江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年5月20日祈祷会(第一ヨハネ5章、兄弟を愛し、彼のために祈れ)

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1.イエスをキリストと告白できない人々

 

・ヨハネの教会では、グノーシスと呼ばれる、異なる信仰を持つ人々が、教会を割って出て行った。彼らはナザレのイエスが「救い主キリスト」であることを認めなかった。彼らは言う「イエスがバプテスマを受けた時に神の霊が降り、イエスはキリストとなられた」。彼らはイエスの受肉を否定し、神の霊がバプテスマの時に一時的にイエスに宿ったと考え、またキリストの受難も否定し、「イエスが十字架にかけられた時に、神の霊はイエスから出て行った」と主張する。だからヨハネは語る。

-第一ヨハネ5:1「イエスがメシア(キリスト)であると信じる人は皆、神から生まれた者です。そして、生んでくださった方を愛する人は皆、その方から生まれた者をも愛します」。

・信仰によって新しく生まれた者は、生んでくれた神を愛し、その同じ神から生まれた教会の人々と、兄弟姉妹の関係になる。

―第一ヨハネ5:2「このことから明らかなように、私たちが神を愛し、その掟を守るときはいつも、神の子供たちを愛します」。

・「神を愛するとは、神の掟を守ることだ。神の掟は難しいものではない」とヨハネは語る。

-第一ヨハネ5:3「神を愛するとは、神の掟を守ることです。神の掟は難しいものではありません」。

・イエスは弟子たちに言われた「私があなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」(ヨハネ15:12)。神を愛する者は兄弟姉妹を愛する、その神の掟を守ることは難しくないとヨハネは語る。しかし、そのヨハネでさえ、教会を出て行った人々を嫌っていることを告白する。私たちの愛は限界を持つ。

-第一ヨハネ2:18-19「反キリストが来ると、あなたがたがかねて聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています・・・彼らは私たちから去って行きましたが、もともと仲間ではなかったのです。仲間なら、私たちの元に留まっていたでしょう。しかし去って行き、誰も私たちの仲間ではないことが明らかになりました」。

・イエスは「敵を愛せ」と言われたが、私たちは自分を非難する人や、自分に対して悪を行う人を赦すことは出来ないし、ましてや愛することは出来ない。それなのに何故、ヨハネは「兄弟姉妹と愛し合うことは難しくない」と言うのだろうか。それは「敵をも愛する愛(アガペー)」は信仰から来るからだ。本来の私たちは敵を愛することは出来ないが、信仰はそれを可能にする。

-第一ヨハネ5:4-5「神から生まれた人は皆、世に打ち勝つからです。世に打ち勝つ勝利、それは私たちの信仰です。だれが世に打ち勝つか。イエスが神の子であると信じる者ではありませんか」。

 

2.兄弟のために祈れ

 

・私たちはイエスを信じる信仰によって世に勝つことが出来る。なぜならイエスから力を与えられたからであり、その力は十字架の死によって贖い取られたとヨハネは強調する。

-第一ヨハネ5:6a「この方は、水と血を通って来られた方、イエス・キリストです。水だけではなく、水と血とによって来られたのです」。

・グノーシスの人々は、「神の霊はイエスが十字架につけられる直前にイエスを離れ、十字架で苦しんだのはキリストではなく、人間イエスだった」と主張していた。そのためにヨハネはイエスの血を強調する。

-第一ヨハネ5:6b-8「霊はこのことを証しする方です。霊は真理だからです。証しするのは三者で、霊と水と血です。この三者は一致しています」。

・ヨハネは「御子を愛する者は、御子を通して永遠の命を与えられる」と語る。

-第一ヨハネ5:10-12「神の子を信じる人は、自分の内にこの証しがあり、神を信じない人は、神が御子についてなさった証しを信じていないため、神を偽り者にしてしまっています。その証しとは、神が永遠の命を私たちに与えられたこと、そして、この命が御子の内にあるということです。御子と結ばれている人にはこの命があり、神の子と結ばれていない人にはこの命がありません」。

・「永遠の命」とは、死んで天国に行くことではなく、今ここで「神により生かされる命」を指す。神には平和がある故に、私たちも平和が与えられる。神には力があるゆえに、私たちにも世に勝つ力が与えられる。神は聖なる方であるゆえに、私たちの罪も赦されて聖なる者になることができる。神は愛ゆえに、私たちも兄弟を愛することができる。御子を信じることによって、「世に打ち勝つ信仰」が与えられる。そして世に勝つ信仰を与えられた者は、「すべてが神の摂理に中にある」ことを信じることができる。

