江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年8月19日祈祷会(ヨハネ黙示録10~11章、最後の裁きの前に)

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1.巻物を食べよと命じられるヨハネ(10:1-11)

 

・ヨハネ10-11章は最後の審判が始まる前の幕間劇である。六つのラッパが吹かれ、災いが次々に示されても人々は悔い改めない。最後のラッパが吹かれる前に、人々の悔い改めを促すために、証人が立てられる。その証しが小さな巻物に示される。

-黙示録10:1-3「私はまた、もう一人の力強い天使が、雲を身にまとい、天から降って来るのを見た。頭には虹をいただき、顔は太陽のようで、足は火の柱のようであり、手には開いた小さな巻物を持っていた。そして、右足で海を、左足で地を踏まえて、獅子がほえるような大声で叫んだ。天使が叫んだ時、七つの雷がそれぞれの声で語った」。

・著者ヨハネは10章の記事をダニエル書12章から霊感を受けて記している(ダニエル12:1「その時、大天使長ミカエルが立つ。彼はお前の民の子らを守護する」)。その文脈の中では、「もう一人の力強い天使」とはイスラエルの守護天使ミカエルを指す。ミカエルはやがて天上でサタンと戦い、彼を地上に投げ落とす。

-黙示録12:7-9「天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた」。

・ヨハネは天使の言葉を書き留めようとしたが、「書き留めてはいけない」という天の声が響いた。

-黙示録10:4「七つの雷が語ったとき、私は書き留めようとした。すると、天から声があって『七つの雷が語ったことは秘めておけ。それを書き留めてはいけない』と言うのが聞こえた」。

・書き留めるのではなく、「食べよ」と命じられる。

-黙示録10:8-9「すると、天から聞こえたあの声が、再び私に語りかけて、こう言った『さあ行って、海と地の上に立っている天使の手にある、開かれた巻物を受け取れ』。そこで、天使のところへ行き『その小さな巻物をください』と言った。すると、天使は私に言った『受け取って、食べてしまえ。それは、あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い』」。

・エゼキエルも「御言葉を聞くのではなく、食べよ」と命じられた。黙示録10章はエゼキエルから霊感を受けている。

-エゼキエル3:1-3「彼は私に言われた。『人の子よ、目の前にあるものを食べなさい。この巻物を食べ、行ってイスラエルの家に語りなさい』。私が口を開くと、主はこの巻物を私に食べさせて、言われた『人の子よ、私が与えるこの巻物を胃袋に入れ、腹を満たせ』。私がそれを食べると、それは蜜のように口に甘かった」。

・御言葉を書き留める=聞く者から、巻物を食べる=語る者に変えられた時、御言葉は苦いものになる。傍観者から語る者に変えられた時、語る責任が与えられるからである。

-黙示録10:10-11「私は、その小さな巻物を天使の手から受け取って、食べてしまった。それは、口には蜜のように甘かったが、食べると、私の腹は苦くなった。すると、私にこう語りかける声が聞こえた『あなたは、多くの民族、国民、言葉の違う民、また、王たちについて、再び預言しなければならない』」。

・「古い世が破壊され、新しい世が生まれる」ためには、生みの苦しみが必要である。そのためには証人の殉教が求められて行く。その殉教者の数が満たされた時、神の平和が訪れる。

-黙示録10:5-7「海と地の上に立つのを私が見たあの天使が、右手を天に上げ、世々限りなく生きておられる方にかけて誓った。すなわち、天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方にかけてこう誓った『もはや時がない。第七の天使がラッパを吹くとき、神の秘められた計画が成就する。それは、神が御自分の僕である預言者たちに良い知らせとして告げられたとおりである』」。

 

2.証人の死と復活(11:1-14)

 

・ヨハネは神の神殿と祭壇を測るように言われた。地上の神殿は紀元70年にローマにより破壊されている。

-黙示録11:1-2「私は杖のような物差しを与えられて、こう告げられた『立って神の神殿と祭壇とを測り、また、そこで礼拝している者たちを数えよ。しかし、神殿の外の庭はそのままにしておけ。測ってはいけない。そこは異邦人に与えられたからである。彼らは、四十二か月の間、この聖なる都を踏みにじるであろう』」。

・42ヶ月=3年半、完全数7の半分である。ローマは紀元70年にエルサレムに侵略し、神の神殿を滅ぼした。「聖なる都は踏みにじられた」。しかし、苦難の時は完全数の半分であり、限られている。その廃墟の神殿に二人の証し人が送られる。彼らは3年半の間語り、殺される。

