１．仮庵祭にて
・イエスは仮庵祭にエルサレムに行かれた。仮庵祭はユダヤの三大祭の一つであり、人々は神殿に参拝するために、エルサレムに上る。そのエルサレムでは、ユダヤの役人たちがイエスを捕らえようとして探していた。
―ヨハネ7:10-11「兄弟たちが祭りに上って行ったとき、イエス御自身も、人目を避け、隠れるようにして上って行かれた。祭りのときユダヤ人たちはイエスを捜し、『あの男はどこにいるのか』と言っていた。」
・それはイエスが安息日に病人をいやし、それを非難したパリサイ人に対して「父も働いておられるから」と自分が神の子であることを宣言されたからだ。ユダヤ人にとってイエスは神を冒涜する者であった。
―ヨハネ5:18「ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自身を神と等しい者とされたからである。」
・この人は誰だろう。民衆の間でも意見は分かれていた。
―ヨハネ7:12-13「群衆の間では、イエスのことがいろいろとささやかれていた。『良い人だ』と言う者もいれば、『いや、群衆を惑わしている』と言う者もいた。しかし、ユダヤ人たちを恐れて、イエスについて公然と語る者はいなかった。」
・その人々に向かってイエスは語られた「安息日に良いことを行うのを何故そのように恐れるのか。安息日を守りなさいという戒めは『休みなさい』という神の恵みであるのに、あなた方をそれを束縛に変えてしまった」と。
―ヨハネ7:21-24「私が一つの業を行ったというので、あなたたちは皆驚いている。しかし、モーセはあなたたちに割礼を命じた。だから、あなたたちは安息日にも割礼を施している。モーセの律法を破らないようにと、人は安息日であっても割礼を受けるのに、私が安息日に全身をいやしたからといって腹を立てるのか。」
・私たちは神の戒めを勝手に人間の戒めに変え、その戒めを基準に人を非難する。非難からは何も生まれない。私たちが人を非難するのではなく受け入れる時に、律法は神の戒めに戻っていく。
マタイ7:3-5「あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。兄弟に向かって、『あなたの目からおが屑を取らせてください』と、どうして言えようか。自分の目に丸太があるではないか。偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からおが屑を取り除くことができる。」
２．イエスを受け容れる少数のもの
・民衆はイエスの教えに心惹かれた。しかし、イエスがガリラヤの大工に過ぎず、ラビとしての教育も受けていないことに民衆はつまずいた。
―ヨハネ7:15-27「この人は、学問をしたわけでもないのに、どうして聖書をこんなによく知っているのだろう
・・・しかし、私たちは、この人がどこの出身かを知っている。メシアが来られるときは、どこから来られるのか、だれも知らないはずだ。」
・人々が判断するのは、外的な権威であり、語られる言葉ではない。権威ある人が語れば、人々は聞く。しかし、人の権威を認めても、神の権威は認めない。人は見えるが、神は見えないからだ。
―ヨハネ7:28-29「あなたたちは私のことを知っており、また、どこの出身かも知っている。私は自分勝手に来たのではない。私をお遣わしになった方は真実であるが、あなたたちはその方を知らない。私はその方を知っている。私はその方のもとから来た者であり、その方が私をお遣わしになったのである。」
・イエスの言葉を信じる者もいた。ただ、まだ傍観者だ。イエスがメシアなのかどうかを議論している。
―ヨハネ7:30-31「人々はイエスを捕らえようとしたが、手をかける者はいなかった。イエスの時はまだ来ていなかったからである。しかし、群衆の中にはイエスを信じる者が大勢いて『メシアが来られても、この人よりも多くのしるしをなさるだろうか』と言った。
・私たちも傍観者である限り、救いには至らない。キリストが現実になるのは、私たちが全身を持ってそれを受け容れたときだ。
―ヨハネ20:26-29「八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。・・・イエスが来て真ん中に立ち、トマスに言われた。『あなたの指をここに当てて、私の手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、私のわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい』。トマスは答えて『私の主、私の神よ』と言った。イエスはトマスに言われた。『私を見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。』」