2020年3月25日祈祷会(第一ペテロ5章、主の平安の中で)

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1.教会の長老と若い人たちへ

 

・人は世から選び出されてキリスト者になるが、世に属さないゆえに苦難を受ける。ペテロは、「キリストの苦しみにあずかることが出来ることを喜びなさい」と語る。

-第一ペテロ4:12-16「愛する人たち、あなたがたを試みるために身にふりかかる火のような試練を、何か思いがけないことが生じたかのように、驚き怪しんではなりません。むしろ、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど喜びなさい・・・キリスト者として苦しみを受けるのなら、決して恥じてはなりません。むしろ、キリスト者の名で呼ばれることで、神をあがめなさい」。

・それは初代教会の使徒たちも体験した出来事だった。

-使徒5:39-42「(最高法院の)一同はこの意見に従い、使徒たちを呼び入れて鞭で打ち、イエスの名によって話してはならないと命じたうえ、釈放した。それで使徒たちは、イエスの名のために辱めを受けるほどの者にされたことを喜び、最高法院から出て行き、毎日、神殿の境内や家々で絶えず教え、メシア・イエスについて福音を告げ知らせていた」。

・キリストは苦難を受けられた。私はその証人だ。その私が命じる「神の羊の群れを正しく養いなさい」。

-第一ペテロ5:1-2「私は長老の一人として、また、キリストの受難の証人、やがて現れる栄光にあずかる者として、あなたがたのうちの長老たちに勧めます。あなたがたに委ねられている、神の羊の群れを牧しなさい。強制されてではなく、神に従って、自ら進んで世話をしなさい。卑しい利得のためにではなく献身的にしなさい」。

・復活のイエスはかつて自分を裏切ったペテロに、「私の羊を飼いなさい」と務めを託された。ペテロはその務めを果たしてきた。彼は世を去るに当たり、後継の長老たちに命じる「羊の群れを飼いなさい」と。

-ヨハネ21:17「三度目にイエスは言われた『ヨハネの子シモン、私を愛しているか』。ペトロは、イエスが三度目も『私を愛しているか』と言われたので、悲しくなった。そして言った『主よ、あなたは何もかもご存じです。私があなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます』。イエスは言われた『私の羊を飼いなさい』」。

・羊を飼うとは仕えることだ。牧師は群れの指導者である以上に、群れに仕える者である。教会の指導者は仕えることを通して、群れを導いていく。それは「サーバント・リーダーシップ」と呼ばれる。

-第一ペテロ5:3-4「委ねられている人々に対して、権威を振り回してもいけません。むしろ、群れの模範になりなさい。そうすれば、大牧者がお見えになる時、あなたがたはしぼむことのない栄冠を受けることになります」。

・イエスは最後の晩餐の時、弟子たちの足を洗い、牧会者の模範を示された。牧師も群れの足を洗う者だ。

-ヨハネ13:12-15「イエスは、弟子たちの足を洗ってしまうと、上着を着て、再び席に着いて言われた「私があなた方にしたことが分かるか・・・主であり、師である私があなた方の足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない。私があなた方にした通りに、あなたがたもするようにと、模範を示したのである」。

・ペテロは若い人々に「長老に従いなさい」と勧め、また「神に信頼して人生を送りなさい」と勧める。

-第一ペテロ5:5-7「若い人たち、長老に従いなさい。皆互いに謙遜を身に着けなさい・・・神の力強い御手の下で自分を低くしなさい。そうすれば、かの時には高めていただけます。思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけていてくださるからです」。

・「思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけていてくださるからです」という言葉は詩編55:23からの引用だ。

-詩編55:23「あなたの重荷を主に委ねよ、主はあなたを支えて下さる。主は従う者を支え、とこしえに動揺しないように計らって下さる」。

 

2.信仰に踏みとどまりなさい

 

・人の心に中に悪魔がいる。その悪魔は内に向かっては人を自己利益に導き、外に向かっては他者に対しては攻撃的になる。この内外の悪魔に注意し、抵抗するようにペテロは勧める。

-第一ペテロ5:8-9「身を慎んで目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っています。信仰にしっかり踏みとどまって、悪魔に抵抗しなさい。あなたがたと信仰を同じくする兄弟たちも、この世で同じ苦しみに遭っているのです」。

・悪魔、ギリシャ語ディアボロス、告発者の意味だ。小アジアの信徒たちは、兵役を拒否し、皇帝像を拝むことをしなかった故に、告発され、迫害された。まさに「悪魔が、ほえたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っている」、世に暮らしていた。その人々にペテロは「信仰にしっかり踏みとどまって、悪魔に抵抗しなさい」と諭す。この内外の暴力にどう立ち向かうのかは現代でも同じだ。

