江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2022年3月9日祈祷会(ルカ福音書1:39-80、マリアの賛歌とヨハネの誕生)

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1.マリア、エリサベトを訪ねる

 

・エルサレム神殿の祭司であったザカリアに、「老齢の妻エリサベトが懐妊して子が与えられる」との天使の告知があった。それから6ヶ月後、今度はナザレの少女マリアに天使が現れ、受胎告知が行われる。マリアは結婚前の女性だった。「結婚していない女性が子を産む」という驚くべき出来事の告知をルカは並行して描く。マリアはエリサベト懐妊を聞いて彼女を訪問する。

-ルカ1:39-40「そのころ、マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った。そして、ザカリアの家に入ってエリサベトに挨拶した」。

・エリサベトは自分の身に起こった不思議な出来事が、マリアにも起こったことを聞き、彼女を祝福する。

-ルカ1:41-45「マリアの挨拶をエリサベトが聞いた時、その胎内の子がおどった。エリサベトは聖霊に満たされて、声高らかに言った。『あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。私の主のお母さまが私の処に来てくださるとは、どういうわけでしょう。あなたの挨拶のお声を耳にした時、胎内の子は喜んでおどりました。』」

・このエリサベトのマリア祝福の記事が、後に有名な歌曲「アヴェ・マリア」の原詩となった。

-アヴェ・マリア「おめでとう、マリア、恩寵に満ちた方、主はあなたとともにおられる。女性のうちで祝福された方、そしてあなたのお腹の子、イエスも祝福されている。聖なるマリア、神の御母、罪人なる我らのために祈りたまえ。今も、我らの死の時も、アーメン」。

・「神にできないことはない」、エリサベトとマリアはこの言葉を受け入れて、今出会っている。その出会いの中で、エリサベトは叫ぶ「主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう」。この物語は私たちに大切なメッセージを与える。「子が与えられることは神の祝福の業である」。ユダヤ人は「子どもは父と母と神の霊から生まれる」と理解した。現代の私たちは、「子は与えられるものではなく、造るものだ」と考えている。「造る」、そこには神はいないから、造るのを中断=人工妊娠中絶もまた人間の自由となる。日本での妊娠中絶は年間20万件、100万人の懐妊のうち20万人は中絶という形で、生まれるべき命が闇から闇に葬り去られる。「子どもは父と母と神の霊から生まれる」ことの大事さを覚えたい。

 

2.マリアの賛歌

 

・エリサベトに祝福されたマリアは「マリアの賛歌」を歌う。「マグニフィカート」と呼ばれるマリアの賛歌は、今日でもカトリック教会で、主日ミサの典礼歌として歌い継がれている。

-ルカ1:46-48「そこで、マリアは言った。『私の魂は主をあがめ、私の霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも目を留めて下さったからです。今から後、いつの世の人も、私を幸いな者と言うでしょう。』」

・マリアの賛歌はサムエル記上2:1-10のハンナの歌を基底にした歌であり、旧約の伝承に立つ。ルカが創作したフィクションであろう。しかし、そこにはフィクションでしか表現できない真理がある。

-ルカ1:49-53「『力ある方が、私に偉大なことをなさいましたから。その御名は尊く、その憐れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ、飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます。その僕イスラエルを受け入れて、憐れみをお忘れになりません。』」

・マグニフィカートにある「権力のある、富んでいる者は、弱く貧しい者と場を入れ替わる」という運命の逆転こそ、「貧しい人々は幸いである」と語るルカの福音(良い知らせ)の真髄である。

-ルカ6:20-25「貧しい人々は、幸いである、神の国はあなたがたのものである。今飢えている人々は、幸いである、あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる・・・ しかし、富んでいるあなたがたは、不幸である、あなたがたはもう慰めを受けている。今満腹している人々、あなたがたは、不幸である、あなたがたは飢えるようになる。今笑っている人々は、不幸である、あなたがたは悲しみ泣くようになる」。

・エリサベトもマリアも信じがたい言葉を、「お言葉どおり、この身に成りますように」と受け入れ、そこから偉大な物語が始まった。「神がなされるのであれば、そこから出てくるすべての問題も神が解決してくださる」、という信仰がそこから生まれた。未婚で生まれる子も障害を持って生まれる子も神の祝福の中にあるという信仰だ。

