江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年6月17日祈祷会(ヨハネ黙示録1章、ヨハネが見た幻)

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1.流刑地にいたヨハネに幻が示される

 

・紀元70年、ユダヤはローマとの戦いに敗れ、エルサレムは廃墟となり、住民は難民となって地中海地方に逃れて行った。紀元90年頃にはエペソを中心とする小アジアがキリスト教信仰の中心地になっていく。当時のローマ皇帝ドミティアヌスは、人々に皇帝礼拝を求め、教会は「皇帝は神ではない」として拒否し、その結果、キリスト教徒たちは非国民、不敬者として捕らえられ、殺されていった。なぜイエスを神の子と信じるゆえに殺されなければならないのか、信徒たちは神の救済を求めた。その信徒たちに対する慰めとして書かれた手紙がヨハネ黙示録であり、紀元95年ごろに書かれた。

・黙示録の著者ヨハネは皇帝礼拝を拒否したため、地中海にあるパトモス島に流刑になっている。その流刑地のヨハネにキリストからの幻が示された。

-ヨハネ黙示録1:9-10「私は、あなた方の兄弟であり、共にイエスと結ばれて、その苦難、支配、忍耐にあずかっているヨハネである。私は、神の言葉とイエスの証しの故に、パトモスと呼ばれる島にいた。ある主の日のこと、私は“霊”に満たされていたが、後ろの方でラッパのように響く大声を聞いた」。

・黙示文学は迫害の中で書かれる。黙示(アポクリファー)とは、隠されたものが明らかになることである。見える現実に何の希望もない時、人は神の救済を待望し、その救済が天上の出来事として示される。

-ヨハネ黙示録1:1「イエス・キリストの黙示。この黙示は、すぐにも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストにお与えになり、そして、キリストがその天使を送って僕ヨハネにお伝えになったものである」。

・ヨハネは黙示を通して、ローマ皇帝が世を支配しているのではなく、神が支配しておられることを証ししていく。

-ヨハネ黙示録1:2-3「ヨハネは、神の言葉とイエス・キリストの証し、すなわち、自分の見たすべてのことを証しした。この預言の言葉を朗読する人と、これを聞いて、中に記されたことを守る人たちとは幸いである。時が迫っているからである」。

・ヨハネは「迫害に悩むアジア州の信徒たちに手紙を書け」と命じられる。当時のヨハネ共同体を形成していた諸集会の群れである。

-ヨハネ黙示録1:4-7「ヨハネからアジア州にある七つの教会へ。今おられ、かつておられ、やがて来られる方から、また、玉座の前におられる七つの霊から、更に、証人、誠実な方、死者の中から最初に復活した方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストから恵みと平和があなたがたにあるように。私たちを愛し、御自分の血によって罪から解放してくださった方に、私たちを王とし、御自身の父である神に仕える祭司としてくださった方に、栄光と力が世々限りなくありますように、アーメン」。

・ヨハネが見た幻は、キリストがやがて救済者として来られるというものだった。

-ヨハネ黙示録1:8-11「見よ、その方が雲に乗って来られる。すべての人の目が彼を仰ぎ見る、ことに、彼を突き刺した者どもは。地上の諸民族は皆、彼のために嘆き悲しむ。然り、アーメン。神である主、今おられ、かつておられ、やがて来られる方、全能者がこう言われる。『私はアルファであり、オメガである。』その声はこう言った『あなたの見ていることを巻物に書いて、エフェソ、スミルナ、ペルガモン、ティアティラ、サルディス、フィラデルフィア、ラオディキアの七つの教会に送れ』」。

・ヨハネは自分の見たキリストの幻を諸教会に伝える。

-ヨハネ黙示録1:12-16「私は、語りかける声の主を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見え、燭台の中央には、人の子のような方がおり、足まで届く衣を着て、胸には金の帯を締めておられた。その頭、その髪の毛は、白い羊毛に似て、雪のように白く、目はまるで燃え盛る炎、足は炉で精錬されたしんちゅうのように輝き、声は大水のとどろきのようであった。右の手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出て、顔は強く照り輝く太陽のようであった」。

・聖なる姿に接して気を失ったヨハネに、キリストは右手を置いていやし、言葉を語られる。

-ヨハネ黙示録1:17-20「恐れるな。私は最初の者にして最後の者、また生きている者である。一度は死んだが、見よ、世々限りなく生きて、死と陰府の鍵を持っている。さあ、見たことを、今あることを、今後起ころうとしていることを書き留めよ。あなたは、私の右の手に七つの星と、七つの金の燭台とを見たが、それらの秘められた意味はこうだ。七つの星は七つの教会の天使たち、七つの燭台は七つの教会である」。

 

2.ヨハネ黙示録とはどのような書か

 

