江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2021年9月1日祈祷会(マタイ17:14-27、悪霊につかれた子の癒しと二度目の受難予告)

投稿日:2021年8月31日 更新日:

 

 

1.悪霊に取りつかれた子を癒す

 

・マタイはイエスの山上での変貌を記した後、てんかんの子の癒しを物語る。

-マタイ17:14-16「一同が群衆のところに行くと、ある人がイエスに近寄りひざまずいて、言った。『主よ、息子を憐れんでください。てんかんでひどく苦しんでいます。度々火の中や、水の中に倒れるのです。お弟子たちのところに連れて来ましたが、治すことができませんでした。』」

・イエスは弟子たちの不信仰を嘆きながら、子供の病気を癒された。

-マタイ17:17-18「イエスはお答えになった。『なんと信仰のないよこしまな時代なのか。いつまで、私はあなたがたと共にいられようか。いつまで、あなたがたに我慢しなければならないのか。その子をここに、私のところに連れて来なさい。』そして、イエスがお叱りになると、悪霊は出て行き、そのとき子供は癒された」。

・古代では、病気は悪霊の仕業と考えられており、イエス自身もそうした考えを前提に癒しの業を行なわれた。この子供の病も、イエスの叱責により悪霊が退散し、癒された。弟子たちがイエスに問う「なぜ、私たちは悪霊を追い出せなかったのでしょうか」。それに対してイエスは「からし種一粒ほどの信仰があれば山も動く」と言われた。

-マタイ17:19-20「弟子たちはひそかにイエスのところに来て、『なぜ、私たちは悪霊を追い出せなかったのでしょうか』と言った。イエスは言われた。『信仰が薄いからだ。はっきり言っておく。もし、からし種一粒ほどの信仰があれば、この山に向かって、「ここから、あそこに移れ」と命じても、そのとおりになる。あなたがたにできないことは何もない。』」

・記事のオリジナルであるマルコ福音書では、イエスが父親に子を連れて来なさいと命じられた時に、父親はイエスに言う「お出来になるなら、私どもをお助けください」。

-マルコ9:20-22「人々は息子をイエスのところに連れて来た。霊は、イエスを見ると、すぐにその子を引きつけさせた。その子は地面に倒れ、転び回って泡を吹いた。イエスは父親に、『このようになったのは、いつごろからか』とお尋ねになった。父親は言った。『幼い時からです。霊は息子を殺そうとして、もう何度も火の中や水の中に投げ込みました。お出来になるなら、私どもを憐れんでお助けください。』」

・「お出来になるなら」、子供は幼い時からてんかんの発作に苦しんでおり、父親は子供の病気を救ってやりたいとして、多くの医者を尋ね歩いて来たが誰も治せなかった。今、一縷の望みを持ってイエスの弟子に依頼したが無駄であった。イエスでもだめだろう、父親はそう考えている。この父親は不信仰だが、当然の不信仰だ。父親はイエスが誰であるかをまだ知らない。父親に対してイエスは答えられる「『できれば』と言うか。信じる者には何でもできる」。

-マルコ9:23-24「イエスは言われた。「『できれば』と言うか。信じる者には何でもできる。その子の父親はすぐに叫んだ。「信じます。信仰のない私をお助けください。』」

・イエスは父親の信仰告白を聞いて、子供を癒された。私たちはイエスが神の子であり、癒し主であることを信じるが、どこかに疑念を持つ。私たちの信仰は「不信仰の信仰」であることを知る必要がある。

-E.シュバイツァー注解から「人はただ、自分の不信仰を知ることにおいてのみ、信仰という神の賜物を喜ぶことが出来る。自分の不信仰を認める、信仰のない私をお助けくださいという祈りこそ、私たちがなすべき祈りなのである」。

 

2.二度目の受難予告

 

・イエスはフィリポ・カイザリアを旅した時、弟子たちに自らの受難を予告している(16:21)。その後イエスはエルサレムへの途上で二度目の受難予告をされる。メシアが受難するわけはないと考えていた弟子たちにとって、イエスの受難予告は理解の限界を越えていた。

-マタイ17:22-23「一行がガリラヤに集まったとき、イエスは言われた。『人の子は人々の手に引き渡されようとしている。そして、殺されるが三日後に復活する。』弟子たちは非常に悲しんだ」。

・前回の告知ではペトロがイエスを諌めて叱責されたが、今回イエスから受難告知を受けた弟子たちは、「ただ悲しみに沈むだけであった」とマタイは記す。復活予告は後代の挿入であろう。「受難は受難のみでは終わらない」というのが、初代教会の経験した出来事であった。