 

3.洗礼者ヨハネの誕生

 

・エリサベトは生まれた子をヨハネと名付け、夫ザカリアも承認する。これは人々には驚きだった。通常は父親の名前を子につけるのに、二人はそうしなかった。

-ルカ1:57-63「さて、月が満ちて、エリサベトは男の子を産んだ。近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聞いて喜びあった。八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は父の名を取ってザカリアと名付けようとした。ところが、母は、『いいえ、名はヨハネとしなければなりません』と言った・・・父親に『この子に何という名をつけたいか』と手振りで尋ねた。父親は字を書く板を出させて、『この子の名はヨハネ』と書いたので、人々は皆驚いた。」

・やがてザカリアの舌がゆるみ、神を賛美し始めた。子の名前「ヨハネ」は、「主は恵み深い」である。子供の名は親の期待と祈りを表すものだが、ヨハネの名はすでに神の恩寵を表していた。

-ルカ1:64-66「すると、ザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。聞いた人々は皆これを心に留め、『いったい。この子はどんな人になるのだろうか』と言った。この子には主の力が及んでいたのである。」

・ザカリアはヨハネの誕生を祝って歌う。「ベネディクトス」と呼ばれる賛歌である。ザカリアは神が「救いの角」を用いてイスラエルを救うと預言した。この「救いの角」はヨハネではなく、イエスである。ザカリアはヨハネ賛歌ではなく、イエス賛歌を歌っている。

-ルカ1:67-70「父ザカリアは聖霊に満たされ、こう預言した。『ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、我らのために救いの角を、僕ダビデの家から起こされた。昔から聖なる預言者の口を通して語られた通りに。』」

・イスラエルは周囲を敵に囲まれた国で、敵からの解放は民族の悲願であった。

-ルカ1:71-75「それは、我らの敵、すべて我らを憎む者からの救い。主は我らの先祖を憐れみ、その聖なる契約を覚えていて下さる。これは我らの父アブラハムに立てられた誓い。こうして我らは、敵の手から救われ、恐れなく主に仕える、生涯、主の前に清く正しく。」

・ザカリアは、幼子ヨハネを「主に先だって行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを知らせる者」と預言した。「ヨハネではなくイエスこそメシアである」とのルカの宣言がここにある。

-ルカ1:76-80「『幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先だって行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを、知らせるからである・・・幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。」

・ヨハネが生まれた頃、人々は神に油注がれたメシア(救済者)が現れるのを待ち望んでいた。彼らはヨハネこそメシアではないかと期待したが、ヨハネは「自分はメシアを導くための先導者だ」と語った。

-ルカ3:15-17「民衆はメシアを待ち望んでいて、ヨハネについて、もしかしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた。そこで、ヨハネは皆に向かって言った。『私はあなたたちに水でバプテスマ(洗礼)を授けるが、私よりも優れた方が来られる。私はその方の靴のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちにバプテマ(洗礼)をお授けになる。そして手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。』」

・マリアとエリサベトが会った時、エリサベトの胎内の子が「喜んで躍った」とルカは記す。ルカは成人した後のイエスと洗礼者ヨハネの関係が、このマリアとエリサベトの会話の中に先取りされていると理解している。しかし、これは伝承であり、実際はイエスとヨハネは旧知の間柄ではなかったと思われる。

-ルカ7:18-19「ヨハネは弟子の中から二人を呼んで、主のもとに送り、こう言わせた『来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか』」。

・おそらくはヨハネ福音書の伝えるように、洗礼者ヨハネが神の国運動を始めた時、イエスはヨハネの許に行って洗礼を受け、そこからイエスの宣教活動が始まったのであろう。洗礼者ヨハネは「イエスを教育し、世に送り出す」ための役割を果たした。

-ヨハネ1:32-34「私はこの方を知らなかった。しかし、水で洗礼を授けるために私をお遣わしになった方が、“霊”が降って、ある人にとどまるのを見たら、その人が、聖霊によって洗礼を授ける人であると私に言われた。私はそれを見た。だから、この方こそ神の子であると証ししたのである。」

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