―キング牧師説教「敵を愛せ」から「暴力の最大の弱点は、それが破壊しようとしているまさにそのものを、かえって増幅し、拡大することだ。悪を消すのではなく悪を増産してしまう・・・暴力で憎む人を殺すことはできても、憎しみそのものを消し去ることはできない。逆に暴力は憎しみを生み出すだけだ・・・憎しみが憎しみを消し去ることはできない。憎しみを消し去ることができるのは、愛だけである。」

・マハトマ・ガンジーの言葉もまた示唆に富む。時代や国際情勢によって社会の価値観は大きく変わっていく。その中で自分自身の揺るがない価値観を持ち続けることは大事だ。

-「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって、自分が変えられないようにするためである」。

・神の恵みと憐れみに寄り頼んで、この寄留の世を過ごしなさいとペテロは言う。

-第一ペテロ5:10-11「あらゆる恵みの源である神、すなわち、キリスト・イエスを通してあなたがたを永遠の栄光へ招いてくださった神御自身が、しばらくの間苦しんだあなたがたを完全な者とし、強め、力づけ、揺らぐことがないようにしてくださいます。力が世々限りなく神にありますように、アーメン」。

 

3.ペテロ第一の手紙から学んだこと

 

・ローマ帝国の支配下にあった小アジアで、回心してキリスト信徒になることは、多くの困難を伴った。イエスは「殺すな」と言われたので、人々はローマ帝国の兵役を拒否した。イエスが「偶像を拝むな」と言われたので、人々はローマ皇帝の像を拝まなかった。その結果、キリスト者たちは「非国民」、「世の秩序を乱す者」と呼ばれ、友人や仲間や親戚から排除され、共同体や国から村八分された。世の人々と違う生き方をしようとしたので、信徒たちは世から憎まれた。

・その中でペテロは語る「悪をもって悪に、侮辱をもって侮辱に報いてはなりません。かえって祝福を祈りなさい」(3:9)。手紙を受け取った人々は反問する「悪に対して善を、侮辱に対して祝福をする生き方など私たちにはできない」。しかしペテロは語る「キリストの十字架での祈りをあなた方も聞いて知っている。キリストは言われた。『父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです』(ルカ23:34)。イエスの生き方をあなた方も継承していくのだ」と。何故ならば「祝福を受け継ぐためにあなたがたは召された」(3:9c)のだからと。キング牧師は語る「私たちは初代キリスト教徒による非暴力的な抵抗が、ローマ帝国を震撼させるほどの巨大な道徳的攻撃力を生み出したことを知っている」。「愛は多くの罪を覆い」(4:8)、ついにはローマ帝国の悪を善に変える力を持った。このことは現代でも通用する。

・フランシスは祈った「主よ、慰められるよりも慰める者として下さい。理解されるよりも理解する者に、愛されるよりも愛する者に」。私たちは慰められ、理解され、愛されることを求めるゆえに、人から裏切られ、理解されず、嘲笑されて苦しむ。「慰められ、理解され、愛される」人生は、受動的、人に依存する生き方だ。しかし私たちは「人ではなく、神に依存する」。キリストは私たちを赦し、私たちのために死んで下さった。そのことを知ったから、私たちもまた他者を赦し、他者のために死んでいく、そういう能動的な人生を生きる時、私たちは本当に、意味ある人生を歩む存在に変わっていく。ペテロ第一の手紙は、私たちが「キリスト者として終末の時をどう生きるべきか」、「日本社会の中で少数者であることの意味」等を考えさせる。その中で、教会が目指すべきことは教勢の拡大ではなく、この社会の中で証し人として生きることの意味だ。

 

*参考資料:今回のコロナウィルス感染にどう対応するか(ルターの生き方から)

14世紀の中頃、アジアからヨーロッパ全土を襲った黒死病(ペスト)は、ヨーロッパの全人口の4分の1から3分の1を死に至らしめ、その後も散発的に流行を繰り返した。この病は、1527年の夏、マルティン・ルターがいたヴィッテンベルクをも襲った。その時、ルターは書簡の中で書いた。

「私はまず神がお守りくださるようにと祈る。そうして後、私は消毒をし、空気を入れ替え、薬を用意し、それを用いる。行く必要のない場所や人を避けて、自ら感染したり他者に移したりしないようにする。私の不注意で、彼らの死を招かないためである・・・しかし、もし隣人が私を必要とするならば、私はどの場所も人も避けることなく、喜んで赴く」。

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