。それにもかかわらず、教会の頭は御子だ。教会は間違っても正しい道に帰りうる。だから教会に留まりなさい。教会を離れることは命を離れることなのだ。

-第一ヨハネ2:28-29「子たちよ、御子の内にいつもとどまりなさい。そうすれば、御子の現れるとき、確信を持つことができ、御子が来られるとき、御前で恥じ入るようなことがありません。あなたがたは、御子が正しい方だと知っているなら、義を行う者も皆、神から生まれていることが分かるはずです」。

 

3.教会に留まること

 

・ヨハネの手紙では、「留まる(メノウ)」という言葉が、11回も出てくる。教会分裂に動揺する信徒に、「あなた方は御子の内に、教会の内に留まりなさい」とヨハネは語る。「教えられた通り、御子の内に留まりなさい」(2:27)、「子たちよ、御子の内にいつも留まりなさい」(2:28)、「神の掟を守る人は、神の内にいつも留まりなさい、神もその人の内に留まってくださいます。神が私たちの内に留まってくださることは、神が与えてくださった"霊"によって分かります」(3:24)。「御子の内に留まりなさい、キリストの内に留まりなさい」という言葉こそが、ヨハネの手紙の中心的な使信である。

・教会に留まることを通して、私たちは「神を知る」。「知る」は、ギリシア語「ギノウスコ-」、「体験的に知る」。頭での神理解ではなく、体験的に神を知ることは人が神の言葉を実践することにより与えられる。三浦綾子「塩狩峠」の主人公・長野信夫は、牧師から「聖書の中にあるどの御言葉でもいいから、そこに書かれている命令を徹底して実行してみなさい」と言われ、「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」を実行する決意をしたが、そうしようと思えば思うほど、うまくいかない。ある時彼は、「善をなそうとしても出来ない」自分の心の中に、闇が、罪があることに気づき、「自分の罪のためにイエス・キリストが十字架にかかられたこと」を悟る。そのような体験を通して、人は「神を知る」。

-ローマ7:18-24「私は、自分の内には、つまり私の肉には、善が住んでいないことを知っています。善をなそうという意志はありますが、それを実行できないからです・・・私の五体にはもう一つの法則があって心の法則と戦い、私を、五体の内にある罪の法則のとりこにしているのが分かります。私はなんと惨めな人間なのでしょう。死に定められたこの体から、だれが私を救ってくれるでしょうか」。

・「キリストの愛に留まる」とは、「教会に留まる」ことだ。教会に留まって、毎主日にキリストの言葉を聞く。主日礼拝に参加するとは、読まれる聖書の言葉を通して、一週間の自分の生活を振り返り、神がどんなにこの一週間、私の行動に我慢され、それでも見捨てられずに、また礼拝に来ることを赦されたか、その恵みを思うことだ。こうして私たちは、キリストの弟子として成熟していき、ある時、イエスがそうされたように、人の足を洗う者に変えられていく。その約束がキリストから与えられている。

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