・具体的な黙示は4章以降に語られていく。ヨハネは天に引き上げられ、神が玉座に座っておられるのを見た。神の手元には計画を記した巻物があり、キリストがその封印を解いていくと、不思議な出来事が起こる。最初の封印を解くと、白い馬に乗った騎士が現れる(6:1-2)。白馬はローマ帝国の宿敵パルテイアを意味し、ローマが外敵の侵入により困難に陥ることが預言される。次に赤い馬に乗った騎士が現れる(6:3-4)。赤は流血であり、ローマを襲う戦争や内乱を意味している。三番目に黒い馬に乗った騎士が現れます(6:5)。彼の登場と共に、穀物の値段が高騰していき、ローマが飢饉に襲われることを意味する。第四の封印が解かれると、青白い馬に乗った騎士が現れる(6:7-8)。彼はローマを襲う疫病を指す。

・ローマ帝国はこれから、外敵が侵入し、国内は内乱状態になり、飢饉に苦しめられ、疫病が蔓延して、やがて滅ぶという未来をヨハネは見せられた。今は勢威を振るい、暴虐の限りを尽くしていても、天では既にローマの支配を終わらせるための諸準備が為されていることをヨハネは示された。この黙示の背景にあるのは、当時の社会の混乱である。

-中村和夫著「ヨハネの黙示録注解」(新共同訳注解)から「既に、見せかけの繁栄とパクス・ロマナ(ローマの平和)の正体が暴露される予兆が現れていた。無敵だったローマ軍が、紀元62年、パルティア軍の騎兵隊に惨敗する。68年には、皇帝ネロが自殺し、政情の乱れと帝位簒奪が繰り返されていた。紀元70年、熾烈を極めたユダヤ戦争の結果、都エルサレムはローマ軍の手に落ち、永遠と覚えられたユダヤ神殿が戦火と共に崩壊するのもこの時代だ。さらに、79年、ヴェスヴィウス火山が大爆発を起こし、飽食の限りを尽したポンペイが一夜にして消滅し、ナポリ湾一帯の富が失われた。陽光は長い間暗雲にさえぎられ、暗黒が地をおおい、人々は飢餓に苦しめられるようになった」。

・地上では迫害の嵐が吹き荒れているが、天上では神を讃美する声がこだましている。人々のまとう白い衣はキリストの血で洗い清められている。集まった者たちは地上でそれぞれ苦難を背負い、天に召されたが、今は天上で休息を許されている。地上では彼らは飢え渇きに苦しみ、涙を流して来たが、ここではもう飢えも渇きも涙もない。ヨハネは地上の教会に書き送る「今あなたたちは迫害の中で、飢え渇き、涙を流している。しかし、天上ではそのような不義を裁くための軍勢が既に地上に派遣され、苦しみの末に天に召された民が主の前に集まり讃美している。殉教を恐れるな、彼らは肉の命を奪うことは出来るかも知れないが、私たちは永遠の命が神により与えられているのだ」と。ヨハネは民に「天を見よ」と勧める。

 

3.黙示録の背景を知る

 

・キリスト教は、自分たちの崇める神以外を認めない一神教である。これは古来の神々への崇拝を重視するローマ帝国の政策に反していたため、皇帝ネロ以来たびたびキリスト教は禁止された。五賢帝と呼ばれるハドリアヌスやトラヤヌスは、帝国の精神的一体性を強めるため古来の信仰の称揚を図り、キリスト教は抑圧され、流刑に処されるものが多く出た。さらに後期ローマ帝国において皇帝礼拝が強化されると、キリスト教徒への迫害が強まった。

・ヨハネは、この迫害の結果、パトモス島に流された。ローマ書においてパウロは国家権力の積極的意義を書いているが、黙示録においてはその国家権力がサタンの支配下に入る時、恐るべき獣と化すことが記されている。殉教(ギリシア語マルチュリア)は証人(ギリシア語マルチュール)に由来する。歴史的に、キリスト教で使われてきた「殉教」(ギリシャ語:Martyria)の語は「証人」という言葉に由来している。

・ローマ人は皇帝が神だと信じていたわけではなく、皇帝への服従を形式によって示すことを期待していた。ローマの知識人はキリスト教の教義そのものを敵視していたわけではなく、むしろ迷信に惑わされたものとして同情していたが、国の政策に公然と反対するキリスト教徒の強情さは罪に値すると考えていた。しかし、自分の口から皇帝を神と認める言葉を出すことは、キリスト教徒にとっては重大問題であった。皇帝崇拝を拒んだキリスト教徒は、捕らえられて死刑に処された。こうして殺された人を、キリスト教徒は殉教者として信仰の証人とみなした。なお洗礼を受ける前にキリスト教への支持を表明して殉教することは「血の洗礼」と呼ばれた。

・ローマにおいて皇帝礼拝の強制はときおり発動されるにすぎず、その際もキリスト教徒を根こそぎに処刑するような措置はとられなかったが、初期キリスト教徒にとって迫害は生涯のうちに何度か必ず直面せざるをえないことだった。信仰告白による死の危険を自分がどこまで冒すのか、またそれをどこまで他の信者に要求できるのかは、当時のキリスト教徒にとって深刻な問題であった。キリスト教が公認されるとローマ帝国内での迫害・殉教は終息した。

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