1.世の友となるな
・人は心の中に快楽を求める本能的欲望を持つ。そして、その欲望を、他者を押しのけてでも満たそうとする。それが人と人との争いを生んでいるのではないかとヤコブは指摘する。
―ヤコブ4:1-3「何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いが起こるのですか。あなたがた自身の内部で争い合う欲望が、その原因ではありませんか。あなたがたは、欲しても得られず、人を殺します。また、熱望しても手に入れることができず、争ったり戦ったりします。得られないのは、願い求めないからで、願い求めても、与えられないのは、自分の楽しみのために使おうと、間違った動機で願い求めるからです」。
・あなた方は主が必要なものは与えて下さることを知っている。しかし、必要以上のもの、自己の欲望を満たすものをあなた方は求める。あなた方は世の人々と同じものを求めている。どこに信仰があるのか。
―ヤコブ4:4「神に背いた者たち、世の友となることが、神の敵となることだとは知らないのか。世の友になりたいと願う人はだれでも、神の敵になるのです」。
・イエスの山上の説教を思い起こしなさい。イエスは貧しい者、泣く者こそ幸いだと言われた。何故だと思うか。
―ルカ6:20-25「貧しい人々は、幸いである、神の国はあなたがたのものである。今飢えている人々は、幸いである、あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる。・・・しかし、富んでいるあなたがたは、不幸である、あなたがたはもう慰めを受けている。今満腹している人々、あなたがたは、不幸である、あなたがたは飢えるようになる。今笑っている人々は、不幸である、あなたがたは悲しみ泣くようになる」。
・世の幸福はすべて自己のためであり、他者と競合して獲得する。世の幸福は他者の犠牲の上に立つ。イエスは、人は貧しさ、悲しさの中にいてこそ、神を求めるから幸いだと言われた。主を求めなさい。主は求める者を拒まれない。
―ヤコブ4:8-10「神に近づきなさい。そうすれば、神は近づいてくださいます。罪人たち、手を清めなさい。心の定まらない者たち、心を清めなさい。悲しみ、嘆き、泣きなさい。笑いを悲しみに変え、喜びを愁いに変えなさい。主の前にへりくだりなさい。そうすれば、主があなたがたを高めてくださいます」。
2.生きているのではなく、生かされていることを知りなさい
・兄弟の悪口を言ったり、兄弟を裁くことをやめなさい。もしあなたが人を裁くとしたら、あなたは自分が神になろうとしていることを知りなさい。裁かれる方は主のみなのだ。
―ヤコブ4:11-12「兄弟たち、悪口を言い合ってはなりません。兄弟の悪口を言ったり、自分の兄弟を裁いたりする者は、律法の悪口を言い、律法を裁くことになります。もし律法を裁くなら、律法の実践者ではなくて、裁き手です。律法を定め、裁きを行う方は、おひとりだけです。この方が、救うことも滅ぼすこともおできになるのです。隣人を裁くあなたは、いったい何者なのですか」。
・人は自分には寛容で他者には批判的だ。自分に厳しく他者には寛容であれ。イエスの言葉を思い起こしなさい。
―マタイ7:1-3「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる。あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか」。
・神に生かされていることを忘れ、自分の力に頼る人は愚かだ。明日の命もわからないのに、1年先の利益をあなたは求めるのか。
―ヤコブ4:13-14「よく聞きなさい。「今日か明日、これこれの町へ行って一年間滞在し、商売をして金もうけをしよう」と言う人たち、あなたがたには自分の命がどうなるか、明日のことは分からないのです。あなたがたは、わずかの間現れて、やがて消えて行く霧にすぎません」。
・あなたが富をいただいたとすれば、それを与えて下さったのは主だ。それを忘れたとき、あなたの富は消える。
―ルカ12:16-21「ある金持ちの畑が豊作だった。金持ちは『どうしよう。作物をしまっておく場所がない』と思い巡らしたが、やがて言った『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめと』。しかし神は『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこの通りだ。」
・自己を過信し、神を忘れることが無いように気をつけなさい。常に御心を求めなさい。
―ヤコブ4:15-17「むしろ、あなたがたは「主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」と言うべきです。ところが、実際は、誇り高ぶっています。そのような誇りはすべて、悪いことです。人がなすべき善を知りながら、それを行わないのは、その人にとって罪です」