-第一ヨハネ5:13-15「神の子の名を信じているあなたがたに、これらのことを書き送るのは、永遠の命を得ていることを悟らせたいからです。何事でも神の御心に適うことを私たちが願うなら、神は聞き入れてくださる。これが神に対する私たちの確信です。私たちは、願い事は何でも聞き入れてくださるということが分かるなら、神に願ったことは既にかなえられていることも分かります」。

・出て行った人々のうち、悔い改める人(死に至らない罪を犯している者)は赦しなさいと語る。

しかし、「自分の罪を認めない人には救いはない」とも語る。

-第一ヨハネ5:16-17「死に至らない罪を犯している兄弟を見たら、その人のために神に願いなさい。そうすれば、神はその人に命をお与えになります。これは、死に至らない罪を犯している人々の場合です。死に至る罪があります。これについては、神に願うようにとは言いません。不義はすべて罪です」。

・パウロは罪を犯しても悔い改めない人は教会から除名せよという。除名という強硬手段を通して、彼に悔い改めの機会を与えるためだ。教会内のパン種は放置してはいけない、それは他のものをも腐らせる。

-第一コリント5:1-6「こんなことをする者を自分たちの間から除外すべきではなかったのですか。・・・それは主の日に彼の霊が救われるためです・・・わずかなパン種が練り粉全体を膨らませることを、知らないのですか」。

・人は悔い改めても罪を犯し続ける。「罪を認め続け、悔い改め続けていく」のがキリスト者の生き方だ。

-第一ヨハネ1:9「自分の罪を公に言い表すなら、神は真実で正しい方ですから、罪を赦し、あらゆる不義から私たちを清めてくださいます」。

・ヨハネにとって、世(コスモス)は、神に背き、神に敵対する闇と死の領域である。その闇の支配から救い出されて、光と命の領域に移ることが救いだ。ヨハネは、「世から救い出される」ことを、より積極的に「世に打ち勝つ」と表現する。

-第一ヨハネ5:18-20「私たちは知っています。すべて神から生まれた者は罪を犯しません。神からお生まれになった方が、その人を守ってくださり、悪い者は手を触れることができません。私たちは知っています。私たちは神に属する者ですが、この世全体が悪い者の支配下にあるのです。私たちは知っています。神の子が来て、真実な方を知る力を与えてくださいました。私たちは真実な方の内に、その御子イエス・キリストの内にいるのです。この方こそ、真実の神、永遠の命です」。

 

3.ヨハネの手紙を読んで

 

・ヨハネ第一の手紙の主題は教会分裂だ。ヨハネ教会では分裂騒ぎが起こり、一部の人々が教会を去って行った。教会が設立されて2000年、地上の教会は分裂を続けている。多くの宗派が立てられ、異なる福音を伝えている。神によって建てられたはずの教会になぜ分裂が起こるのだろうか。同じキリストを信じるバプテスマを受け、共に主の晩餐をいただいていた兄弟姉妹の間で、何故対立が起きるのだろうか。ヨハネの手紙は、教会分裂を考えるための素材を豊かに提供する。

・教会から出て行った人々は、イエスが肉的な弱さゆえに十字架で絶叫された故に、イエスを神の子と認めない。しかし、この弱さがイエスを神の子とするのだ。

-ヘブル5:7「キリストは、肉において生きておられた時、激しい叫び声をあげ、涙を流しながら、御自分を死から救う力のある方に、祈りと願いとをささげ、その畏れ敬う態度のゆえに聞き入れられました」。

・ユルゲン・モルトマンは説教集「無力の力強さ」 の中で、イエスの十字架死の意味を語る。

-モルトマン・無力の力強さより「キリスト教信仰の中心にはキリストの受難史が立っている。この受難の中心には、神に見捨てられ、神に呪われたキリストの神経験が立っている。私にとってはこれこそ真の希望の始まりである。人間が希望を失う所、無力になってもはや何一つすることができなくなる所、そこでこそ、試練にあい、一人見捨てられたキリストは、そういう人々を待っておられ、ご自身の情熱に預からせて下さる。自分から苦しんだことのある者のみ、苦しんでいる人を助けることができるのである」。

・私たちの信仰の原点は、「イエスが私たちのために死んでくださった」ことに対する感謝である。ヨハネの教会では分裂騒ぎがあったが、それは人間の罪の故であった。しかしその騒ぎがあったために、ヨハネの手紙が書かれ、後世の教会はそれを読むことができた。ここに偉大な摂理がある。ヨハネの教会を分裂させたものは人の罪だが、その罪が「ヨハネの手紙」という善に(福音に)変えられた。現代の教会の分裂騒動も、経済的な行き詰まりや人間的確執により生じるが、その出来事を通して私たちはヨハネの手紙を読むように導かれ、信仰の原点を再確認することが出来る。教会分裂の悲しみを通して、「神は人の悪(罪)を善に変える力をお持ち」であることをわからせていただくのではないか。

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