-使徒2:23-24「このイエスを神は、お定めになった計画により、あらかじめご存じのうえで、あなたがたに引き渡されたのですが、あなたがたは律法を知らない者たちの手を借りて、十字架につけて殺してしまったのです。しかし、神はこのイエスを死の苦しみから解放して、復活させられました。イエスが死に支配されたままでおられるなどということは、ありえなかったからです」。

 

3.神殿税を納める

 

・マタイではその後に神殿税を納めるべきかどうかの物語が記される。マタイ独自の記事である。エルサレム神殿を維持管理するために、ユダヤの成人男子は毎年半シュケル(ヘブライ貨幣)の神殿税を支払う義務を有していた(出エジプト記30:13)。

-マタイ17:24「一行がカファルナウムに来たとき、神殿税を集める者たちがペトロのところに来て、『あなたたちの先生は神殿税を納めないのか』と言った」。

・納税額は一人銀半シェケル、2ドラクメ(デナリ)に当たり、当時の労働者二日分の賃金に相当した。徴収人の督促に対し弟子のペトロは「納めます」と即答するが、イエスは神殿のありかたに批判的であり、納める必要はないと思っておられた。

-マタイ17:25-26「ペトロは『納めます』と言った。そして家に入ると、イエスの方から言いだされた『シモン、あなたはどう思うか。地上の王は、税や貢ぎ物をだれから取り立てるのか。自分の子供たちからか、それともほかの人々からか』。ペトロが『ほかの人々からです』と答えると、イエスは言われた『では、子供たちは納めなくてよいわけだ』」。

・しかし、イエスは、「人々をつまずかせないため税を納めよ」と言われる。その納め方はペテロが釣りに行って魚を釣れば、その魚の口から必要なお金が得られるというものだった。「銀貨」の原語はスターテルであり、4ドラクメの価値がある。つまり、イエスとペテロの二人分の神殿税である。ここで言われているのは奇跡ではない。ペテロは漁師であり、魚を釣り、それを売って、収入を得、そのお金で神殿税を払う。そのことが象徴的に物語されたのがこの話であろう。

-マタイ17:27「湖に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が一枚見つかるはずだ。それを取って、私とあなたの分として納めなさい」

・イエスはエレサレム神殿に象徴される祭儀宗教に否定的で、神殿の崩壊さえも預言された(24:2)。それでもイエスは神殿税を納めよと言われた。これは当時のマタイの教会にとっては大きな示唆を与えた。マタイ福音書が書かれた紀元80年代、ユダヤ戦争の結果、神殿は破壊されており、神殿税はない。しかし当時のローマ皇帝は廃止された神殿税と同額のユダヤ税を帝国内のすべてのユダヤ人に納めるように布告しており、その税はローマにあるユピテル神殿に納税された。教会にとってこれは厄介な問題だった。異教のローマ神殿に何故納税しなければいけないのか、それは偶像礼拝ではないのかという議論が教会内に起こった。マタイはイエスの事例を参考に、私たちも「人々をつまずかせないために」、ユダヤ税を払っていこうとして、記事をここに挿入したと思われる。基本にあるのは「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」(マタイ22:21)と言われたイエスの言葉である。

・信仰の本質に関わる出来事(神のもの)と本質ではない出来事(皇帝のもの)を区別し、本質でない出来事については世に従いなさいとイエスは言われた。パウロもこれを受けて「貢を納めるべき人には貢を納め、税を納めるべき人には税を納めなさい」と教える。良き市民であることはキリスト者の基本である。

-ロ-マ13:1-7「人は皆、上に立つ権威に従うべきだす。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたからです・・・すべての人々に自分の義務を果たしなさい。貢を納めるべき人には貢を納め、税を納めるべき人には税を納め、恐るべき人は恐れ、敬うべき人は敬いなさい」。

・牧師の中には、町内会費のなかに地域の神社への維持献金が含まれているから町内会費は納めないと公言する人がいるが、聖書的ではない。また自分はキリスト者であるから、仏式の葬儀には参列しないし、焼香したりしないという人もいるが、それも柔軟性に欠ける信仰だと思える。私たちには、柔軟な、しなやかな信仰が必要だ。イエスはペテロに「湖で漁をすれば魚が取れ、その魚の口にはスタテラ銀貨が入っているからそれで税を納めなさい」と言われた。この個所を読んで、神は奇跡を起こされるからそれを待つというのは愚かであり、そんなことがあるわけはないと切り捨てるのは不信仰だ。そうではなく、私たちは、イエスから、「二日働けば神殿税を納めるお金を得ることができるとすれば、あなたの本来の職業である漁師として働き、魚を収穫し、それを売って必要なお金を獲得しなさい」と命じられている。足らなければ、働いて獲得すればよい。

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