１．イエスは病をいやし、悪霊を追い出された
・ルカ4：31-5：26にはイエスがなされた一連の奇跡が記されている。イエスは悪霊につかれている者から悪霊を追い出し、ペテロの姑の病をいやし、大漁の業を示され、らい病人や中風に苦しむ人をいやされた。
・この奇跡を私たちはどのように理解するのか。熱病は解熱剤で、らい病は抗生物質で治る。病をいやすのは本質的にはその人の持つ自然治癒力だからだ。言葉が薬と同じ作用をした。今日、多くの人は病の癒しは信じる。
−ルカ5:13「イエスが手を差し伸べてその人に触れ『よろしい。清くなれ』と言われると、たちまち重い皮膚病は去った」。
−ルカ5:24-25「『人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう』。そして、中風の人に『私はあなたに言う。起き上がり、床を担いで家に帰りなさい』と言われた。その人はすぐさま皆の前で立ち上がり、寝ていた台を取り上げ、神を賛美しながら家に帰って行った」。
・悪霊の追い出しは現代人にとってはつまずきだ。今日でも、精神の病を医学は治すことは出来ない。悪霊=サタンがいるのか、ある人はサタンは心の中の罪の思いと考え、別の人は神に逆らう外的存在と理解する。
−ルカ4:35「イエスが『黙れ。この人から出て行け』とお叱りになると、悪霊はその男を人々の中に投げ倒し、何の傷も負わせずに出て行った」。
・大漁の業をどう理解すべきか。ヨハネ21章に同じ出来事が書かれている。何らかの核になる出来事があった。
−ルカ5:5-6「シモンは『先生、私たちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう』と答えた。そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった」。
・信仰的に大事な事は､神の業が示されたことを受入れることであろう。イエスがナザレの会堂で預言された出来事、神の国のしるしが為されているのだ。私たちはこの、生きた神の現臨にふれる経験をしているだろうか。
−ルカ4:18-21「『主が私を遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである』。・・・イエスは『この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した』と話し始められた」。
２．人々はいろいろな応答をした
・一連の奇跡に、民衆は驚き、好奇心を持った。しかし、彼らは傍観者に止まった。
−ルカ4:36-37「人々は皆驚いて、互いに言った『この言葉はいったい何だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じると、出て行くとは』。こうして、イエスのうわさは、辺り一帯に広まった」。
・傍観者に止まる人には、しるしは救いとならない。イエスは民衆に失望されながらも、業を続けられる。
−ルカ4:42-43「朝になると、イエスは人里離れた所へ出て行かれた。群衆はイエスを捜し回ってそのそばまで来ると、自分たちから離れて行かないようにと、しきりに引き止めた。しかし、イエスは言われた『ほかの町にも神の国の福音を告げ知らせなければならない。私はそのために遣わされたのだ』」。
・一部の人たちはイエスの業の中に神の働きを見た。だからイエスは彼らに従うように求められた。
−ルカ5:8-11「これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して『主よ、私から離れてください。私は罪深い者なのです』と言った。とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた『恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる』。そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った」。
・徴税人レビも従った。彼はその職業を通して、「心の貧しい者」にされていたゆえに従った（18：9-14参照）。
−ルカ5:27-28「その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て『私に従いなさい』と言われた。彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った」。
・パリサイ人たちはイエスを非難し始めた。自分は既に救われていると思う者はイエスの言葉に従うことが出来ない。救いの決定権は私たちではなく神にある。パウロでさえも救いを求め続けた（ピリピ3：12-14）。
−ルカ5:21「律法学者たちやファリサイ派の人々はあれこれと考え始めた『神を冒涜するこの男は何者だ。ただ神のほかに、いったいだれが、罪を赦すことができるだろうか』」。
・イエスの業を私たちはどう理解するのか。それを自分に為されたわざと受け止めた時、私たちの人生は変わる。
−ルカ5:37-38「だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、新しいぶどう酒は革袋を破って流れ出し、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れねばならない」。