-黙示録11:3-7「私は、自分の二人の証人に粗布をまとわせ、千二百六十日の間、預言させよう・・・彼らには、預言をしている間ずっと雨が降らないように天を閉じる力がある。また、水を血に変える力があって、望みのままに何度でも、あらゆる災いを地に及ぼすことができる。二人がその証しを終えると、一匹の獣が、底なしの淵から上って来て彼らと戦って勝ち、二人を殺してしまう」。

・この二人は誰を示すのであろうか。モーセとエリヤなのか、あるいは紀元64年にローマで殉教したペテロとパウロであろうか。わからない。彼らの遺体は3日半の間放置された。彼らの主イエスの遺体が3日半の間、放置されたように、である。

-黙示録11:8-10「彼らの死体は、たとえてソドムとかエジプトとか呼ばれる大きな都の大通りに取り残される。この二人の証人の主(キリスト)も、その都で十字架につけられたのである。さまざまの民族、種族、言葉の違う民、国民に属する人々は、三日半の間、彼らの死体を眺め、それを墓に葬ることは許さないであろう。地上の人々は、彼らのことで大いに喜び、贈り物をやり取りするであろう。この二人の預言者は、地上の人々を苦しめたからである」。

・しかしキリストがよみがえったように、彼らも復活し、昇天する。地上での闘いは敗北に終わっても、天上で闘いは継続し、やがて勝利する。

-黙示録11:11-13「三日半たって、命の息が神から出て、この二人に入った。彼らが立ち上がると、これを見た人々は大いに恐れた。二人は、天から大きな声があって『ここに上って来い』と言うのを聞いた。そして雲に乗って天に上った。彼らの敵もそれを見た。そのとき、大地震が起こり、都の十分の一が倒れ、この地震のために七千人が死に、残った人々は恐れを抱いて天の神の栄光をたたえた」。

 

3.黙示録時の弾圧とドイツ教会闘争時の弾圧

 

・今日の教会での証しは、「主が私に何をして下さったか、その恵みと感謝を語る」。個人の証しである。しかし初代教会(黙示録時)の証しは、「異教徒の法廷に立ち、死を恐れずにキリストを救い主として告白する」ことであった。歴史的に、キリスト教で使われてきた「殉教」(ギリシャ語:Martyria)の語は「証人」という言葉に由来している。証言することは死を意味した。

・同じ状況がナチス時代のドイツに起こった。その時代、教会の多くはヒットラーに従った。しかし一部の人たちはヒットラーを批判し、告白教会を形成して抵抗した。告白教会は弾圧され、カール・バルトは国外追放され、ニーメラーは捕らえられ、ボンヘッファーは殺された。教会は権力者の前に倒される。

・ドイツの教会闘争は次のように進展した。

「1933年9月、プロイセン合同福音主義教会は公務員からユダヤ人を追放するアーリア条項を教会にも適用することを決定し、ユダヤ系牧師は追放された。これに反発したディートリヒ・ボンヘッファー、マルティン・ニーメラーらは牧師緊急同盟を結成し、ナチスに対する反対運動を開始した。この時にはドイツの福音主義教会牧師の約3分の1が加入した。彼らは1934年5月29日-31日、バルメンで第1回告白教会総会を開き、カール・バルトらが中心になって起草されたバルメン宣言が採択された。しかし穏健派の諸教会は1936年以降に告白教会を脱退し、以降ナチスの政策に従うドイツ的キリスト者の運動が優勢となり、1937年にはマルティン・ニーメラーが強制収容所に収容された。戦後のドイツ教会は、戦争責任の告白から再出発した。1945年、教会はニーメラーを中心に「シュトウットガルト罪責告白」を行い、戦後の教会再建に取り組んだ」。

・しかし、教会は死なない。戦後の焼け野原の中から、告白教会が中心になってドイツ教会の再建が為された。彼らの信仰告白がシュトゥットガルト罪責宣言(1945年)に見られる。

「ドイツ福音主義教会は、シュツットガルトにおいて1945年10月18-19の両日開催された会議に際し、世界教会協議会の代表に対して、挨拶を送る・・・われわれは、国家社会主義の暴力的支配の中にその恐るべき姿をあらわした霊に抗して、長い年月の間、イエス・キリストの御名において戦って来た。しかしわれわれは“さらに勇敢に告白しなかったこと、さらに忠実に祈らなかったこと、さらに喜びをもって信じなかったこと、そしてさらに熱烈に愛さなかった”ことを、自らに向かって責めるものである。今こそわれわれの教会の中に、新しい始まりが起こされねばならない」。

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